『異風堂々』(いふうどうどう)が収録された
 入賞作文作品集が出版されました
 
                            2002年3月20日

  読売新聞社賞 『異風堂々』〜東京君のスキージャンプへの挑戦〜




第51回全国小・中学校作文コンクール

 
作文優秀作品集(小学校)
  
  読売新聞社編
  (出版社)ぎょうせい
    定価2,476円税別
 ○他の収録作品 (高学年・全9編)

 「ありがとう」  不登校の体験から家族の絆を描く
           (文部科学大臣奨励賞受賞) 
「130キロ14時間30分のゴール」  母娘の遠野までの自転車紀行
「ミスGへ伝えたかったこと」  パレスチナ人教師への思い                               
☆タイトルの由来
 「‥僕はエルガーという人の作曲した『威風堂々』という曲をとても気に入っている。‥今では僕のことを『東京君』と呼ぶ人はいないけれど、「東京の子どもでもジャンプに挑戦できる」という自信は『異風堂々』という言葉がぴったり合っているように思う。」            
   
   ■□ 講 評 □■      後藤竜二(児童文学作家)
  
 小児ぜんそくで年に四、五回も入院していた和大君は、運動が苦手だと思いこんでいましたが、長野五輪のスキージャンプを観戦して夢中になり、ジャンパーとしての訓練にのめりこんでいきます。その様子が、キレのいいキビキビとした文章で書かれています。400字詰め原稿用紙で50枚もの作文を一気に読ませてしまう筆力にも驚きましたが、なんといってもジャンプに打ち込む情熱と根性です。恐怖心を断ち切って飛んだジャンプで失敗して気を失い、ゴーグルには穴があいてしまいましたが、やめたくなるどころか「胸をはりたい気分になった」というのですから、度胸と情熱はハンパじゃありません。
 「勇気を出した勲章だね」
 そういってくれるお母さんも、すごいうなあと感心しました。
 ジャンプを始めて以来、ぜんそくの発作は一度もなく、ついには全日本の大会で目標を勝ち取ります。
 「夢を追求して、自分を発見したい」
 風に乗って飛ぶ和大君に、心からの声援を送ります。

 


広げたい!ジャンプのすばらしさ 1    夢鳥     2001/10/10

○変わりゆく夢..それは自己変革か?幻か?

 「長野サマーシリーズで3戦とも15位以内に入って、SAJのランキングポイントをもらう」
本人が明確にこんな目標を立てたのは、5月の妙高の大会で30mをマークした時からだったと思います。現実的に見ると、メンバーから考えてもベストで14〜18位の実力。決して高い目標とはいえませんが、ジャンプを始めた頃の経緯や様子を見れば、本人が燃えるのも無理ないことです。北海道や長野の人の感覚でいえば「優勝でなければ意味がない」「目標と言ったからには表彰台を!」というところなんでしょうが、それはサラブレッドの世界です。
 遺伝的な運動音痴に加えて、患者認定を受けるほどの小児喘息の持ち主ともなれば、「ジャンプ台を飛んでみたい」(注:「ジャンプをやりたい」というレベルではない)というのが精一杯背伸びした夢であり、空想であったわけです。

 子どもがジャンプを始めて、ちょうど3年が経とうとしている今、当初考えてもいなかった生活に家族丸ごとはまりこみ、子どもの成長も方向性が大きく変わろうとしています。ここへきて、夢を持ち、目標に向かって取り組むことが、どれ程潜在的な力(いわゆる才能や運動能力という限定されたものではありません)を引き出し、自己を変えていくか、身震いするほどの実感があります。もしかすると、単なる自己暗示による幻なのでは?と不安に感じてしまうときすらあります。
 まさか「本人が大会の成績を目標にする..」などとは予想だにしませんでしたが、いったい何がボク達家族を変えたのか?そのきっかけは?原動力は?と親子でそれぞれじっくりと振り返ってみる必要がある、と感じました。

○体験を振り返る…客観化への近道

 親の立場で考えると、我が子が千田侑也君に誘われたことに始まり、下川での初めての体験、そこで偶然出会った蓑谷春之氏、渋谷久夫氏、渡瀬弥太郎氏、その後、連鎖的に広がる様々な出会いのおかげでここまでやってこれたと考えています。そしてそれは当初より励ましてくれていた白馬の栗田夫妻や謎のマニア・内山大冠氏らとの親交もより深く結びついたわけです。
 しかし、これはいわば大人の視点であり、まだ小学生であるわが子達には「お世話になった人たち」という認識の範疇を越すものではありません。子どもには子どもなりのきっかけとなる経験があり、出会いがあったはずです(大部分は親が考えることと重なってはいますが)。
 子どもの10年、20年先を考えたとき、ジャンプ選手として競技を続けている可能性は考えにくいのですが、現在の子ども達の体験が将来の成長の鍵となるためには、どうしても自己客観化、すなわち「子どもが自ら体験を振り返ってみる」という作業が必要であると考えました。
 和大の場合、小6というちょうど節目にあり、客観化のためには作文が最適な手段でした。
 そもそも東京の小6の夏といえば、中学受験に向けて睡眠時間5,6時間で勉強している子も珍しくなく、いくら「我が道を行く」教育方針であっても、打ち込んでいるジャンプ生活とセットで作文に取り組むことがあっても良いと思います。いわば卒業論文とも呼ぶべきものでしょうか。

○取り組むにあたっての打算

 Y新聞社の主催する作文コンクールは歴史も古く(すでに50回)、唯一、枚数制限なしの真っ向勝負という日本一のコンクールです。思いの丈をぶつけ、文章表現に集約させる。それを評価してもらう場としては最高の舞台です。また、新聞社主催ということだけあって社会の動き、子どもの意識相、社会的話題性という点にも大変敏感です。
 そして何よりも日本一(文部科学大臣奨励賞)になると、作文が新聞の全国版に掲載されます。社会的な話題性如何によっては、受賞後、作文を基に教育映画が製作されることもあります。何はともあれ「日本一」というのは容易ならぬ夢(その前に東京代表にならなければ話にならない)であることは間違いありませんが、子どもが体験してきた「本当にすばらしいこと」「お世話になった様々な人」への最大級の恩返しができる(ずばりジャンプのすばらしさを広める)こととなります。これが、親子の打算..いや、目標です。
 半ばプロの眼からしても、我が子に卓越した文才があるとは思っていませんし、求めてもいません。その意味では、コンクールの結果そのものは東京都審査で佳作に入ればもう十分です。しかし、子ども自らが体験の価値を認識し、目的(賞を取ることではありません)を持って綴ることができたら、体験そのものが社会的にも評価されるのではないか?そんな期待も心の片隅にあります。そもそもジャンプへの挑戦自体が「無謀だ」「妄想だ」という反響の方が多かったわけですから、それから考えれば、あながち可能性がないわけではないと思います。

○取り組みの実態

 作文指導というのは、作文を書く前の「意識」の持ち方の指導で決まります。
 いくら我が子だから時間は持てる..といっても、3年間のぎっしり詰まった体験を振り返らせるわけですから、親子共々、途方もなく精神を消耗しました。3年間の出来事を網羅する年表をつくらせる。その中から、心に残る場面をピックアップさせる。なぜ心に残ったかを考えさせる。テーマを決め、それに沿って構成を考えさせる。さらに、振り返って自分が「変わった」と感じるきっかけを見つけさせる。そして再び構成の練り直し。いや..ジャンプの指導の方がどれほど楽か?
 ここで難しいのは、途中でいっさいの親の感情を見せないこと。ちょっとでもスキがあると、我が子であるがゆえに、親の期待する答えを見つけようとしてしまいます。それでは子どもの作文にならないのです。文章表現については学校の先生に任せ、「意識づけ」「自分を発見する」ことに全精力を注ぎました。
 かくして、和大が書き上げた作品は原稿用紙120枚あまり...。親として充分に認めてあげたいけれど、これでは長すぎてコンクール出品にはなじまない。さりとて、文章を削って短くするレベルでもなし。まさに心を鬼にするしかありませんでした。再度、子どもと徹底的に話し合い(..というよりか、怒鳴り合い)、親子関係険悪になる中、最終的に40枚まで削らせました。
 経験的にいうと、入賞作品は15〜25枚(小学校高学年の部)ですから、これでもやっぱり長すぎるのですが、これ以上体験そのものの記述を削ることは、作文を書く目的を変えてしまうことになります。文字通り能力の限界でもありました。

 本人としては「やり遂げた」充実感があったはずです。だから結果として選にもれても、それほどショックはないのではないかと思います。また書けばいいんだから..。ただ、終わった直後はとてもスポーツをやってる少年とは思えない風貌になっていました。無理もないことですが...。
 日本一といわずとも、入賞して出版される作品集に載れば、50人ぐらいはジャンプをやる子どもが増えるんではないか、と今は期待しています。

広げたい!ジャンプのすばらしさ 2    夢鳥     2001/10/20

◎第51回 全国小・中学校作文コンクール(読売新聞社主催)
  東京都審査結果(小学校高学年の部)

 特選・東京都教育委員会賞   異風堂々                 6年
                    
-『東京君』のスキージャンプへの挑戦-

                        1. ある日見た夢   2. あこがれは長野五輪から   3.われたゴーグル
                        4. 「三ない練習」からのスタート  5. 初めてのジャンプ板
                        6. 棄権した僕と失格になった弟  7. これがスランプというものか..
                        8. トレーニング日誌ずっしりと  9. 目標に向かって僕は飛ぶ
                        10. 夢は自分を変える             

【審査員講評】
 「夢の実現への努力は、自分を変える」が主題。多くの人に支えられてK点を越えるジャンプが実現した。3年間の事実経過、自己の内面の変化を文の構成を考えながら、うまく説明描写している。                                 (配付資料より)
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 題を見て意外性と興味がそそられ、長い作文だが最後まで一気に読むことができた。
 「うそでしょ。」と言ってしまいたくなるような体験が重なっている一方、構成がよく練れているために体験の意味が鮮明に描かれている。たくさんの人との関わりが述べられている点が良い。                                    (表彰式での講評)
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 3年生より始めたジャンプにかける思いを、原稿用紙40枚にぶつけた。「書きたいことを全部書いたら100枚以上になっていた」‥ジャンプへの憧れは、やがて挑戦になっていく。‥
「お世話になった人に読んでもらいたい」。北海道のコーチに読んでもらうことを楽しみにしている。‥作品には「誰にも負けない」というジャンプにかける思いがあふれている。
                          (10.19 読売新聞東京版 作品紹介より抜粋)

 入選・読売新聞社賞    モトイと日本語           4年
                            
12年米国で生活した兄が帰国。空手に通う喜怒哀楽。
                  三十五日間イギリスの旅     6年
                     
        イギリスでの3つの山への挑戦。英国人一家とのふれあい。
                  ミラクルベビーと命の葉っぱ   6年
                     
        未熟児だった自分の成長を豊かな記述力で描く。
                  きくたろう              5年
                            
人気者であり、ユーモアのある父を描く。

  他 佳作入選  10編 

 かなり運が良かったと言えます。代表に選ばれるか否かは紙一重だったと思います。一番のねらいを審査で読みとってもらえたことが最も嬉しいです。これから先は粛々と待つのみです。目的が目的だけに、罰は当たらないでしょう。(^^;)


第51回全国小・中学校作文コンクール          2001/12/ 1
  
(主催:読売新聞社  全国審査・小学校高学年の部)
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特選・文部科学大臣奨励賞  あ り が と う           小櫻  愛 6年  広島

特選・
読売新聞社賞      百三十キロ 十四時間三十分のゴール  片山 温美 6年  宮城

特選・
読売新聞社賞       異 風 堂 々            内藤 和大 6年  東京
                
〜『東京君』のスキージャンプへの挑戦〜

特選・
(海外部門)        ミスGに伝えたかったこと      林  咲愛 5年  アメリカ

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  入選           
「心の目」と、幸せのクローバーにお願い  下川原悠生 4年  青森
  入選            夏 物 語              田中  萌 
4年  岩手
  入選            愛子のお話玉手箱         谷  愛子 
4年  徳島
  入選            私の方言調査            徳永彩子  
6年  愛媛
  入選            私たちの手で             瀬戸口美香
6年 鹿児島


      佳作  10編

 小櫻さんは、妹(3年生・2年連続入選)ともに受賞。片山さんは4年生(入選)に続く2回目

 
※表彰式は12/1 ホテル・ニューオータニにおいて、高円宮殿下、妃殿下および全国審査員を迎えて行われる。

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