青春の苛立ち


  作品名:青春神話
  監督:蔡明亮
  1992年作品
  台湾
  1993年東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞受賞






バイク・ゲームセンター・予備校・貼り紙だらけの電話ボックス・ネオン・たくさんの人・人・人・・・。 何の説明もなく、どんどん展開される台北の若者の日常・・・。都会というのは、台北も、東京も、よく似て いる・・・。
「青春神話」は、現代の台北の若者たちの苛立ちが伝わってくるような映画でした。

敷かれたレールに乗るのがいやで、予備校の授業料を払い戻してしまおうとするシャオカン。彼の父はタクシ ーの運転手。息子の将来に期待をかけて、高い授業料を払い込みました。信心深い母親も、息子の大学進学を 願っています。のしかかってくる両親の期待から逃れようとするシャオカン。
なんとか授業料の払い戻しに成功したシャオカンが擦れ違うのが、この辺りを根城にしている不良のアツーと 彼の兄とも付き合っているアクイ。アクイはとっても魅力的な女の子。





予備校生シャオカン。 不良仲間のアツーとアピン。 そしてアクイ。



アツーは、悪友のアピンとつるんで電話ボックスを壊したり、ゲームセンターに盗みに入ったりして小銭 を稼ぎ、そのお金で遊びまわっています。アクイを誘って三人でラブホテルに行って、またそこから二人で抜 け出してみたり、行き当たりばったりの毎日を重ねています。
キュートなアクイにチヤホヤする男は多いけれど、みんな、どこか投げやりで、いい怪訝な男ばかり。頼りた くても頼れるような相手ではなさそうです。
アツーが兄と暮らしているアパートは、すぐに水浸しになるボロアパート。両親もいない。心が休まる場所な ど、誰にも、何処にも、ないのです。

ふとしたきっかけで、アツーたちの日常を知ったシャオカンは、その苛立ちをぶつけるようにアツーのバイク を壊してしまう・・・。

主役のシャオカンもアツーも、監督が路上でスカウトした素人の若者だそうで、素の感じを与え、ドキュメン タリーのような印象を与える作品です。

お金があれば、満たされるのか・・・。自分の思い通りになれば、満たされるのか・・・。勝負に勝てれば、 満たされるのか・・・。
いろいろなものを飲み込んでうごめく都会。泡のようにたくさんの人が集まり、泡のようにたくさんのことが 生まれては、また消える都会。その都会でもがく若者の苛立ちが迫ってくるような映画でした。



けいこの映画観 メニューへ戻る