シャンツェ・ワーキング(オールシーズン台)


シャンツェ使用の心得
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 ジャンプ台には神様がいる..
 そう教えてくれたのは、昔、ヤマ(鉱山)の男だった団長さんだった。団長さんはシーズン始めに台をつくるとき、必ず御神酒をカンテに捧げる。「念を入れる」とは、このことだろう。

 信心やジンクスではない。俳優が舞台に、アスリートがグランドに敬虔な姿勢で臨むのと同じようにジャンパーはシャンツェに接するべきであると思う。
 自らの力を最大限発揮し、ケガのないトレーニングを心がけることは競技にかかわらず、練習での心得でもある。

 冬のバーン整備と違って、オールシーズン対応のサマー台は、散水すればいつでも使える。その使いやすさは雪なし圏のジャンパーにとってまさに福音であるが、同時に、台によってメンテナンスの差が激しいものとなっている。

 日常のちょっとしたメンテナンスの差が、台そのものの寿命にかかわることは、大鰐や片品を見れば言うまでもない。しかし、それよりも重要なのはインランの汚れや過度の散水がジャンプに及ぼす影響がほとんど留意されていない点にある。

 オールシーズンシャンツェは、打ちっ放しのゴルフ練習場や壁打ちテニスとは違う。
 最高のパフォーマンスを得る基本原理は押さえた上で技術向上に努めたい。
         
 《スノーチャイナ》

 インラン部のスノーチャイナは最も繊細で高価なパーツだ。消費税だけで100万円単位のシロモノである。

 水まわりが悪いと、夏場はセラミックが高温となり、スキーの抜けが悪くなる。WAXや落ち葉のせいだ。

 市販のデッキブラシ(たいていジャンプ台に常備してある)を使い、充分に水を流して、汚れを取りながら温度を下げておこう。

 ブラシの両端をノコギリで切っておくとレール幅に合い、作業が楽である。R1は特に汚れている。
   《インランの水抜き》

 使用後のインランの水抜きは、うるさいところとそうでないところがあるが、使用後はカンテ部のコックを捻って水抜きしておくことが基本だ。
 
 春先や霜の張る秋は、管の中の水が凍って、管が破裂することがある。また、夏場でも水抜きを怠ると管内部のサビが散水のズルの目詰まりを引き起こすのだ。

 次に使用するときは、水圧で管内部の空気が急激に押し出される。これによってノズルのクリーニング効果がもたらされる。また、弁の閉め忘れもチェックできるのだ。
 

 ○汚れ、痛みの場所

・セラミックタイルの目地
・レールカバーの樹脂
・タイルの切れ目の散水ノズル
         
 《ソーメンがはずれたら》
 転び方にも巧いヘタはあるが、特に大人の場合、体全体で転ぶとソーメンのピースがはずれてしまう。

 通常、ソーメンは2〜3個のフックで留まっているだけなので、できれば補修しておきたい。その場で直しておかないと、場所がわからなくなり、後のジャンパーが足を取られることがある。

 ちなみに、妙高高原SHは、網掛けを行わず、毎年、ソーメンを貼りつける作業を行う。
   《散水のポイント》
 散水のポイントは、「一度蒔いたら、あとは飛ぶ直前に蒔く」。雨が降っていても散水は必要なのだ。
 手蒔きの場合、まったく人任せのチームもあるが、「つまる」場所にすら鈍感で、冬のバーン整備はどうするんだろう?と思う。
 散水のポイントは、ソーメンの切れ目の芝とブレーキングトラックの逆斜面およびその両脇である。
 芝に対してソーメン樹脂の水保ちは良い。表面が濡れていれば充分である。台滑りをやる場合は、カンテ下、デコの部分も忘れずに..
   《過度の散水に注意》
 散水の配管は、一度、上部の貯水槽へポンプで汲み上げ、上からの水圧で蒔いている。
 したがって、過度に蒔くと水圧が下がって水がとまる(水切れ)。一度、止まってしまうと2〜4時間は使えなくなる。スモール、ミディアムなどの併用の時に起こりやすい。
 また、過度の散水によってソーメンの切れ目付近に水たまりができてしまうと、危険であるので水を吸い取らなくてはならない。
 自動散水の場合、弁の開閉を工夫して節水しよう。
         


※ソーメンの太さは台のタイプによって異なる。
 サマーでは滑走面にハンドクリームを塗る選手も多いが、油脂であるので塗りすぎはソーメンを傷める。
   《ゴミの持ち帰り》

 近年、ジャンプ台では、カラスによる被害に頭を痛めている。弁当の食べ残しやコンビニ・ゴミによるものだ。また、夏場は水分をとるためにペットボトルの処理も問題になっている。

 ジャンプ台は殆どの場合、観光地の一角にあるが、こういった問題は、ジャンプ固有の問題と言うよりも、社会的な常識と言っていいだろう。

 管理する人間は役場の一般職が多いのでビジーターには少々厳しいことが多い。
   《開き・仕舞い》

 いわゆるバーンの網掛け、網はずしである。管理会社が行うのは一部の台であって、長野や新潟では高校生や少年団(OB含む)保護者がボランティアで行っている。

 シーズンはじめの台づくりに比べれば、実に単純な作業であるが、たとえ押しかけて手伝っても、なんの迷惑にもならない。

 プロフィールの勉強、地元への感謝、そして何よりも交流によって得られる情報は大変貴重なものである。

 

 少々、説教じみてしまいましたが、ホームシャンツェを持たない雪なし圏ジャンパーは、よそ者だからこそ、一般のゲレンデとは違うことを理解して練習に励むべきだと考えた次第です。
 「なぜ、そうしなければいけないのか?」がわかれば、練習の質も変わってくると考えています。

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