ひとり新聞 2002年2月11日号 <恋の後押し>
もう何年も前からお正月は2日に、実家へ行くことにしています。姉も同じように2日に実家に来ます。
そうすれば、近くに住んでいるとはいえ、なかなか会えない姉とも会うことができ、母は母で、もてなしの
支度が一回ですむという訳です。
実家と姉の嫁ぎ先と私の住まいは、それぞれ車で3〜40分ほどの距離で、うまい具合に三角形に位置して
います。お互い近くに住んでいるのですが、なかなかゆっくり会うことができません。
今年も2日に姉と実家で合流して、お喋りをしながら母の手作りのおせち料理を食べました。おせち料理の
良いところは、並べてしまえば女性陣ものんびりとお喋りができること。
鰤の照り焼きが山ほど出てきたので、鰤の話になりました。
母方の祖父は大工で、若くして亡くなっているのですが、伊勢の出身でした。祖母は京都の在の出身で、
結婚して一時期関東に住み、北海道に転居したそうです。関東大震災の後、東京にたくさん仕事があるからと、
(当時震災復興の仕事に関わると政府から援助があったらしい)再び関東に移ったそうです。
その祖父が、家族のために建てた家があった所に、父母は住んでいます。
大きな鰤が伊勢から届いたそうです。本家は依然として伊勢にあり、祖父の兄、そしてその長男が跡を
取りました。長男のお嫁さんが届け物の主です。祖父も、祖父の兄も、その長男も亡くなり、祖母が亡くなって
も、盆暮れには必ず海の幸が届くのです。
「随分、丁寧な人なのね」
「二人が結婚する時に、周り中が反対したけれど、おじいちゃん(私の祖父)一人だけ応援して、お互いに
好きなら結婚すればいいって。その時とても嬉しかったそうだよ。そのことが忘れられないんじゃないの」
戦後すぐくらいの話なのでしょうか。訊きそびれましたが、まだまだ結婚というものが、家同士のものだった
時代。祖父はどんな気持ちで二人を応援したのでしょうか。祖父のことは写真でしか知りません。
お正月というのは、不思議と話が弾み、思わぬ昔話に花が咲くことがあります。祖父の恋の後押しのお陰で、
こちらまでお裾分けがいただけます。海の香り一杯のワカメをお土産に頂いて、帰ってきました。
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