拾う姿はいつも中腰


  作品名:落穂拾い
  監督:アニエス・ヴァルダ
  2000年フランス作品





今年72歳になるアニエス・ヴァルダ監督の「落穂拾い」を観てきました。
アニエス 監督は、日本でデジタルビデオカメラを入手。ワクワクドキドキしながら、撮影しています。
ミレーの名画「落穂拾い」をきっかけに、フランス中の“物拾う人”を、カメラで拾おう と旅に出掛けます。気にかけてみると、到る所に“物拾う人”が居ます。市場にも、裏通 りにも、牡蠣の養殖場にも、ジャガイモ畑にも、葡萄畑にも…。

腰を屈めて落穂を拾う姿は、一昔前までフランスのあちこちで見られた姿だったそうです。 落穂拾いは、女性たちの仕事。たくさんの絵画にも描かれています。
「私も、落穂拾いをしたわよ」と、インタビューに応える女性の横には、広々とした畑が 広がっていました。「今は拾わなくなったけれど…。昔は、みんなやっていたわ」

フランスでは、物を拾う権利が認められているそうです。
何メートル離れていれば…などと、葡萄畑の持ち主が説明している後ろで、摘み残された 葡萄をせっせっと収穫する人々が写っていました。昔、貧しい人々を救うための権利とし て認められ、今もその心も法律も残っているそうです。

規格外のジャガイモが山のように捨てられています。そのジャガイモを何十キロも拾って レストランに売っている男性がいました。友達と誘い合わせてジャガイモを拾いに来た少 年たちもいます。思わずそのジャガイモを投げて、少年たちが遊び始めてしまいました。
ハート形に変形したジャガイモを、アニエス監督も持ち帰り、あれこれ撮影を試みます。 液晶画面に切り取られたジャガイモは、いろいろな表情を見せました。
カメラは、物拾う人だけでなく、監督自身へも向けられます。シミだらけの手の甲や白髪 頭を丁寧にブラシで分けて、何回も何回も撮影しています。

物を拾うのにも、あれこれ理屈を言うところが、さすがフラン人というシーンもあります。 市場で野菜を拾い、生でムシャムシャと食べる青年は、いかに自分が栄養のバランスを考 え、物を大切に暮らしているかを語ります。そして、食べ物を拾うことで得た時間を、外 国人にフランス語を教えるために使っているのでした。

フランスは農業国なのだということも、改めて確認しました。果実や野菜を拾うのは、取 りこぼした恵みを頂く感じで、貧しいという印象は受けませんでした。
現在の日本では、野菜を拾うことも、獲れたての魚を拾うことも、できそうにありません。 日本で拾うとしたら、コンビニの賞味期限切れのお弁当くらいでしょうか…。本当に日本 という国は、お金がないと暮らせない、生き辛い国なのなだなぁと思いました。


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