自由を求めて祖国を離れ、アメリカで暮らす中国系の女性4人は、喜びジョイ≠ニ幸
運ラック≠分かち合うために、なんども麻雀卓を囲んできました。
戦争と革命、激変する中国社会から、アメリカに渡った母親たち。彼女たちの逞しさは一筋
縄ではいかないだろうし、アメリカに生まれ育った娘たちのことも気になって『ジョイ・ラ
ック・クラブ』を観にいきました。
2ヶ月前に亡くなった母スーユアンの代わりに席についた娘ジューンは、中国に双子の姉が
居ることを知らされます。
びっくりしたジューンは「母のことを、良く知らないわ」
「あなたの母親よ。自分の母親のことを知らないなんて…(なんて、娘なの!)」
母は言わなかった。戦火を逃れる途中、力尽きて乳飲み子だった双子の姉たちを置き去りに
してきたことを。そして、その娘たちの消息を、ずっと捜していたことを。
ピアノの練習を強制した母。発表会で失敗して、母に恥をかかせた私。それでも、練習を強
制する母親に反抗し続けてきました。
「絶対に弾かない! あたしはあたしよ。それ以上でも、それ以下でもないわ!」
それからの母は、ジューンが何かしようとするたびに「あなたには、それは無理よ」「あな
たには、向いていないわ」と、言っているように感じられました。
いつも母の期待に応えられない、認められない娘だったジューンは、一度も母の気持ちを思
ったことがなかったのです。
「中国語で話さないでよ。ズルをされてもわからないわ」
「私たちがズルをする? とんでもない!」
「麻雀は、頭でするゲームよ」
娘たちは、中国語を話すことも、読むこともできません。
「中国へは、(お母さんの代わりに)あたなが行くのよ」
やっと見つかった姉たちから届いた手紙を、母の友人が読んでくれます。
「会えるのを、とても楽しみにしています…」
幼い時から嫁ぎ先を決められ、まるで人身売買のように嫁がされたリンドン。でも、彼女は
運命に流されるのではなく、自ら切り開いて生きてきました。
2度目の結婚を目前にした娘とともに、美容院を訪れます。
結婚式に出る出ないでもめたり、髪型でもめたり…。似たもの同士のような母娘。
「期待? 期待なんかしていないわ。娘を何不自由なく育てたかっただけよ」
「子どもの幸せを望んで、どこが悪いの?」
インインは、娘のリーナの結婚がうまく行っていないらしいと感じていました
買い物の明細が細かく書かれたメモが貼ってあります。
「あっ、それは、彼が生活費は平等に負担しようと言うのよ」
整った部屋には、暮らしのにおいはせず、よそよそしい冷たい風が吹き抜けていました。
インインは、思い切って話し始めます。裕福な家庭に生まれ、激しい恋の末、結ばれたはず
なのに…。夢のように恵まれた生活だったのに、夫の浮気に傷つき、心のバランスを失うま
でになってしまったインイン。ボロボロになった彼女は、生まれたばかりの自分の息子に手
をかけてしまうのです。
「本当に、あなたは幸せなの? 本当に、彼を愛しているの?」
アイメイの娘ローズは、意欲と才能に溢れた美しい娘です。彼女に夢中になったデッドは、
中国人であることに難色を示す両親を説得して結婚しました。
でも、結婚と同時に家庭に入り、平凡な妻になっていくローズに、だんだん魅力を感じなく
なるのです。仕事の話もしなくなり、彼女を無視するまでになってしまいました。おどおど
と暮らすローズにアイメイは言います。
「ほしいものを手に入れるためには闘うのよ。自分の望みをきちんと言うのよ」
「子どもたちは、手放さないわ」ローズは主張し始めます。
ジューンが、姉たちに会うために中国へ向けて出発します。
母の亡くなったことを知らない姉たち。母に会えると楽しみにしているに違いない。
「なぜ、(母の亡くなったことを)伝えてくれなかったの?」
「あなたが直接言うことが一番いいと思ったからよ」
上海の港に降り立ったジューンは、雑踏の中、母の面影のある女性二人を見つけます。
「・・・」
「お母さんは死にました」
「いつ?」
「4ヶ月前」
「まぁ!」嘆き悲しむ姉たち。
「私は、妹のジューンです」
姉たちと抱き合いながら、ジューンは思うのです。
――初めて母の期待に応えることができた――
4組の母娘の物語は、どの母の気持ちも、どの娘の気持ちもわかり、心がジグザジに動きま
した。
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