ひとり新聞 2002年5月1日号 <嘘つき>


以前、我家のお隣に住んでいたのは、新潟県出身のご主人とフィリピン人の奥さんでした。 ご主人はスラリとした背広姿を見かけただけで、どんな方なのか良く分かりませんでしたが、奥さんは いつもニコニコ、とても社交的な方でした。

そのお隣さんから、窓を開け放して過ごす季節になると、時々聞こえたのが夫婦喧嘩の声。もっとも 聞こえるのは、奥さんの声だけでなのですが…。
「あなた、わたしを愛している、言ったでしょ」
「・・・・・」
「わたしを幸せにする、言ったでしょ」
「・・・・・」
「あたな、うそつきね」
「わたし、フィリピン帰るよ」
「・・・・・」
「わたし、幸せじゃないよ」
「・・・・・」
「わたし、フィリピン帰りたい! でも、お金ないよ。お金ちょうだい!」
だんだんエキサイトすると、タガログ語になってしまう…。

この話をすると、女性たちは全員「いいなぁ! 私も、そんなふうに言ってみたい」と言います。 「幸せにするって言ったでしょう!」「嘘つき!」 
男性たちにすると、たいてい無口になる…。
「幸せにしてあげたいとは思っているけど、うまくいかないんだよね…。モグモグモグ…」
「幸せにするって言ったでしょう」という台詞に対して、「そんなことは言っていない」と、言い切る ことができず、どこか後ろめたい気持ちになるらしい…。(笑)

私の場合は「幸せにしてあげる」なんて、言われたことがないので「嘘つき!」と言い返す相手も いない。これもまた寂しい!


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