6:「民間療法について一考」


はじめに

アトピー性皮膚炎については、様々な民間療法が存在する。ステロイドを使う皮膚科の治療で効果が上がらず、 これらの民間療法を試す人もいるし、はじめから皮膚科に行かず民間療法を試す人もいるだろう。初めて 行った民間療法でアトピーが治る人もいれば、幾つもの民間療法を試しても効果が無い人もいると思う。 自分は本格的な民間療法を行ったことがないが、本やインターネットで知った情報を元に民間療法について 幾つか思い当たることを述べたいと思う。以下の文章で、民間療法についていくつかの疑問や問題点を 述べるが、自分は民間療法を否定するつもりはない。ただ、一素人として素朴な思いを述べるつもりだ。

(*)もし、何らかの民間療法を試している方や民間療法の関係者の方がこの文章を読んで気を悪くされたら 申し訳ありません。僕は、別に他人が行っていることにケチをつけるためにこの文章を書いたわけでは ありませんし、民間療法を攻撃する意図もございません。


@効果があるのかないのか?

例えば、A さんに効果のある療法が B さんには効果が無い場合もあるだろう。アトピー性皮膚炎は人によって 原因(アレルゲンのことではなく、ここでは疾患を引き起こす体質上の原因のこと)が様々であるので、 根本的にアトピー性皮膚炎を解決する唯一絶対の療法は現在のところ存在しない(西洋医学も含めて) と言える。将来アトピー性皮膚炎の本質的なメカニズムが明らかになれば、そのような療法も明らか になるだろう。現在のところ様々な民間療法があるが、ある人に効果があるという理由で自分にも同様の効果が得 られる保証はどこにもないと思う。


Aその問題点

民間療法の最大の問題点は、科学的、統計的、医学的な根拠を示していないことだろう。高い治癒率を 示していても、医療機関などの第三者によって証明されているものはあるのだろうか?少なくとも僕は 知らない。だからといって、僕はこういう民間療法を否定する気はない。確かにその療法で治癒する人 がいるのだから。僕が問題と思うのは、客観的な評価が行われていない以上はいくら「多くの人が治った」 とか「高い治癒率を示す」とか「効果が大きい」などと言われる療法でも、その言葉を容易に信じること ができないということだ。つまり「良く効く」と言われる療法でも、実際試してみなくては自分にとって 効果があるかどうか分からないと思う。結局のところ@でも述べたことだが、アトピー性皮膚炎のメ カニズムは複雑で現在のところ明らかにされてない以上、どんな療法であれ過剰な期待は抱けないという ことだろう(だからと言って民間療法を行う価値がないといってる訳ではありません。客観的に証明されて ない以上は、すべての人に対して均一な効果が得られるという期待は持てないと考えているのです)。


Bリバウンドにも効果あるのか?

ある民間療法で一定数の人がアトピーを治したとしよう。では、その民間療法が脱ステ時に現れる リバウンドにも効果があるのだろうか?もし効果があったとしてもリバウンドの辛さを劇的に軽減 することはないと思う。リバウンドをステロイドからの一種の「禁断症状」とみなせば、いくら アトピーに効く療法を行っても、禁断症状を緩和する効果はほとんど期待でいないのではないだろうか。 もっとも、広い意味で健康に良いことをしている療法であれば、リバウンドにある程度は効果があるのかも しれない。しかし、経験者には分かるとおりリバウンドの症状や辛さは想像を絶するものであるので、 その程度を大幅にやわらげることは並大抵のことではできないと思う。

同じ理由で、成人型アトピー性皮膚炎の一部のケースにもこれらの民間療法の効果は限定的な範囲に 留まると思う。一部のケースとは、本来のアトピー性皮膚炎とステロイド皮膚症の和として成人型 アトピー性皮膚炎となるケース(「素人の独り言 5 」 参照;あくまで素人の仮説ですので間違ってる かもしれません。あしからず)のことだ。つまり民間療法でアトピー性皮膚炎の部分が改善されたと してもステロイドの副作用であるステロイド皮膚症の改善には、アトピー性皮膚炎に対する効果と 同程度の効果を期待することはできないと考える。もっとも、健康に良い療法を行えば体の治癒力 も向上するので、ステロイド皮膚症からの回復もやらないよりは早くなると思う。だから、 民間療法を行うことを否定する訳ではない(くどいようですが)。

ここで自分が言いたいことは、アトピー性皮膚炎に対する効果とステロイド皮膚症、 そしてリバウンドに対する効果をそれぞれ別個に考慮する必要があるのではないかということだ。 たとえある人のアトピー性皮膚炎には効果を示す療法でも、リバウンドに対してさほど効果を示さないの であれば、その人が脱ステした直後にいくらその療法を行ってもほとんど効果を示さないのではないだろう か。もしそうであればその療法が非常に高額な場合、リバウンドに対する治療として行うのは「費用対効果」 の面でかなりマイナスとなるであろう。


C民間療法の選び方について一考

ある療法の本をみると、その療法を行いながら脱ステし健康な皮膚を取り戻した例を記述してあったが、、その 療法をしたから脱ステにかかる期間やリバウンドの症状が劇的に短縮・緩和したのかというとそうでもないらしい。 その療法によってその人は脱ステを助けられたのは間違い無いが、その療法を行わなければ脱ステができ なかった訳ではないだろう。その療法にかかる費用はかなり高額のようだ。もしも、高い費用を払ったの に、何もしなかった場合と比べてリバウンドの症状があまり軽減されないとしたら、その療法はかなり 割高であり、他の療法を選択する(あるいは何もしない)方が良いのではないだろうか?

誤解のないように申し上げるが、だからといって他人に対して「そういう療法を止めなさい」と言うつもり はない。要は本人が納得して高額の費用を払ってその療法を行っているのなら何ら問題はない。 ただ、@、A、Bでも述べたように、第三者による客観的な証明がされてなかったり、アトピーや脱ステに対する効果 の違いが説明できていない療法は、個人的には積極的に試す気にはならない(絶対に試さないというわけでは なくて、試す際には「過剰な」期待は抱かないということ)。その療法が高額であればなおさら 慎重に検討する必要があると思う(「契約するな」と言ってるわけではありません)。

それから、アトピーに対する民間療法と限定せず一般的な「ビジネス」として考えた場合、以下のような 療法を行う場合には契約の際に慎重に検討する必要があると思う。

1、非常に高価な療法(費用が高いからといって効果が高いとは限らないし、唯一絶対の療法は現在のところ無い)。

2、はじめて契約する時に長期にわたる契約を条件とするもの(半年間とか1年間を一括して契約し途中で契約解除不可能なもの)。

3、非常に高い治癒率や効果を示すもの(「必ず」とか「絶対」とか銘打つものには特に疑問を感じる)。

4、勧誘がしつこかったり、次から次へといろんな商品を買わせようとするとこ。

5、効果がないのを、一方的に患者のせいにするもの。

6、メリットや長所だけを説明して、デメリットやリスクについての説明がほとんどなされないもの。

普通の状態であれば、このようなことについては、僕が述べるまでもなく契約時には十分な注意を払う ものと思う。しかし自分も経験上では、アトピー性皮膚炎やリバウンドが悪化した時は、理性を半分以上失い 、この辛い状態から解放されるのであればどんなものでもいいから試してみたいという気持ちになる。 わらにでもすがりたい気持ちなのである。こういう状態の時に魅力的な効果を語る療法が目に付けば、 思わず試して見たくなるだろう。だが、自分にも同様の効果があるという保証はないのである。 科学的な証明がない以上は、「やってみなくては分からない」、「相性の問題」、「確率の問題」 ということだろう。

それから、特別な民間療法にのみ頼るのではなくて、自分の精神面や、食生活、睡眠リズム、生活環境 などを含めた生活様式や、健康状態についても深く考慮する必要があるのではないだろうか。逆にいえば、 不健康な生活を行いながらある民間療法を試しても、その効果は著しく減少するのではないかということだ。 つまり、自分の生活をないがしろにしたまま薬や療法のみに依存するという「他力本願」的な気持ちでは、 アトピーの克服には至らないのではないかと思う。アトピーを克服するには、治療と同時に自分を見つめ直 す必要がある(だからといって宗教を勧めるわけではありません。否定するわけでもありませんが。)と思う。 その過程で、家族や友人、信頼できる医師の支えなどがあれば、心強いと思う。自分は、 「アトピーに克つ」とは「自分に克つ」(なんか「スポーツ」や「受験」みたいだ)ことでは ないかと思う。


まとめ

今まで述べたことをふまえて、民間療法についてをまとめると

1、第三者による客観的な評価や、科学的、医学的、統計学的な証明がされてないものがある(信用性に問題)。

2、すべての人に均一の効果を示すとは限らない(効く人もいれば効かない人もいる)。

3、よって、その効果や治癒率を額面通りには受け取れない(過剰に期待することはできない)。

4、アトピー性皮膚炎、リバウンド、ステロイド皮膚症に対してその効果を個別に考慮する必要がある。

5、上記 1 から 3 を考慮すれば費用対効果について慎重に検討する必要がある。

6、唯一絶対の治療法はないので、リスク(費用など)の大きい契約には注意が必要である。

7、民間療法に頼るだけではなくて、自分の生活などを見なおす必要もある。

ということになる。


おわりに

自分は本格的に民間療法を試したことがないので、以上のことはあくまで外から得た情報を元にした 考えである。よって鵜呑みにはしないでいただきたい。つまり僕が述べていることも科学的に証明されていないという ことだ(もっとも経験者が語ったことも科学的に証明されているとは限らないが)。

最後に、薬の処方やアレルゲンの除去を中心に行う大多数の皮膚科の治療(中にはそうでない皮膚科医も いらっしゃるが)と異なり、根源的な治療を目的とする民間療法は、対処療法を主とした皮膚科の治療 に対するアンチテーゼに成り得るということを述べる。


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