横浜港沿い及び周辺製油会社、飼料会社を囲む主要道路における
自生遺伝子組み換えナタネの調査
ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット
入沢 牧子
以前より実態調査を要望し続けていた農水省から、2004年6月29日、「原料用輸入セイヨウナタネのこぼれ落ち実態調査」が発表されました。セイヨウナタネだけでなく、在来ナタネの種類への組み換え遺伝子の広がりや、他の輸入港、河川だけでなく、栽培ナタネの実態をも含めた調査へと展開するのかとの問いに対し、「こぼれ種が自生することを確認し、それが世代交代しても生えているかを調べるだけで終わる。」「河川の調査は環境省が実施、安全の確認された遺伝子組み換えナタネだから問題にならず、雑種がたとえあっても弱いからほとんど生き残ることはない。だから農作物との交配もほとんど起こることがなく、万が一起こった場合の保障は、開発企業と生産者との問題」とする返答に、これではこちらが知りたい実態調査とはならず、今後の対応のためにも市民サイドでも調査をと、四日市港周辺での調査が取りかかりの最初となりました。
横浜港周辺の調査も、輸入港周辺の実態調査をこれからもし続ける一環と位置づけて実施しています。これらの調査から、今後の取り組みに向け、具体的な取り組みの目安を作成したいと考えています。
(1) <調査日>:2004年8月1日
(2) <調査地域>:東京湾アクワライン川崎側から
<主な調査場所>:大黒町の味の素製油、
新森町日清製油の周囲と、その一周り外側の道路周辺と海沿いに入れた所
<選定とその理由>:横浜港一帯は、製油工場、飼料工場があり、港別のナタネ輸入量(別表)も神戸に次いで2位。国別輸入量が定かでないが、四日市の輸入量と比べても2.5倍強あり、遺伝子組み換えナタネの輸入量もかなりをしめるのではと考えられるため、調査場所としました。
また、この時期に日本のナタネが咲く量は春先よりずいぶん少なく、開花した菜の花・実の付いた菜の花は、輸入によるナタネの影響があるものを含んでいるに違いないと考えました。
(3) 確認された事実:
(3−1)ナタネ類の土着:
今回の調査で、連日30度を越す暑さの中でも咲いている菜の花を見つけました。莢(サヤ)がすっかり乾き、種子が採取可能なものから、高さ15,16 cmのものまで、ナタネの種類が幾種類か見つかりました。春に咲くのとほぼ同様の大きさで花を付けたものもありました。
全行程30kmに及ぶ港周辺その周囲を、ほとんどが車からでしたが、かなり注意深く観察しての移動で、菜の花の群落をあちこち見ることはありませんでした。
日本農産から磯子に向かって移動し始めたところ、整備された片側2車線道路と道路の間の分離帯に、菜の花らしきものを発見。降りて見たところ、セイヨウカラシナや、セイヨウナタネがここまでに見ることのなかった小さなまとまりではあっても、固まって育っているところを見つけました。種類が違い、3ヶ所に固まっている状態でした。1群は、セイヨウナタネが15cm位から30cmほどの長さのものが、20株近くありました。その反対側には、30cm位のセイヨウアブラナが10本ほど。大きなイヌカキネガラシもありました。
最後の日清製油工場も、敷地内の周囲は、きれいに手入れが行き届いていました。その道沿いにもナタネを見かけることがありませんでした。それでも沿道を見ていると、分離帯側の道路沿いに、立派な菜の花が咲いていました。日清製油から1kmちかくのところでした。株も大きく、まだ緑の種子でしたが、中身の入った莢が、この時期には驚くほど付いていました。現在、自然に近く乾燥させています。
(3−2)採取試料と種の同定
採取場所1は、セイヨウナタネ。しっかりしたタネが取れています。ラウンドアップ除草剤耐性蛋白(CP4EPSPS)に反応する米国NEOGEN社の検査キットでは、除草剤耐性組み換えの箇所にうっすらと赤い線が出ています。(後日、新しい検査キットで調べたところ、ハッキリした除草剤耐性の線が現われました。)
採取場所2のセイヨウナタネ、セイヨウカラシナ、イヌカキネガラシのほとんどは、反応なく、ここでは、1本のセイヨウカラシナから薄い赤い線が出ました。)
採取場所3の磯子3丁目の菜の花からも、うっすらと反応がありました。これは、葉の色、形から考えても、在来ナタネ(ラパ種)様の西洋ナタネで、種子を採取するために、現在、水を与えながら、自然に乾燥させています。(ラウンドアップ耐性に陽性)
ナタネとは別ですが、採取したコーンも害虫抵抗性の蛋白に反応する2種類の簡易キット(米国SDI社のTraitレBt9,Bt1)で、検査したところ、うっすらと反応の線が出ました。(検査キットの保存状態が良いもので後日確認したところ、Bt9の反応はなく、Bt1に付いては、しっかりと線が出てきました。)
うっすら変化があることは、どう読むか定かではありませんが、遺伝子組み換えに関係のないものは、全く変化がありません。DNAレベルでのPCR法で検査を依頼すれば分かりますが、今回は、調査したことと、その反応がどのようかとの結果をまとめておくこととしています。後日、新たに入手した検査キットでハッキリした線が出たことから、最初に使用した検査キットは、風邪を引いた状態になっていたことが判明しました。
(4) 調査結果へのコメント
(4−1)この時期開花中の菜の花類があるとしたら、輸入したナタネに非常に関係があるナタネ類としか考えられないことから、この時期に、第1回目の実態調査を実施しました。その結果、春先に近い状態で開花したナタネがあり、その色、全体の形状、葉の形、花の様子、雄蕊、雌蕊の状態から見て、複数のナタネ類と思われました。セイヨウナタネ、セイヨウカラシナ、在来ナタネが交配しあっているのではと思われる様相でした。イヌカキネガラシもセイヨウカラシナと交配しているのではと思われるものがありました。
(4−2)簡易検査キットによる結果からは、横浜の場合、薄い色の線が出たので、今後の調査を見ながら、判断していくことになると思います。再検査で、はっきり出たものもありました。(味の素出入り口近くの写真1と磯子3丁目の写真3の西洋ナタネが、ラウンドアップ耐性に陽性の反応有り)
(参考までに:栽培用のナタネ種子ですが、同程度のうっすらとした反応のあったナタネ種子を検査会社に出したところ、遺伝子組み換え有りとなっています。)(今回検査紙が風邪気味で基準線もGM反応の線もうっすら赤い線の場合、対象が輸入西洋ナタネであると遺伝子組み換えナタネの結果であったと言えます。)
(4−3)鹿島港の調査や四日市の調査のように、大量のナタネを輸入していれば、それがこぼれたり、風、鳥等が広げたりは、あって当然の結果でしょう。安全を確認された遺伝子組み換えだから、たとえ外に土着しても問題がないとする鹿島の結果に対する農水省の見解には、全く同意はできません。今回の調査で、土着の状態も、かなり複雑に自然交雑(どこの段階でかは、不明でも)していることが分かり、在来ナタネ、菜の花類、菜っ葉類への影響を、危惧する事態は、変らないと実感しています。また、すでに、人家の近くまで、輸入由来の菜の花が来ている、そこで暑い夏にも、元気に咲き、しっかり結実している実態を考えると、花壇の花、家庭園芸、菜園、畑へと、道のりも時間も遠くないと思っています。
(4−4)農林水産省や環境省は、それぞれ管轄する部分で、法律を遵守するとしたら、その内容を保障する前提の準備、問題が起こってからでなく起こると予想される事態に対して、どう対応するのかと言った具体的な対策までをも含むことが担当省の役割だと考えます。
四日市の調査のまとめで、河田昌東さんが、除草剤耐性タンパク質CP4EPSPSには、イエダニのアレルゲン、Derp7のエピトープ(アレルゲンのアミノ酸配列)があり、花粉症の発生の恐れがあるとの研究者の報告を示されていますが、現時点での安全確認が絶対ではないと考えると同時に、許可を出したからには、その対策をも考えておく必要、対策とセットくらいのつもりで対応することが必要と考えます。
(4−5)先日、7月30日に「生物多様性影響評価検討会総合検討会」の傍聴をしましたが、その時に、専門家の方が後代交配種だからといって安全だと言い続けることに対して、一つ一つ確認する必要があるといったことを発言されました。もともと、この件は、以前から言い続けていますが、
予防的処置の一つとしても、後代交配種を良しとしてしまう判断は、訂正を迫られていると思っています。また、予期せぬ発現物質があったという内容を言われていました(詳細の確認は、できていません。)が、このようなことも言われるようになり、従来言われてきた慎重にという対応が、実行される必要があると思っています。
(4−6)今回の調査からも、今後の継続した調査の実施と、遺伝子組み換えを広げない具体的な対応策、責任のありようまで、きちんと考える必要を感じています。