全長90kmに及ぶ、輸入港・鹿島の飼料団地(製油会社含む)周辺までの

輸送経路に当たる道路周辺の自生遺伝子組み換えナタネの調査

 

ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット

入沢 牧子

 

 農水省が2004629日に発表した、茨城県鹿島港周辺の「原料用輸入セイヨウナタネのこぼれ落ち実態調査」の問題点は、以前に指摘してきていますが、その後の環境省による遺伝子組み換えナタネの自生調査報告、今年の調査まとめ発表はまだです。環境省への聞き取りでは、今年の輸入港周辺に、やはり自生の遺伝子組み換えナタネがあったということです。

 私たちが本年(’04年)7月から実施している輸入港周辺を含めた移送道路周辺の調査から、遺伝子組み換えナタネの自生がどの輸入港からも検出され、横浜では関連施設から直線距離で1kmの時点でも自生が認められたことから、実態調査は、輸入港の数km範囲を調査したのでは、到底間に合わないことが分かってきています。

 正式な報告はされていませんが、環境省から実態調査を請け負っている独立行政法人の国立環境研究所が、支援金を得たプロジェクトに申請した調査によると、鹿島からの販路に当たる千葉県内の国道51号線で、遺伝子組み換えナタネの自生を確認しているということです。

 これらを考え合わせると、実態調査をするためには、かなり広範囲を調べる必要があることが考えられます。また、販路の情報開示も必要と思いながら、調査を鹿島港からの道路で実施してみました。

 

(1) <調査日>20041027

(2)  <調査地域>:茨城県取手駅から出発し、利根川沿いに鹿島港に向かい、交差点周辺、鹿島港の飼料団地周辺、総距離90kmに及ぶ調査をしました。


<主な調査場所>
取手から鹿島港までを、利根川沿いに移動しました。主に徒歩で周辺をあるいて観察した場所。@小堀、A栄橋、B長豊橋、C常総大橋、D神崎大橋、E水郷大橋、F谷原、G居切、Hジャパンフィード、I昭和産業 

(3) 確認された事実

 (3-1) ナタネ類の自生:

  この日の温度は、20度近く、風も出て寒い日でした。最初に降りて探索した@小堀は、356号線の脇とその周辺、土手、土手下に、地生えのカラシナがあり、採取している人達を見受けました。地元では、昔から、自然にあるカラシナを採取し、食しているということでした。そのカラシナの中に、咲いたセイヨウナタネがあり、その周辺には、菜の花類の芽が20以上ありました。A栄橋にも菜の花の芽が出ていました。B長豊橋近くは、きれいに草刈がされていて、ナタネ類は見つかりませんでした。C常総大橋では、りっぱなセイヨウナタネを見つけました。D神崎大橋、E水郷大橋の近くも除草作業をしていて、草が短く刈り取られていました。

  水郷大橋から51号線に乗り、鹿島神社、木滝、堀割川と移動し、F谷原では、小さな芽が密集して出ているところを見つけました。部分的に除草作業をやっていましたが、124号線沿いの道路脇、歩道脇に、ナタネ類を見つけました。大きなものはありませんでした。G居切では、何カ所もナタネを見つけました。中央分離帯、道路脇に、タネがなっている菜の花もあり、大きく成長した菜の花は、除草の意味もあり抜いてビニール袋に入れました。鹿島港に近づき、飼料団地中側の道路脇歩道は、菜園と思うような多くのナタネ作物がありました。中には、花の咲いたセイヨウナタネがあり、抜き取りました。飼料団地の表門の側は、きれいに清掃、除草され、ほとんど菜の花類は見ませんでしたが、昭和産業の向かい側道路脇に花の咲いた菜の花があり、抜き取りました。

 (3-2) 採取試料と簡易検査キットによる結果

  簡易検査キットは、これまでの調査同様、グリフォサート除草剤耐性蛋白(CP4EPSPS)に反応する米国NEOGEN社のCP4検査キットと米国SDI社のTraitRUR検査キット、グリフォシネート除草剤耐性蛋白(PAT)に反応する米国SDI社のTraitLL検査キットを用いました。

  @小堀LLに反応あり()、A栄橋は、反応無し(×)、C常総大橋LL○、F谷原LL○、

  G居切×、HジャパンフィードLL○、I昭和産業CP4○、昭和産業の正門側×

(調査場所での写真)

(4) 調査結果へのコメント

 (4-1)今回、これまでの調査と一番の違いは、輸入港から80km以上離れた場所にも、輸入ナタネに由来すると考えられる菜の花が咲いていたことです。時期的に在来のセイヨウナタネが花を咲かせる時期とは考えられませんから、輸入のナタネ由来でしょう。

  輸入港からの販路は、情報公開される必要があります。

 

 (4-2)また、地生えのカラシナを食する習慣のある地域に、遺伝子組み換えナタネ類のGMカラシナが混ざっていけば、近い時期に交配が起こると考えることは難くないでしょう。食用として日本が許可した遺伝子組み換えナタネでも、その作物の葉をそのまま食する事は考えられていないと思います。ほとんどが、油として食するとされていますが、葉を食するとしたら、とても問題があると考えられます。

  ですから、遺伝子組み換えされたセイヨウナタネは、熱処理された形での安全確認をしていても、生に近い形で食することが検討されたかを確認する必要があります。その土地、国によって、利用の仕方、摂取量が違ったりと、申請された遺伝子組み換え作物の検討段階でも、日本独自の確認の方法をとることさえされていません。

 

 (4-3)横浜の調査でも言ってきていますが、菜の花類の種類がどうなっているかの実態調査、菜の花類の栽培をしている地域にすでに隣接の事態がハッキリしてきていますから、早急に、国内の菜の花の実態調査をしなければいけません。

 

 (4-4)輸入を許可した以上、その影響に対して、予防的な措置を取ることは当然です。時間が経てば、例え遺伝子組み換えナタネが自生していても、大勢に影響はないとの判断は通用しません。今までも、そういった安易な判断が、後々回復のしようがない事態を生んできています。環境への影響を調査し、その結果が実際明確に見えてきた段階では、遅いのです。

先日、1112日に「生物多様性影響評価検討会総合検討会」の傍聴で、委員から、今の段階でも多様なシミュレーションをし、生物多様性に影響がないかを設計できるのではといった内容の発言がありました。それに対して、知見がまだ得られていないことはありますから、今後科学的な知見が得られれば、検討項目も考えていかなければならないでしょうと会代表委員の答えでした。それは、絶滅危惧種を例に、湖沼等の多い日本では、遺伝子組み換え作物から導入遺伝子に関連したものが水溶性の場合、その影響を考えていかなければいけないのでは。日本の実態に合った検討項目の設定をすることも必要ではないかといった内容の発言でした。遺伝子組み換え作物の承認以前の未整備と思われる部分への意見ですから、当然、その時に申請されていた遺伝子組み換えトウモロコシやワタは、許可される段階でないと判断される必要があると思いましたが、すんなり、通りました。

  許可する責任として予想される事態の予防処置はセットであるべきです。

 

 (4-5)今回、簡易検査キットでは、除草剤耐性蛋白に反応した結果がかなり出ましたが、これら全てが遺伝子組み換え作物かどうかは、別途検査の必要があります。ただ、この時期に咲いているナタネ類であり、除草剤耐性蛋白を有したナタネ類ということは、極めて、遺伝子組み換えナタネ類と考える条件に近いということは確かです。遺伝子組み換え種子の反応そのものといった反応を見せたものにあっては、遺伝子組み換えナタネとの判断は、妥当と考えます。

 

  農水省は、世代交代した遺伝子組み換えナタネが自生しているかどうかの調査がまだ継続ではあっても、それ以上の調査を現段階ですることは考えていないと、こちらの質問に答えていますが、農作物への影響を考えると、実態調査は、これからも全国規模で実施し続ける必要があると言えます。

  環境省の調査も、輸入港周辺だけでなく、栽培用種子にある遺伝子組み換え種子からの影響がないかどうかを調査するためにも、やはり、全国規模の調査を早急に実施していくことが重要です。

  

  国内で遺伝子組み換え作物を広げてしまったら、知見があったと行政が判断する段階では、手の施しようがなくなっています。そうならないためにも、国内での栽培、自生を取り締まることが重要です。