中央の枝の上、黒ぽく見えるのが蝦夷リス。お隣がフクロウのお父さん(?)


ひとり新聞 2001年6月20日号 <運がよい>


せっかく北海道に行くのだから、ひとつくらいプリベートな楽しみをと思いつつ、出発前に 検索してみました。
そういう時に役立つのが「日本と世界の博物館・美術館・天文台へのリンク集」。 私のホームページともリンクさせてもらっているのですが、見るだけで楽しいサイトです。

当初は、「北海道伝統美術工芸村」へ行こうかと考えていました。
「優佳良織工芸館」と「国際染織美術館」「雪の美術館」といえば、観光名所!と見当が付きます。 特に染織りが大好きな私にとっては、見逃せない気がしました。
でも、編集者としては旭川の全景というか 町の景色も撮りたいという気持ちもあり迷った末、嵐山公園に行くことにしました。
解説には、アイヌ民族が聖地として崇拝している場所で、京都の「嵐山」に似ていることから名付けられた。 展望台からは旭川市街を眼下に大雪山連峰が一望できるとありました。
ホテルのフロントでバスで行く方法を訊くと
「お車でなく、バスでですか?」
「はい、バスで行きたいんですけど」
バス乗り場・停留所などを教えてもらって、出かけてみました。

旭川は盆地で、周りを山々が囲んでいます。その山に登るような感じでバスは進みました。 バス停で降りたのは、三人。でも、お二人は地元に住むご夫婦という感じの方。
今日のような小雨交じりの日、 しかも平日に尋ねる観光客もいないようです。バス停の所には案内板も立っていましたが、いまいち 分かりにくい案内板で、どうもここから2〜3キロくらい歩かなくてはならないようです。なんとかなるだろう。 着けなくてもいいやと、歩き始めました。
小鳥のさえずりとたっぷりとした緑。のんびりとした時間が流れて います。だれもいない小道を進んで行くと、川の向うに「北邦野草園」 の看板が見えてきました。
川の向うは、こんもりとした森という感じです。橋を渡って、そこが嵐山公園の入口で、アイヌ資料館もあり 北邦野草園の入口でもあることが分かりました。

緑の美しさをDVカメラに収め、花を撮ったりしていると、アイヌ資料館から男の方が「傘を貸しましょうか?」と 声を掛けてくださいました。
傘はバックの中に入っていたのですが、小雨だったので差さずにいました。
「ありがとうございます。大丈夫です」
「ちょうどこれから、えぞリスに餌あげるところです」と、 その方が誘ってくださったので、餌台のある所まで ついて行きました。
餌は胡桃だそうで、ネズミ科のリスは歯を削るためにも硬い物を好むそうで、上手にかじって長い爪を器用 に使い、胡桃を真っ二つに割って食べるそうです。
「おっ、来てる。来てる」
ちょうど餌台の所で、両手に胡桃を挟んでくるくる回すようにかじっています。
人の気配を感じて、そのまま上の小枝まで移動してしまいました。
「さっきも食べてたんだけど、来ててよかった。えぞリスは見たことありますか?」
「初めてです」

その後、アイヌ資料館をゆっくり見せていただきました。だれもいない資料館の中には、アイヌの人々の暮らしの 道具や祭祀のための衣裳などがありました。
資料館から出ると、先ほどの方が「フクロウ見ましたか?」と、 再び声を掛けてくださいました。
「いいえ」
「ほら、あそこの枝の上に・・・」と、指差してくださったので見上げると
確かにフクロウが・・・。
「それ、望遠にもなるんですか?」
「はい」
「目、あけてる?」
なんとかDVカメラに収めると「あなたは運が良いですね」
「何日も通い詰ても、撮れない人もいるんですよ」
フクロウが止まっていた大木には巣があって、母鳥が卵を抱いていて、母子を見守るために父鳥が来たのだろうという のが彼の推測です。
葉の緑の中にすくんと居るフクロウの姿は、茶色と白が入り混じっていて、風格のある姿でした。
カメラをのぞく私の耳に、「あなたは、本当に運がいい」という言葉が、 繰り返されました。
ほんと、運がいい! と私も心の中で繰り返しました。


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