トレーニングノート(風洞実験)    2003.4.20


 独立行政法人航空宇宙技術研究所】

 スキーのトレーニングに風洞実験..と聞くと、なにやら大げさで難しいことのように感じますが、流体力学の理論は別としても、体感としては実に貴重な体験となります。なにしろ実際のトレーニングは瞬発的なものであり、頭でいろいろ考える余裕はありません。それが、風洞実験室であれば体感だけであっても空中姿勢をじっくりチェックできます。

 
航空宇宙技術研究所(NAL)・東京・三鷹、調布では4月の第3週の日曜日に一般公開を行います。子ども対象の工作教室や航空力学のシュミレーターと一日いても飽きないイベントですが、今年は風洞実験室にジャンプ道具を持ち込んで体感シュミレーションをやらせてもらいました。
 実験は2×2低速風洞を使わせてもらいました。この風洞実験室は風速60m/毎秒までの風を再現することができます。
 これまでは、実験室内に設置された模型(左写真)に無数につけられた糸の動きや前方より流す煙を記録して気流をつかんでいたのですが、新たに各部位に当たる風圧と気流を詳細に画面上に再現できるようになったそうです。部位による熱変化を知るサーモグラフィーをイメージしてください。
 どれぐらいの風速で実験するかというと、体重と飛び出しスピードから簡単に計算することができます。今回は最大風速24m(アプローチスピード85km/h、向かい風4m)で、アプローチの腰の位置、サッツの方向、体の角度、顔の向き、手の位置などをチェックさせてもらいました。

 スキー板は床に密着しているためにV字はとらず(板を開くと風圧で横へ流れてしまう)、ノーマルスタイルでY軸方向の角度(上体の丸み)に重点を置きましたが、板を押さえる台を工夫すれば、空中とほぼ同じ体感、データが得られるそうです。

 風速を強めると想像以上の風圧を受け、後ろで板と腰を押さえていても少しずつ後ろへ持っていかれます。体の軽いどべ吉は、上体の角度と丸みがある点に達す
ると、ホバークラフトのように板ごと浮き上がってしまいました。
 
 一定の風圧を受ける中で、腕を伸ばしたりおろしたり、また、手のひらの向きを変えたり、あごの位置、視線を変えていくのですが、簡単そうに見えても上体の角度、腰のポジションを維持するのが精一杯で、風圧のMAXは2分ほどですが、終わったときにはヘロヘロになっていました。静止画像ではわかりにくいのですが、VTRを見ると怒号飛び交う(?)臨場感が伝わってきます。

 前述の風圧モニタを使わせてもらえば、筋肉による力のいれ加減もズバリ視覚的にもはっきりするのです。さらに、前方に一定の形の障害物を設けると、前方からの風圧だけでなく横風の入り方も再現できるのではないかと思います。
 
 航空宇宙研究所が独立行政法人に移行したことに伴い、
民間からの研究要請を含む流体科学の応用実験にも開放 
されるようになりました。風洞実験室の利用も1時間・2万 
円でデータを録ってくれるそうです。              

主任研究官の藤田さん(写真右端)も、ジャンプを含めた
流体科学の研究を企画するのですが、肝心な競技界から 
の要請がないために実験が行えない..とのことでした。 

私たちは、年に一度の一般公開の期を捉えてゲリラ的に
体感トレーニングをさせてもらっています。年々エスカレー 
トしているにもかかわらず、「やあ、今年も来ましたね」と快 
く体験させてくれました。                    

SAJが全日本のトレーニングの一貫として活用してくれれ
ば言うことありませんが、たとえJr.チームや大学生であっ
ても貴重な体験がぐっと身近に活用できるのです。  
                          
(2003.4)
     

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