ひとり新聞 2000年11月16日号<私の被害妄想>
毎年、名古屋で開催される「べてるの祭り」。今年は、久しぶりに撮影開始!と
なったので、「ベリー・オーディナリー・ピープル 予告篇その9」完成、上映か?と
みんなの
夢が膨らみました。
でも、撮影が始まって直ぐ無理かなぁ〜という予感がしてきました。
3年振りの撮影です。べてるのメンバーも若くて魅力的な人が、ぐ〜んと増え、
そのまま“続き”という訳にはいきません。
時間がない! 上映中止か? と思われたのですが、べてるの家自主企画「シリ
ーズ
精神分裂病を語る」を作ろう! と、向谷地さんの妄想
が動き出しました。
「いいよ! いいよ! 出資するよ!」と、川村先生にも、佐々木社長にも
拡大。
この伝染性の強い妄想は、お金もないのに「何とかなるさ!」と、
四宮監督にも
伝染。編集作業に突入しました。
今回は時間がないので、3回分のロケで回ったテープ140本のうち、今回使う
ところのみ書き起こし作業をし、
アラヘンすることになりました。
“アラヘン” とは、荒々しく編集するのではなく、粗く編集すること。
初めの頃、私は四宮さんの仕事振りから“アラヘン”は、
“荒編!”と思っていました。(笑)
「シリーズ 精神分裂病を語る 被害妄想その1」の
粗編を、初めて観た時の
感想は、“青い空の真中に、ポッカリと白い雲が浮かんでいる”という感じでした。
7年間覗かれ続けていたという里香さんの話は、少しずつ同じ話を重ねて、分
かりやすくなっています。その事は気になりませんでしたが、川村先生の話が
一塊なの二つの要素があります。
その辺にヒントがありそう…と、里香さんの話を川村先生の話の中に入れ込み
二つに別けることを試みました。
こんなふうに編集作業は、繰り返されるのです。
「被害妄想その2」は、
悪魔に狙われている本田君が、「ター! ター!」と、
気合を入れて悪魔を追い払う話が面白すぎて、次の話とプッリと切れてしまって
いるという感じがしました。
インタビューした場所が違うことも、つながらない理由のひとつです。
こちらも本田君の話の位置を移動することで、だいぶ感じが変わりそうです。
いよいよ形になり始めたところで、テロップ書きの作業に入ります。この作品は、
学校などに販売する予定なので
(これも“べてる流の妄想”か?)
、私の手書き
テロップよりきちんとした活字のほうが良いのではと、大変な作業から逃れようと
画策したのですが、ダメでした。
編集室で作業しながらテロップ原稿を作り、自宅に持ち帰って夜中に書くという
日が続きました。自慢ではありませんが、私は漢字を間違えて覚える才能がある
らしいのです。
“ソウダン”は、想いながら話すのだから
“想談”。
“キタイ”は、気持ちで待つのだから“
気待”。
こんな風に“思い込み間違え”をしていました。
テロップ書きは、この気付かなかった過ちに気付かされてしまう…。
それこそ“この歳まで恥かしい〜!!”の恐怖に、晒される作業でもあるのです。
漢字の間違いは? 送り仮名の間違いは? 聞き取りの間違いは? と、不安は
募るばかり。
この“セイサク”は
“製作”か
“制作”か?
辞書を引いて、ホッ! ワープロで形を確かめて、ホッ!
でもちょっと形が変かな? と書き直しをすると、やっぱり変。
またまた書き直しをすると、更に変な感じに…と、夜中に何回も何回も、同じ文字
を書く羽目になってしまいます。漢字の宿題で、同じ漢字を繰り返し繰り返し書い
ているうちに、なんだかヘンテコな気分になったことありませんか?
あの感じが蘇ってきました。
こんなふうに編集作業中、どっぷりと被害妄想に浸かっていたので、
名古屋で
上映中もハラハラドキドキ。べてるの家自主企画「シリーズ 精神分裂病を語る」
は、30分物・全10巻になる予定!
(これもかなりな妄想ですよね。)
この先、編集作業が「幻聴篇」「ひきこもり篇」「・・・篇」になろうと、私の漢字との
格闘(被害妄想との格闘)は、
続くことになります…。
でも上映後、私の近くに居た人が呟いていた。
「私にも、被害妄想あるわ…」
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