美しさの詰まった映画


  作品名:をどらばをどれ
  監督:伊勢真一
  撮影:瀬川順一
  日本
  1994年作品





「をどらばをどれ」は、「をどり念仏」の発祥地・信州佐久跡部村に、700年に わたって伝え守られてきた「念仏踊り」を記録したものです。そういうと「文化映画」 と思われがちですが、演出家の伊勢真一さんは、「これは、記録映画でも、文化映画で も、劇映画でもありません。まるで、絵巻物のような映画です」と、おっしゃっていま した。
その言葉どおり、美しくて雰囲気のある映画でした。

板で四角い囲みを作り、その入口から念仏を唱えながら入って行きます。「こんにちは。 こんにちは」と、挨拶をしているような踊りです。中に入ると、ぴょんぴょんと飛ぶよ うに踊ります。まるで、子供が嬉しくて飛び跳ねているような感じです。そして、最後 は、後ろ髪を引かれるように、振り返りながら振り返りながら踊って帰ってくるのです。

板で囲まれた四角い世界は、あの世とこの世が交錯する特別な舞台のように見えました。 幼くして亡くなった子に会う人もいれば、励ましを得たくて母親に会う人もいるように 思えました。あの世の人は、懐かしい笑顔でやってきている・・・。

上弦の月。雨に濡れた小道。すくーんと立っている1本の大木。水かさを増した早春の 水路。桜の花びらが畑の畝に散りゆくさま。おばあさんの笑顔・・・。本当に美しい映 像に溢れていました。
カメラマンの瀬川順一さんは、きっとファインダー越しに、たくさんの美しいものを見 たに違いありません。映画になった絵もあれば、撮られただけの絵も、瀬川さんが覗い ただけの絵もあったでしょう。瀬川さんには、たくさんたくさん美しいものが見えてい たんだろうなぁ〜と思った映画でした。


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