魅力的な主人公はお年寄りばかり


「ナビィの恋」 * 中江祐司監督 * 1999年作品
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」 * ヴィム・ヴェンダース監督
                          1999年ドイツ・アメリカフランス・キューバ作品
「息づかい」 * ビョン・ヨンジュ監督 * 1999年韓国作品
「問題はこれからだ」 * 羽田澄子監督 * 2000年作品
「ストレート・ストリー」 * デイヴィッド・リンチ監督 * 1999年アメリカ作品


気が付けば、このところお年寄りが主人公の映画ばかり観ています。
私自身の年齢に も関係している(?)と思うのですが、魅力的なお年寄りがたくさん居る証拠だとも思 っています。




恋する二人・孫娘とナビィばぁちゃん

沖縄を舞台に、60年前に引き裂かれた恋人との再会に戸惑うナビィばぁちゃん(平良と みさん)と孫娘の初々しい恋物語を描いた「ナビィの恋」
中江祐司監督は、沖縄芝居の名優・平良とみさんがあまりに愛らしいので、とみさんを主 人公に“アイドル映画を撮りたい!”と思ったとか。本当に愛らしいアイドル映画に仕上が っていました。





キューバ在住の70〜90歳代の老音楽家たちのライブ活動を追ったドキュメンタリ ー作品「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、 音楽が語り、音楽がいつまでも心に残る映画です。
老音楽家たちのパワフルさが何処から生まれてくるのか…。思わずキューバって、どんな国? と、思ってしまいました。
なんとなく、おじさんとおばさんしか来ていないのでは…と思っていたのですが、映画館に は、たくさんの若者たちが来ていました。こんなにヒットしているなんて!
とても新鮮な音楽、かっこいい老音楽家たちとして、若者たちは受け止めているのでしょうか。





戦争映画というかそれに類する映画を、私はあまり観ないのですが…。
韓国の従軍慰安婦だった女性たちが、賠償請求などの活動を通して、どんどん逞しく変化 して行く姿を丁寧に追ったドキュメンタリー作品「息づかい」 は、心に残る作品になりました。
体験記で文学賞を受賞したキムさん。書いたことも、受賞したことも、内緒にしていたは ずなのに耳の不自由な娘さんが、その体験記を読んでいたことが分かった瞬間、なんとも いえない照れくさそうな笑顔を見せます。
これまでの辛く貧しい生活の中、共に支え合い励まし合い、今ではそれぞれ自立した生活 をしている二人。お互いを思いやり、お互いを良き者・好ましい者と思い合う親子がそこ にいました。



「住民が選択した町の福祉」の続編「問題はこれからだ」 は、秋田県鷹巣町で住民参加型としてスタートした「ケアタウンたかのす」が完成するま でを紹介しています。
高校生がケアタウンのトイレの使い勝手をチェックしたり、見学会で思わず知り合い同士 がお辞儀をしたりと、微笑ましく暖かな雰囲気に溢れた作品です。
この先どのように「ケアタウンたかのす」が活用されていくのか、鷹巣町の福祉がどのよ うに進んで行くのか、まさしく“問題はこれから”興味の残る作品でした。




カウボーイハットのアルヴィン爺さん

「ストレート・ストーリー」は、10年前に仲違 いをした兄に会うために、時速8キロのトラクターで6週間の旅をする73歳のアルヴィン 爺さんの話で、実話を基にした作品です。
自分も体調を崩し、2本の杖を離せない生活をしているアルヴィン爺さん。仲違いしたまま の兄が病に倒れたことを知り、会いに行く決心をします。糖尿病で視力が悪く車を運転す ることは無理だし、家族に連れて行ってもらうこともできません。でも、この機会を逃し たら兄に会うチャンスはないかもしれない…。中古のトラクターを購入し、ガソリンや食 料を積み込んで、カウボーイハットを被って出発します。

旅の途中、家出した少女に“毛利元就の3本の矢”とそっくりな話をしたり、「年を取る って、どんな気持ち?」と、青年に訊かれ「経験を積むから、実と殻の区別はつくよう になるさ」と応えたり、老人とビール片手に語り合ったり、トラクターが故障して世話に なったり…。
時速8キロの旅は、ゆっくりゆっくりとたくさんのエピソードを重ねて進んで行きます…。 兄の家が見えてくる。「この旅は、いささか自尊心に痛い旅だ」と、アルヴィン爺さんが 呟くところがとてもいい。
私も年を取って“いささか自尊心に痛い”経験をするのかなぁ…と思いながら、映画館を 出ました。

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