私は全然知らなかったけれど、ヨーロッパでは、絶大の人気があるバンド「ノー・スモー
キング・オーケストラ」。
あの『アンダーグラウンド』の監督・クストリッツァが率いるバンドだというし、ロードムー
ビードキュメンタリーだというから、これは猛烈にパワフルで楽しい映画に決まっている!
観に行こう!と、出掛けました。
彼ら独自のサウンド UNZA UNZA(ウンザ・ウンザ)ミュージックを引っ提げて、ヨーロッパ
を旅する可笑しくて、切なくて、ちょっぴり過激な音楽ロードムービーでした。
幼き日の思い出、セッションのような練習、食べるための仕事(結婚式とお葬式)、拘りと趣
味を兼ねた楽器ケース作り、スチール撮りの現場、ライブ、ライブの後の取っ組み合い…、
音楽も映像もてんこ盛り、ハチャメチャで、息つく暇もないのは、クストリッツァの面目躍如
というところでしょうか…。
バルカン諸国を発祥の地とした2/4拍子に濃縮された音楽は、レゲエ以降に生まれた最も重
要な音楽=B単純だけど、表情豊かで、人間臭いパワーのある音楽です。
酒場で酒を飲むのも、音楽のためさ。何かを見つけるために飲みに行く。音楽は、その人の中
にあるもの。ただ真似たんじゃだめさ。自分自身の身体の中から滲み出てくるものを大切にし
なくちゃ…。
ウンザ・ウンザ・ミュージックに乗せられて、思わず身体が動き始めてしまう…。そして、彼
らのパワフルさが乗り移って元気になり、思わず「こんな映画を作ってみたい!」なんて、言
わせてしまう映画だ。
爆撃されて無残に大破した橋。
「橋が壊されて、向こう岸に渡るには、舟しかない」
「でも、この国の人間は時間にいいかげんだから…。小さな船で渡る」
アコーディオンの音が、懐かしさと悲しさを含んで流れてくる…。
「渡る時は、時々こうしてアコーディオンを弾くんだ」
「人生は素晴らしい!≠ニ、言い聞かせながらね…」
小船の舳先でアコーディオンを弾く男の後ろで、向こう岸がゆらゆらと揺れている。近そうだ
けれど、遠い向こう岸。
彼の左脇に、静かにエンディングロールが流れ始めた。すごくオシャレでかっこいいエンディ
ングに、思わず見惚れてしまいました。
|