■ひとり新聞 2003年4月30日号 <ペーパー版 bP34>

休刊? 廃刊?
何人かの方に、「ひとり新聞は・・・」と言われて、言いよどんでいます。
「やっぱり、ペーパー版の方が・・・」という意見も、聞かれます。
いつもは暮れに、その年の締め括りも兼ねて出していたのですが、去年は12月に「べてるの家ビデオ上映と お話の会」を主催したので、立派な言い訳ができたとばかりにサボリを決めてしまいました。

そして、年が明けたら言い訳をしたことさえも忘れて、年度変わりになって、 「あっ!」と、目が点になっています・・・。お久しぶりです。 皆さん、お元気でお過ごしでしょうか?

重ねて言い訳になってしまいますが、人間のエネルギーは限られているらしい。そして、出来そうにないこ とは忘れるという防衛本能もあるらしい・・・。どんどん、時間が経ってしまって、もう重い腰を上げなく てはならなくなりました。 久しぶりに「ひとり新聞」を、お届けします。



3回の「べてるの家」上映会
去年は、6月と12月に「べてるの家ビデオ上映とお話の会」を、9月には恒例の「そのまんまが大好き上 映会」を開催しました。3ヶ月ごとに、3回の上映会を主催するのは、なかなか大変でした。ちょっと苦し い1年になってしまいました。

改めて、ご参加くださった皆さん、ご協力くださった皆さんにお礼を申し上げます。
12月に主催した「べてるの家ビデオ上映とお話の会」は、池袋の書店「ジュンク堂」のイベントのため「べ てるの家」の皆さんが上京するというので、急遽企画したものでした。
医学書院の編集者・白石さんに声を掛けられ二つ返事でお引き受けしたものの、「私にも断るSSTが必要だった かも・・・」と、思ったりもしてしまいました。

急だったので準備が押せ押せになってしまい、年末ということもあって、参加してくださる方がいらっしゃる か不安で不安で、あの方へもこの方へもとDM発送をしていたら、どんどん出費がかさみ、反省したり、うな ったり・・・。 こんなことなら、準備金の中からカンパしたほうが、マイナスが小さかったのでは・・・とも思いました。

当日は、予想以上の方が参加してくださいました。なかには、大分から参加してくださった方もいらして、 「大分から電話しているのですが、参加してもいいですか?」と、いう電話に、「大分?」と、私の声はひっ くり返っていた(?)と思います。

参加者数は70人以上となったのですが、6月同様お一人お一人に自己紹介をお願いしたところ、誰もパスし なかったのにも驚きましたが、いろいろな地域から、いろいろな方々が参加してくださっていることに、そし て、お一人お一人がご自分の気持ちを素直に話されることにも感激しました。



べてるの家の河崎寛くんが、前日同様「爆発の研究発表」をしてくださいました。この発表には、ホワイトボ ードと質問者が必要なのですが、ホワイトボードはスタンバイOK! 質問者は、べてるの家のスタッフ・向 谷地悦子さんが引き受けてくださいました。
途中からは、いつも「べてるの家」で行われているSST(生活技能訓練)のような感じになり、メンバーの 本田くんからも質問があり、私の友人は、「生SSTが見られた!」と、感激していました。

続々と「べてるの家」に関する本が出版されています!
どれを読んでもおもしろいし、どれを読んでも、それぞれ味わいがあります!
お読みでない方は、是非どうぞ!

「悩む力」 斉藤道雄著・みすず書房刊・1800円・講談社ノンフィクション賞受賞
「べてるの家「非」援助論」 浦河べてるの家著・医学書院刊・2000円
「とても普通の人たち」 四宮鉄男著・北海道新聞社刊・1800円
「降りていく生き方」 横川和夫著・太郎次郎社刊・2000円


今年の「べてるの家」上映会は、9月7日・日曜日です。
恒例の「そのまんまが大好き上映会」を開催します!  会場の確保はできました。ゲストは、べてるの家の向谷地生良さん・べてるの家メンバー・横川和夫さん・ 四宮鉄男監督の予定です。是非、今からご予定の中に組み込んでおいてください。

       

「あしたば作業所」のビデオ作り
昨年の10月から12月にかけて撮影した「あしたば作業」(失語症者を対象に1983年開所)のビデオ が、やっと完成しました。当初の注文は、STの遠藤尚志先生から、「5分くらいの木工作業手順を」という ものでしたが、せっかく撮影するのだから・・・と申し出て、販売の様子や集団言語訓練も撮影し、「あし たば作業所」のプロモーションビデオも作ることになりました。民生用のDVカメラで撮影、自宅パソコンで 編集しました。

夏にDVカメラが故障し修理したのですが、またまた故障。再生したら使えそうになくて、思い切って新規に DVカメラを購入し、撮り直しをしました。
「あしたば作業所木工作業手順」は、10分弱の作品になりました。1月に遠藤先生が講演された時に上映 され、上映後に「あしたば作業所」の製品の売れ行きが良くなったお聞きして、ホッとしています。

プロモーションビデオ「あしたば作業所の仲間たち」は、撮影させていただいた方、全員が写るようにすると ともに、「あしたば作業所」の暖かで和やかな雰囲気が伝わるように、昼休みの様子なども入れてみました。
名前などの問い合わせにも時間が掛かり、編集も途切れ途切れになってしまって、やっと4月になって完成し ました。テロップ・ナレーション・音楽付きで、27分の作品になりました。

いよいよスタート! 若い失語症者のための共同作業所作り
「あしたば作業所」の撮影・編集が進行している頃、若い失語症者を対象にした共同作業所作りの話が、持 ち上がりました。12月に忘年会も兼ねて、最初の集まりがありました。作業としては、パソコンの再生事 業を考えていて、毎月第4土曜日に体験会を重ねながら、準備を進めていくことになりました。

3月の体験会では、皆さんビクビクしながら、パソコンを分解し、また元通りに組み立て直すことに挑戦しま した。左手でドライバーを使っての作業でしたが、空っぽになったパソコンを、全員が初めて見ました。
「上に!」という言葉が、パソコンから上なのか、自分の手の位置より上なのかなど、うまく通じなかった り、視野が狭い人がいたり、背の高い青年が多いので作業台の高さや、回転台に載せたほうがやりやすい作 業とそうでない作業があったり、いろいろ経験することで、問題点もはっきりし、解決方法も生まれてくる ことでしょう。
来年の開所を目指して速い展開が見込まれますが、私はこの共同作業所作りを、私なりに精一杯応援しよう と思っています。



失語症デイサービス「言葉の翼」見学会へ
せっかく、デイサービスに行くようになっても、失語症の方は馴染めず、通所を止めてしまう方がいらっしゃ るとお聞きしたことがあります。

失語症の方が主役になれる「失語症デイサービス」を、しかも自宅を改造して、失語症のご本人が介護保険事 業者(社長)となってスタートするという試みが、山形県山形市にあるというので、2月8日、第3回利用見 学会に参加してきました。

14年前、44歳の時に失語症になった櫻井勇さんと奥様の映美さん。当時、映美さんは専業主婦で、お子さ んは中学生と小学生だったそうです。リハビリに励むご主人をサポートしながら、映美さんは、介護福祉士・ ケアマネジャーと資格を取得し働いてきました。

子どもたちも育ち、雪深い山形で雪かきも辛くなってきました。昨年の1月、駅の近くにペット可のマンショ ンを見つけて購入、旧宅が空き家になることになりました。
「失語症友の会海外旅行団」を通して知り合ったSTの遠藤尚志先生の寒中見舞いに、「マンションを購入した ので、空き家になる旧宅で、いずれ宅老所でも・・・」と、一言書き添えたそうです。直ぐに、遠藤先生から 「ご主人を社長にして、失語症者を対象としたデイサービスをしてみませんか?」と、返事が届きました。
「マッチを擦ったのは遠藤先生。火がついたのは私!」と、映美さん。

山形には「あべさん家」という宅老所があり、その居心地のよさに映美さんは注目していました。職場でも ケアマネジャーとして精一杯働いているのですが、どこかで何かが引っ掛かっていたというのも事実だそう です。
遠藤先生の手紙で、漠然としていた思いがはっきりと姿を現しました。言葉の障碍はなかなか理解されにく い。失語症者が“主人公”として迎えられるデイサービスを作ろう! それからは、とにかく前へ前へと準 備を進めてきました。

デイサービスとなる旧宅は普通の民家。でも6畳と8畳の和室をフローリングにし、広い縁側と合わせると 20畳の「食堂+機能訓練室」が見事に完成しました。台所もフローリングに。2階が事務所になります。
スタッフは、生活指導員・看護師・介護員(2名)・調理員そして言語聴覚士という超豪華メンバーです。 この試みがうまく行けば、全国に同じような「失語症デイサービス」が誕生する大きな引き金になると 思います。

       

「木削り教室」と「木削り作品展」
木削りの先生・滝本ヨウさんは、日本とロスアンゼルスを行ったり来たりの生活をしておられます。帰国の時 期が近付くと「木削りをしませんか?」と、FAXが流れてきます。日時を決めて、集会室の予約をして、さ っそく友人たちに知らせるのです。

今年最初の「木削り教室」は3月2日。午前中は、子ども会の行事と重なってしまってガラガラ。午後からは、 大人も子供も入り混じって25人ほどが、無心に木を削りました。初めて参加してくださった方が5人もいら して、嬉しい木削り教室になりました。

FAXでのやり取りの中で、「ご近所の喫茶店で、作品展をしませんか?」
「せっかくだから、皆さんの作品も一緒に出展しませんか?」
思わぬ展開から、「木削り教室」の後、移動して展示。3月3日〜8日まで「滝本ヨウさんと戸田木削りの仲 間たち展」を開催しました。

私は、密かに(?)木削りと陶玉のペンダントが100本になったら、作品展を開きたいと思っていたのです が、20本ほどのペンダントを出展しました。子供たちは、「えー、売るの?」「私のも売っていいの?」と 大騒ぎ。
お気に入りの作品は売れては困るし、お小遣いほしさに売りたい作品もあるし・・・。さんざん悩んで値段を 付けました。もちろん、つけなかった人もいます。飾られた作品を見るため喫茶店に行ったり、とても楽しい 思い出ができました。

知恵の輪トーク
作品展の最中に、「木削り教室」と「知恵の輪トーク」も開催しました。「知恵の輪トーク Wisdom Circle」 は、時々ヨウさんが「木削り教室」の後に開催するミーティングだそうです。どんなことをするの?と興味を お持ちの方もいらっしゃると思うので、ヨウさんのメッセージを転載します。

「知恵の輪トーク Wisdom Circle」は、今、あなたが一番関心を持っていること、 気になっていること、これからやりたいと思っていることなどを、自由に話したり、語り合う場です。これに よって、何かを決めたり、拘束されることはありません。
もともと、アメリカ・インデアンの人たちがやっていたミーティングのやり方で、いくつかの決まりごとがあ ります。

@ 参加者全員で、ひとつの輪を作る。
A Talking Stickを手に持った人だけが話せる。(他の人は、無言でその話を聞く)
B 話し終えたら、次に話したい人に、Stickをまわす。
  (何も話したくない人は、他の人の話を聞くだけでもOK)
C 話すテーマや時間制限はありませんが、その場に応じて決めることも可能です。

以上は、私流に解釈している決まりごとです。
大切なことは、人の受け売りではなく自分自身の魂で話すことです。自分の思いを自由に語り、また他の人た ちの思いを聞くことにより、お互いに理解し合えたらと願っています。
一人ひとりは対等であり、違っていることを認め合うことにより、新しい展開が生まれると思います。 私自身の関心ごとは、“自分を好きになる。木削りの心地よさ。縄文の輝き。地域を元気にしたいなど”です。


3月6日に開催された「知恵の輪トークWisdom Circle」は、80代の男性から小学3年生の女の子まで、 13人が参加。初めての経験に、全員がちょっと戸惑っていましたが、Talking Stickの代わりにヨウさんの 削った縄文の木を握って話しました。自分の考えをまとめながら、ゆっくり話す・静かに聞くという経験は、 とても新鮮なものでした。
遅くまで会場を提供してくださった「カフェ・マパス」の木下さん、滝本ヨウさん、ありがとうございました。

サボっていた分、お伝えしたいことが山ほどあります。でも、あまり長くなっても読む方は大変ですね。 「ひとり新聞」は休刊状態ですが、私はボチボチ元気です。



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