ひとり新聞 2002年2月28日号 <音のカーテン>
世の中には、幾つになっても少年のような方がいらっしゃいます。大好きなことを思う存分楽しんで
いらっしゃる方。さわって楽しむ『音のカーテン展』の“さわって”に惹かれて出掛け、お会いした
高野昌昭さんも少年のような方でした。
「今、NHKラジオの生放送を、ここからしたばかりなんですよ」
「どうぞ! どうぞ! さわって、音を出してみてください」
リーフを頂いた時に、思い浮かんだのがバリ島の珊瑚礁の風鈴。乾いた心地よい音がしました。
バリは音の豊かな地で、たくさんの音に朝から晩まで包まれています。そういう音を心地よいと
感じるのはアジア人の特色なのだと、ある方がおっしゃっていましたが、本当なのでしょうか?小鳥の
さえずりや風の音を雑音としか感じないとしたら、なんと寂しいことでしょう。
常滑焼の小片で作った音のカーテンは、まるで珊瑚礁が連なったようでした。素焼きの温度で焼いた物と
本焼きの温度で焼いた物では、色が違います。竹炭のカーテン、短くなった鉛筆のカーテン、巻き紙の
カーテン、金属片のカーテン、それぞれの音を楽しみました。鉛筆があんなに優しい音を出すなんて、知り
ませんでした。
演劇・舞踊・ミュージカルの音響を担当し、ステージの擬音効果の専門家として活躍していた高野さんは、
ある時、風の音を録音しようと、林道で待っていたそうです。ふもとから吹き上がってくる風は、音より先に
見えるのだそうです。来たぞッ! 大きなうねりは一面の熊笹を騒がせたあと、スーッと消えてしまい、
録音に失敗。でも足元に、小さな風の赤ん坊を発見したそうです。
数人の来場者のために、高野さんは音のパフォーマンスを披露してくださいました。私も勧められて、
どんぶりの淵にぬれた指を押し付けながら回し、音を出す経験を初めてしました。音の生まれる瞬間は、
“あっ、出るぞ!”と、分かるのです。
高野さんの手に掛かったら、なんでも音を出します。竹箒の柄も笛になりました。アフリカの魔よけ・
バリの牛の鈴・馬鈴・柱時計の鐘の音…。
高野さんは、学校などへ出向き実験授業などもしていらしゃるとか。
ご興味のある方は、
音あそびの会 へどうぞ!
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