小・中学生サマージャンプ大会 NAGANOシリーズ'98
               
INDEXへ戻る][HOMEへ戻る

 はじめて家族とJr.サマー大会の追っかけをやったときの記録です。
 この観戦で、野球やサッカーと同じように少年達が夢を追いかけジャンプ競技を楽しんでいることを知りました。そしてまた、我が子が「ジャンプをやってみたい」と言いだすきっかけにもなりました。
     ○ 燦然と輝くスモールヒル

 夜半に家族で家を発ち、長野県・木島平のシャンツェに到着したのは早朝だった。取り付け道路があるとはいえ、冬にはゲレンデになる草原を車で上がるのは不安がよぎる。「試合中に怪我人が出たら、車のすれ違いができないんじゃ大変だ」などと考えながら、狭い駐車場へ着く。

 まだ眠っている家族を車に残して、足早にシャンツェを拝みに行く。
 あまりの立派さに驚かされた。白一色に塗り染められる冬と違って、サマー台は、アプローチやバーンの色彩コントラストのおかげで異様に光って 、並んでそびえるミデアムヒルと共に威風堂々としていた。観客スペースはごくわずかで周囲の山の斜面が迫っているせいかもしれない。どこか白馬の競技場をミニチュアした観もある。SH(スモールヒル)はK点が35m、MH(ミディアムヒル)はK点65mと、想像したよりもはるかに立派なものだった。

 早朝にも関わらず、大会事務局の山本さんはクラブハウスで、準備に余念がなかった。挨拶をした後、思い切って質問してみた。
「あの‥、周辺にはうんと小さな台はない、と聞きましたけれど、初心者なんかは、どうやってジャンプに入るんでしょう?」
「もちろん、この台から始めますよ。」 えっ、こんな台で‥!? うそっ‥!
「いやね、ジャンプは5年生から始めるんですけど、それまでクロス(カントリー)やってるから、スキー操作がうまいんですよ。だから、ランディングバーンで直滑降の練習をするんです。それができれば、すぐにスタート台から降りる事ができるんです。カンテ(踏み切り部分)の段差は低いですから。」
 でも、小学生なんだから、怖がる子だっているんじゃないですか?
「まぁ‥、そういう子は、Kが25mの野沢の台に連れていって練習させます。」
 なるほど‥、納得!あとで地元の方に聞いた話だと、野沢温泉周辺だとクロスカントリーもうまくないと一人前とは言えないそうな。地域によって、初めてのジャンプへの入り方も違いがあるようだ。

  ○ チビッコジャンパーの姿(in木島平)

 ひとまず朝食を仕入れに、飯山に下る。山を登るときには気がつかなかったが、車で下ると正面に飯山シャンツェが見えてくる。呼べば答える位置関係だ。遠くからだとMHが目立つ(NH・ノーマルヒルは冬のみ)が、あの分だと、飯山のSHも大きそうだ。近場に練習台が豊富だと、逞しくなるだろう。

 朝食を買ったコンビニで小学生の選手を見た。母親が車を運転し、あわただしく食料を買っている。弟らしき低学年の子どもは、まだ後部座席で寝ている。よく見かける、何でもない風景だ。しかし車の屋根には、真新しいジャンプ用のスキー板が2台積んであった。あの低学年の子も飛ぶんだろうか?
 結局、車は下の駐車場に置き、ピクニック気分でシャンツェへの道を登っていく。まだ初日のせいもあって、朝の高原の雰囲気を家族で感じていた。途中、選手を乗せた車が何台も抜かしていった。マイクロバスあり、じっちゃんの軽トラックありで、母親の運転する乗用車もかなりあったのが、いかにも小学生の大会らしい。

 すでにシャンツェの駐車場はすし詰め状態だった。怪我人に備えて救急車もちゃんと待機している。戸狩のチームだろうか、外国人コーチ(フィンランドのパシィ・フィットネン)が小学生十数人をしたがえてウォームアップをやっていた。ところで、どこで観戦すればいいんだろう?MH側は、いくらか観戦スペースがあるけれど、みんなブレーキングトラック横の幅2mあまりの狭い通路に腰かけている。スキー板も置いてあるので足の踏み場にも困る。仕方がないので、飛び終えた選手が出てくる脇に腰を下ろした。結局3日間、父母・引率・若干の地元関係者をのぞけば、我々だけがよそからの観客だったようだ。無理もないと 思うけど…。
 
  いよいよ小学生の部がはじまった。
 ジャンプの競技の場合、トライアルラウンド(試技)があるので、初めて見る選手ばかりでも、だいたいの力を推し量ることができる。どうやらそれはチビッ子ジャンパーの大会でも同じようだ。

 学年が低い方から始まり、小学2年生が最年少で50名強の参加があった。
 「あんな小さな子が‥!」と思うような選手が、果敢にアプローチから飛び出してくる。2年生でも、しっかりと踏み切り、膝が伸びている子はいる。
   ロープトウが使える冬と違って、選手はシャンツェスタート地点までの取り付け道路を、長い板を担いで歩いて登らなければならない。真夏の日差しの中、身長120cm前後のチビちゃんが、2m近い板を抱えてため息している姿は文句なくカワイイ!思わず「ガンバレ!」という声が出てしまう。コンビニにとまった車に寝ていた子かもしれない。

 おもしろいと思ったことは、20m以下の飛距離だと着地の時、スキーのテールをランディングバーンに引きずってしまう。これを、ちゃんと飛距離として換算していることだ。小学生ならではの判定なのか、それとも公式ルールなのか?大人でも、着地点をどこに採るかによって飛距離判定に差が出てくるように思うのだが…。

 声援の仕方も小学生大会ならではのものだ。
「ちゃんとテレマーク入れなさいって言ってるでしょ!」と母親が檄を飛ばせば、
「冗談やめてよ!転倒したら飛型点がでないじゃないか!」とは、転倒を持ちこたえながらも30mを越した5年生の弁‥。
 学年が上がってくると、地元は強い、強い。自信を持って飛距離を伸ばしてくる 。新潟・妙高のコーチがつぶやく。「こんなでかい台で、よく20mも飛んだよ。5月から飛び始めたのに‥」
 どうだと言わんばかりに30mを越してくる地元の子に対して、オモチャのような台でクロスカントリーの板で練習している白馬の子がかわいそうだ。果敢に挑戦するだけたいしたもんだ‥。と感じていたのもつかの間、最後に飛んだ白馬南小の中村謙仁君には驚かされた。すでに中学生の体格になりつつある彼は、脚力を生かしてただ一人K点に持ってきた。フォームもきっちり決まっている。結局、彼はトライアルを含め3本ともK点に持っていき、初戦で優勝した。いったいどこで練習しているんだろ?よもや、白馬のNHを飛んでいるわけはあるまいし‥。

 全体的には、飯山の小学生の強さが目立ったけれど、2位に入った群馬・草津小の佐藤慶生君の無理のない柔らかなフォームが、中村君と対照的だった。
 そして、女の子ながら9位に入った新潟・五日町小学校の茂野美咲さん(小6)は、立派としか言いようがない。積極的に踏み切り、29.5m,29.0mと、飛距離だけみれば、6位に相当する。

   ○ 見応えのあった中学生大会

 小学生の1本めが終わった頃から中学生が集まり始め、あわただしくなってきた。スペースを見つけては、自分たちで空サッツをやっている。今回、応援をしようと決めてきた北海道の選抜チームもいる。あれっ!? どうして、山田いずみさんや葛西賀子さんという女性ジャンパーが来ているんだろう?飯山の大会には出る、とは聞いていたけれど‥。

 下川中の伊東大貴君も千田侑也君も一目でわかった。NHKのスポーツ教室に出ていた頃と比べると、さすがに中学生らしくなっている。
「東京から来たけれど、最後まで応援するからね。飛びすぎてケガするなよ。」
と声をかけると、2人とも不思議そうな顔をしながらも、ハッキリとした返事が返ってきた。中1とはいえ、結構、大人の雰囲気があった。
 空サッツで、抜群にきれいなフォームを見せる長身の選手がいたが、北海道・琴似中の安川友貴君だということが後になってわかった。また、中学生女子ではただ一人、渡瀬あゆみさんが光を放っている。小6の時に東北の大会で男子をゴボウ抜きしたという。脚力で圧倒的に勝る男子にもまったく負けていない。兄は高校生になったばかりの雄太君だが、のびのび大きく見せるジャンプは兄妹での活躍に期待できるものがあると感じた。

 最初に驚かされたのは、テストジャンプだ。素晴らしい空中フォームで、軽々60m地点まで飛んでくる。テストジャンパーで、このレベルだと、大会はどうなるんだろ?‥と思ったけれど、よく見たら葛西さんだった。彼女は五輪でテストジャンパーをつとめ、LH(K=120m)の公式練習では、K点越えを見せて会場がどよめいたぐらいだ。いずれにしても、選手よりもテストジャンパーの方がうまいというのも面白い。山田さんも見事だった。
 小学生同様、スタート順が早い選手はキャリアの浅い選手達なのか、明らかに、練習よりも大きな台を飛ぶ事に対する恐怖心と戦っている。カンテで踏み切るので精一杯の選手もいる。また、V字に開くことに苦労している選手もいた。そこそこの飛距離を出し、テレマークも決めていることから、V字に開けるようになれば伸びてくるのではないか。やっぱり、ある程度大人になってからジャンプを始めると、最初の壁はV字に開けるかどうか、ということなのかもしれない。あまりに、小学生達がごく当たり前にV字で飛んでいるのを見ているので、かつての一流ジャンパー達がV字転向に苦しんでいたことを忘れるところであった。

 転倒者が多くなるようになってきた。それほど危険な転び方ではないが、サマーではP点の手前で転倒すると急斜面を滑り落ちる。散水していても、相当   な摩擦熱なのか、ジャンプスーツに大きな穴があくほどだ。転倒した選手は、一様に「アッチッチ‥」と悲鳴を上げる。
 一人の選手がランディングで前のめりに転倒した。はずれた板がミサイルのように、ネットを突き破り観客席に飛び込んできた。観客席といっても、我々の家族の他には、地元の家族連れと老夫婦がそれぞれ1組いただけだったので危険はなかったのだけど‥。すぐに立ち上がった選手に声をかけると、痛みはなさそうだったがショックを受けていた。見ると、ブーツのつま先が割れてしまっている。替えのブーツはないそうだ。2本めはガムテープで固定して飛んだらしい。

 今回の観戦を通じて印象に残ったこととして、所属チーム(地域)によって使用している用具に雲泥の差があったことだ。さすがに中学生ではいなかったが、小学生の使っているビンディングには札幌五輪で使われたものと同じタイプのものが見られた。特殊の用具を使用するスポーツだけに、中学生レベルでマテリアルに差があると、アルペン競技と比較しても、何とかならないものかとかんがえさせられるものがある。

 いろいろと考えているうちに、上位選手が飛ぶ順番になってきた。
 どうせ、よそ者の観客は我々だけなんだから‥ということで、思いっきり北海道選抜の選手に声援を送る。勢いのあるジャンプを見せた秋元一真君は、驚いた顔でこちらを見た。ジャンプを見ても研究熱心さがわかる千田侑也君は、照れながら手を振った。なにしろ、新潟の引率をしていた女性が、響きわたる。テナーで「○○ガンバ!」と声をかける以外は、いっさいの応援はない。しーんとしている中でのミーハー的家族声援だから、その違和感たるや‥相当なものがあった。なんとなく冷たい周囲の視線を感じてしまった。
 それにしても、中1の伊東大貴君のジャンプはダントツだった。
 アプローチからランディングまで無駄な動きがないし、スタートから躍動感がある。踏み切りのタイミング・方向性は文句なし。サッツの時に「蹴る」というより、スムーズに体を「飛ばす」感じだった。1本め64.5mのただ一人のK点ジャンプ、2本めも62.5m飛び、飛型点もオール18.5で15P差で楽に逃げ切った。中学生としての抜群のうまさは葛西紀明の中学生時代を思い出させるし、ジャンプのタイプとしては千田君も含めて岡部孝信タイプなのかな?と感じる。
 伊東君、千田君、それに4位に入った新潟・塩沢中の木村直弘君(中2)を   除いては、上位入賞者が体格のできた中3だったからかもしれない。力強く踏み切り、前傾動作から飛行ラインに乗っていく土屋厚士君(草津中)、国分哉伸君(飯山第三中)、池田峻二君(野沢温泉中)らと違って、低い飛び出しから、体を動かすことが少なく風に乗っていく。ずいぶん大人のジャンプを見る思いがした。

 表彰式の後、声をかけに行く。秋元君に「応援してくれたんだから、御礼にいけよ。」という一声もあり、わざわざ5歳の下の子にまで御礼を言われた。それにしても、中1だというのに話しぶりが大人だ。「コーチとは、どういうお知り合いですか?」と聞かれて、言葉に詰まってしまった。別に、あやしいもんじゃありませんが‥。
 
 ○ 野沢から飯山へ(大会を観戦して)

 大会は、木島平から野沢温泉、飯山へと舞台を移して3日間連続で行われる。さらに翌日、飯山では高校生以上の大会が行われるので、女性ジャンパーや、そこでテストジャンパーをつとめる北海道選抜の中学生は、4日連続の大会参加となるわけだ。それぞれの大会には公式練習があり、競技終了次第、次の会場に向かい、午後を利用して行われる。昼間は夏の日差しがジリジリと焼き付ける中、移動しながらの3連戦はちとキツイのでは…?
 選手達にとってきつければ、3日間、テント生活で観戦を計画した我々にとっても、いささかハードな3連戦だった。もっとも、我が家の子ども達にとっては、生まれて初めてのキャンプに大はしゃぎだったが…。

 トライアルラウンド(試技)が始まるのは、朝8時からと早い。
 天候が安定せず、夜になると雨がひどい。2日目は中学生の大会が先だったが、朝からシャンツェは濃い霧に包まれていた。ミディアムとはいえスタートゲートもカンテも見えない中から、選手達が飛び出してくる。トライアルとはいえ、あまりに危険ではないかと感じた。まるで、五輪団体戦での原田選手の1本目を思い出させる状況だった。

 幸い競技開始の頃には霧が晴れ、やっとシャンツェの全貌がはっきりした。
 野沢シャンツェは、毎年FIS公認大会が開かれるNH(K=80)、MH(K=55)   SH(K=25)、と3つのサマー台が、ブレーキングトラックを共有する形で並んでいる。SH、MHの規模は木島平より小さいものの、3連台というのは盛んな土地柄の伝統を感じる。キャンプ場のある山の上から見ても、村の風景にマッチしていた。ヨーロッパでは4連台、さらには6連台があるという。光景を想像するとうらやましい限りだ。
 そして、S、M、Nと練習台を大きくしていったとき、LH(ラージヒル)でのアプローチが最大20m伸びるということは、選手にとっていかに恐怖心が倍増するか想像できるような気がする。

 ここでの中学生のジャンプを見ていると、風向きの関係もあるのか選手の力強い踏み切りが目立つ。あとでシャンツェプロフィールを見てみると、木島平に比べるとアプローチが短く角度が若干、急になっている。そして、Rの半径はやや短く、弧がきつい。こんな台を落下台というのだろうか?などと考えてみた。
 風は微風の中で、競技が進められた。時折にわか雨はあるものの、雲の切れ目からさす日差しは強烈だ。ブレーキングトラックで、中学生から挨拶をされた。見ると、昨日転倒してブーツが割れてしまった選手だ。心配して声をかけた礼なのだろう。試合に出ていることがわかり安心したが、同時にすがすがしさも感じた。

 試合の方は、スタート後半の地元・野沢温泉中学の池田峻君、富井亮太君、が自信を持ってK点ジャンプを見せると、前日の入賞者、土屋厚志君(草津中)、国分哉伸君(飯山3中)も力強く伸ばしてくる。北海道勢は、安川君が伸びのあるジャンプでK点にもってきたので、後続に期待をかけたが52m前後の飛距離であった。1本目としてはまずまずなのだが、千田君はちょっと飛びづらそうだったし、伊東君は踏み切りでややバランスを崩しているように思えた。
 結局、土屋君が申し分ないタイミングで2本ともK点をそろえたが、飛型点の差でわずか1ポイント池田君に及ばなかった。秋元君が2本目でタイミングを外し10位に終わった以外は、安川君5位、伊東君6位、千田君7位と仲良く順位が並んだ。
 上位10人の顔ぶれというのは、前日とあまり変わらない。その安定した力と技術に驚かされたが、やはり地元の台というのは精神的にも余裕を持たせるらしい。池田君の自信あふれるジャンプと、土屋君の力強い差が印象的だった。

   試合中、一人で応援していたおばあちゃんに声をかけられた。北海道から応援に来た家族だと思ったらしい。コンバインドのメダリスト、河野孝典さんのお母さんだった。ドイツでの指導者留学を終え、日本に戻った河野氏は、ドイツから中学生を連れきたという。河野さんのお母さんが手を振ると、ドイツの中学生は笑顔で人なつっこく応えていた。
 いろいろとお話を伺い興味深かったが、特に「孝典は小学生の時から、試合なんて見に来るな、って言っていたんですけどねぇ。大倉山のW杯の時(引退を決めた試合)だけは、どうしても見に来てほしいっていうんですよ。」というくだりは印象的だった。小学生の部も一緒に観戦させてもらったが、見守る眼は非常に若々しい。

   小学生の部は、木島平とは一転して、いかにも小学生のジャンプ大会らしい飛距離の争いになった。小さい台だと、文字通りジャンプ脚力の勝負になるのか、中村謙仁君にかなう者はいなかった。フォームの美しい佐藤君が2位で続き、飯山の小学生は飛距離でも飛型でも、ほんのわずかに上にいかれる、と悔しがっていた。

   3連戦最終日の飯山は、選手も観戦も暑さとの戦いだったように思う。袖から出ていた部分は、首筋も腕も上半身火傷状態に近かった。

 小学生の部は、ここでも中村君が圧勝し、佐藤君がそれに続いた。
 ただ、ここで印象に残ったのは、岐阜県からのただ一人の参加で、この日だけ出場した船渡裕太君(久々野小)だ。しっかりとした踏み切りとフォームで力強いジャンプを見せ、3位と健闘した。岐阜県には小さい台はない、と聞いていたので、いったいどこで練習しているのだろうか?と思った。

 中学生の部では、伊東君の逆転総合優勝に望みが残っていた。
 応援も3日目を迎え、エキサイティングになる。秋元君や、千田君、伊東君が試合前に応援に対する御礼を言いに来てくれたこともあり、周囲の眼を気にせず大声を出した。飛び終えた選手も、後から飛ぶ先輩を声援する声が目立ってきた。
 しかし、試合の方は池田君と土屋君の、のびのびとしたジャンプが目を引いた。やはり、中1と中3ではスタミナに大きな差が見られる。
   伊東君はそこそこ粘っていったが、どうもサッツの時の板のばらつきが目立つようになってきた。1本め3位につけたが、2本目の向かい風を生かせず4位に終わった。池田君、土屋君、国分君の連続K点越が圧巻だ。それにしても千田君もそうだが、中学生になって3ヶ月でよくぞここまで戦うものだ。みんな、順調に育って欲しい。

   翌日、飯山サマージャンプ大会の応援もした。今度は、インターネットの呼びかけで、岡山県の倉敷から駆けつけてきてくれたファンと応援した。声援したのは、もちろん、山田、葛西の女性コンビだ。ただ、女性4人で大会では、あまりにもかわいそうだ。ヨーロッパのサマーグランプリでは、女子の部が正式に認められ盛り上がっているというのに、胸を張れる選手がいるのに‥、歯がゆくて仕方ない。

 暑さに参った以外は、予想以上に楽しく、勉強になった観戦となった。特に千田君が語ってくれた北海道・下川町におけるジャンプの強さの伝統は、相手が中学生といえども大人は耳を傾ける必要があると思った。そして、「W杯のテストジャンパーとして大倉山に出てくるのを、首を長くして待ってるよ。」と言ったときの、「ハイ!目標にします」と返事した、あのキラキラした眼が忘れられない。

 ただ、苦言を一つ言えば、観客を想定していないとはいえ、受付にプログラムや成績表をもらえないかと申し出たところ、「役所に行ってくれ」と言われたのには閉口した。

 少年達は、野球やサッカーと同じように、一流選手に対してのあこがれや夢をもっている。むしろ、ジャンプを特殊なスポーツだと決めつけているのは、大人の方なのではないだろうか?そんな事を感じつつも、来年以降はもっと人を連れて行こうと決心し、次の目的地の白馬へ車を走らせた。                     (1998.8)