2004年度以降
 ウトロニュース No.44  2005.07.20発行




『ウトロニュース』は、「ウトロを守る会」が1989年に結成して以来、全国の会員に発行・郵送しているニュースレターです。

1/ 2005.08.15(月)
戦後60年ウトロ発 新しい未来へ
− 新井英一と共に平和への道 −
8月15日(月)
戦後60年ウトロ発 東アジアとウトロを結ぶ 新しい未来へ
− 新井英一と共に平和への道 −


  • ■ 開始 午後5時〜
    開会 あいさつ・経過報告など
    韓国MBC TV衛星生中継
    朗読『オモニの歌』 ウトロのオモニ
    合唱 ワンコリア青年学生
    アピール
    合唱 ウトロのオモニ
    ―――
    新井英一チャリティコンサート
    ―――
    午後8時 閉会
  • ■ 場所
    宇治市伊勢田町 「ウトロ広場」
    京都駅から近鉄京都線普通で「伊勢田」まで約20分。駅下車後徒歩10分
    ※注意 車でのご来場はお控えください


                    ↑京都
                       ||
                  近鉄   ■■
                  伊勢田駅→■■
               \       ■■
                >−−−−−−−−−−
          |  | /・八百屋   ||
    −┬−−−−┼−−┴/        ||
     |    |  ・伊勢田建設    ||
     |    ★            ||
     |   ウトロ広場         ||
     |●                ||
     |城南勤労者            ||
     |福祉会館             ||
     |                 ||
                    ↓奈良
  • ■ 主催
    ウトロ町内会 ウトロを守る会 朝鮮総連南山城支部 韓国民団南京都支部
  • ■ その他
    • 入場は無料です。
    • 軽食も準備します(おにぎり+お茶)。
    • ご来場のみなさまには「ウトロ募金」をよびかけます。
(青ひょん注:TV生放送の関係で、演目の順番・時間が、郵送した時点の内容から変更されました/2005.08.04)

2/ 戦後六0年 韓国・日本を結び
ウトロ土地問題解決の新たな一歩を
ウトロ町内会 副会長 厳明夫
昨秋以降、韓国におけるウトロを支援する運動の高まりは私たちウトロ住民に大きな希望を与えています。土地問題が起こってから十八年の歳月が過ぎようとしていますが、残念ながら、日本国内での司法判断・行政交渉・市民運動だけでは、解決に向けた有効な手立てを講じることは困難を極めていました。
多くの皆様の支援を受けながら、なかなか解決に向けた前進がはかれないもどかしさはありながらも、住民のウトロに住み続けたいという強い気持ちはこの十八年間変わることはありません。
そこには、植民地支配の中で日本に渡って来ざるを得なかった一世たちの思い、そしてウトロという荒れた地を戦後自らの手で開拓し、今日の「住宅地」を築いてきたという「誇り」を守り抜く強い意思があります。それは単に法律的な「所有権」では語りつくせない「在日の思い」と言ってよいものがあるように思います。
戦後六〇年という節目を迎えた今年は、土地問題の解決に向けた最後のチャンスかもしれません。日韓の外交交渉の席でも「ウトロ問題」が議題に上っています。韓国では、「ウトロを甦らせる市民募金」も始まりました。乗り越えなければならない問題は山積していますが、ウトロ住民は、ウトロの新しい未来にむけて、代償を支払ってでも「土地の所有権を獲得する」ことを決議しました。
平たく言えば、土地所有者から土地を買い取るということです。ただ、高齢者世帯や生活保護世帯の多いウトロでは、たとえ市場価格より安価だとしても資金を出せない人々が多くいます。買い取る力のある人は自らの力で、資金のない人は韓国をはじめウトロ問題を支援する人々の力を借りて、将来に渡りウトロを残していくための努力を開始していきます。
必ず買い取れるという「約束ごと」がある訳ではありません。しかし、住民の団結した力とご支援いただいている国内外のみなさまの力を合わせることで、さまざまな困難を乗り越えていきたいと思います。
在日の戦後六〇年の歩みは、ある意味旧植民地時代の残滓を引きずったものでした。「本名を名乗ることがなくても仕方がない」「年金がなくても仕方がない」「公営住宅に入居できなくても仕方がない」「企業に就職できなくても仕方ない」そんな思いに支配されてきました。これを突破する運動も多々ありましたが、多くの在日にとっては、在日としての「誇り」をあまりにも忘れ去った歩みでした。
ウトロの住民たちにとって、ウトロの土地(家)は、たとえ住環境が悪いといわれても「誇り」であり、「ふるさと」なのです。だからこそ、最高裁で判決が確定しても「仕方がないから出ていくか」にはならなかったのです。
そして、このことが、ウトロ住民はもちろんのこと、今まで在日の問題に目を向けることが少なかった韓国本国の人々、在日同胞の人々と共同の営みとして実現することができれば、在日が新しい一歩を踏み出すことになるに違いありません。
来る八月十五日には、韓国MBCTVがウトロを衛星生中継で結ぶ「共に創る平和」という四時間番組を企画しています。多くの韓国のみなさんにウトロの、そして在日の「思い」を伝えたいと思います。これにあわせウトロでも、歌手の新井英一さんをお招きして、「戦後六〇年・ウトロ発。新しい未来へ」と題するチャリティーコンサートと集会を予定しています。
どうか一人でも多くのみなさんが八月十五日=「戦後六〇年目のその日」を、京都ウトロで迎えていただきますようお願いいたします。

七月五日、国連人権委員会の特別報告者ドゥドゥ・ディエンさん(真ん中)がウトロを視察した。「日本にこのような場所があることに驚いた」「コミュニティーの方々の尊厳・連帯感をここで見ることができました。これは大変重要なことです」と率直な感想を住民に伝えるとともに国連への報告を約束した。 20050705

3/ 2004年秋以降の経過報告
  • 2004年
    9月15、16日
    「韓日中国国際居住問題研究会議」 韓国春川市 江原大学
    ウトロ町内会より黄順禮さん、金良子さん、姜順岳さん、韓金鳳さん4人のオモニが参加し、ウトロ土地問題をアピール。韓国のマスコミが大きく報道

    11月9日
    駐日韓国大使(羅鍾一氏)・京都府知事との会見で「ウトロ地区への特別な配慮」を要請
    11月14日
    「日本居住福祉学会第10回研究集会」城南勤労者福祉会館 後、ウトロ焼肉交流会

    11月17日
    韓国大阪総領事(鄭華泰氏)ウトロ地区訪問、宇治市役所訪問

    11月22日
    韓国外交通商部在外国民領事局長(李俊揆氏)ウトロ地区訪問

    12月9日
    日韓アジア太平洋局長会議でウトロ問題が議題にのぼる
    外交通商部のパク・ジュンウアジア太平洋局長と日本外務省の藪中三十二アジア大洋州局長は9日、東京で両国アジア太平洋局長会議を行い、京都府宇治市にある徴用韓国人集落「ウトロ」の住民強制退去問題などについて話し合った。韓国側は「強制退去の脅しにさらされている230人の在日韓国人について、日本政府の関心と支援を求める」とし「彼らがウトロ地区に定着した歴史的背景や基本的人権を考慮し、解決策を立てろ」と要求した。これに対し日本側は「ウトロ問題には歴史的経緯があることは認める」とし「現在、当該地方自治体で円満な解決を図るためいろいろな努力を行っており、今後とも注視していく」とコメントした。
    ウトロ問題が両国の外交の場で話し合われたのは今回が初めてだ。(中央日報より)
  • 2005年
    2月23〜25日
    韓国市民団体「KIN」メンバーらウトロ調査

    3月30日
    民団・総連からの「ウトロ問題請願」宇治市議会全会一致で採択
    宇治市議会 国関係省庁に「意見書」を送付

    4月23日
    韓国与野党国会議員 金炯桂氏ら4名がウトロ訪問。宇治市役所訪問

    4月25日
    韓国「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」メンバー ウトロ訪問

    4月27日
    韓国ソウル「ウトロ国際対策委員会」発足集会。ウトロを守る会2名出席

    6月1日
    韓国ソウル「国会討論会 韓日協定と在外同胞」韓国 国会会議室
    主催「ウトロ問題を考える国会議員の会」 ウトロ町内会 会長・副会長2名出席

    7月5日
    国連人権委員会特別報告者 ドゥドゥ・ディエンさんウトロ公式訪問

    7月7日
    第9回日韓領事当局間協議で韓国側が「ウトロ問題解決に向け努力を要請」

    7月17日
    韓国国会議員 柳基洪氏 ウトロ訪問

    上記以外にも韓国のTV・新聞などマスコミの取材が相次ぐ

4/ 高齢者住民環境調査を実施して
ウトロを守る会 澤竹大輔
6月12日、京都府宇治市伊勢田町51番地、通称ウトロ地区で住民生活環境調査が実施された。生活環境調査は前回5月29日に続き2回目。学生有志など10数名が参加、高齢者世帯を戸別訪問し、住人の日常生活・居住環境などを調査した。調査の目的はウトロに住む高齢者の置かれている実体を把握することにある。支援側としては今回の調査結果をもとに基礎資料を作成し、今後の支援につなげたい考えだ。
ウトロは、大戦中に国策で進められた飛行場建設に従事させるため半強制的に徴用された朝鮮人の飯場跡に起源がある。敗戦後は、政府・企業は何らの補償策を講じないまま、朝鮮人労働者を置き去りにしてきた。土地の所有権問題をめぐって争われた一連の訴訟では、2000年の最高裁判決によって被告・住民側の全面敗訴が確定。現在までウトロ住民は土地を「不法占拠」している状態が続き、勝訴した土地所有者による強制執行の不安におびえながら生活している状況だ。
2・1ヘクタールの同地区には、約65世帯、200人あまりが生活している。そのうち16世帯、20人が高齢者だけの世帯だ。ウトロ住人の高齢化は急速に進行している(ウトロ町内会による調査資料から。尚、2004年、宇治市の平均値は15・6%)。

生活保護率が高く、年金受給率が低いのがウトロ高齢者世帯の特徴だ。生活保護世帯は全体の約2割、年金受給者は1割以下と、両数値も宇治市の平均値から大きくかけ離れている 。このため高齢者世帯には生活困窮者が多く、高齢者に見合った居住環境の補修・改善はなされていないのが現状だ。今年に入ってからは、高齢女性が家内で転倒し骨折する事例が報告されるなど、高齢者世帯への支援策が喫緊の課題となっていた。

今回の調査には筆者も参加、3世帯の聞き取りに回った。各戸によって差はあるものの、居住環境に不備があるのは確かだ。くみ取り式の便所、生活用水に井戸水を使用している世帯が多く存在する 。ウトロ在住歴35年の女性(84歳)は、持病の関節痛を抱えながら戸外にある便所を利用している。玄関から便所までは10mばかりの距離だが、その間に50pほどの段差が二つあり、関節痛を抱える高齢者にとっては酷だ。筆者が見る限り、女性方は老朽化が激しかった。トタン葺きの家屋は、戦中の飯場の姿を連想させる。心配事はありますかという問いに対して女性は、「風雨で家が壊れないか心配している」と不安そうに答えていた。
今回の生活環境調査を組織した「地上げ反対!ウトロを守る会」(通称「守る会」)のメンバー、斎藤正樹氏は調査の意義について次のように述べている。 「住民がかかえている問題の所在を明確にすることが大切だ。不動産や土地売買などの金銭面レベルの問題が争点であるのは確かだが、在日一世の生活レベルの問題を見過ごすべきではない。実際にウトロに住んでいる人たちの立場にたってどれだけ考えることができるかが支援側に問われている。今回の調査は、住民当事者だけでなく、日韓の支援側双方、政府や地方自治体に対するメッセージになるだろう」。
生活環境調査は本来行政がすべきことだ、と金教一氏(ウトロ町内会長)は述べている。3月末には、自治体による現状把握、政府による支援要請を骨子とする「ウトロ問題」解決に向けた請願が宇治市議会に全会一致で採択されるなど、支援側はウトロの現地視察を行政に対して強く要請してきた経緯がある。また、4月には韓国の超党派議員で構成された「ウトロ問題を考える国会議員の会」のメンバー4人がウトロを視察。宇治市に対して生活実態の共同調査を提案している。しかし、こうした再三の要請にかかわらず、国・地方自治体は、《ウトロ問題=土地という民事問題》として不介入の姿勢を貫いたままだ。いままでこの問題を放置しておいて今更行ったところで何をされるかわからないー現地調査に踏み出せない国・自治体の姿勢の中に、「一種の恐怖感」が働いているのではないかと指摘する声もある。
ウトロ問題で一貫して問われているのは戦後補償の問題だ。ウトロ問題を単純に土地問題として片付けることはできない。戦時中に徴用されウトロに住み着いた朝鮮人をそのまま放置してきた、そこに今日のウトロ問題の根源がある。根本の原因を作り出した、また、その問題を放置してきた国・企業の姿勢は強く指弾されなくてはならないだろう。
支援側は不動の国・自治体にしびれを切らした訳ではない。今回の行動は、責任を回避し続ける国・地方自治体・企業に対する、不作為をただすための抗議行動でもあるのだ。

(脚注i)
生活保護率については、ウトロの20%に対して宇治市平均は約1%。年金受給率については、ウトロ8%、日本人平均9割以上というデータがある。データは2004年11月時点。ウトロ町内会による調査資料を基に筆者が作成。

(脚注ii)
86年8月にウトロ住民が宇治市に水道敷設の要望書を提出。ウトロの一部で給水が開始されたのは88年4月のこと。また、97年9月には住民12世帯が宇治市に給水を申し込むが、地権者の承諾がないとして拒否されたケースがある。下水の設備はなく、生活排水は直接水路や川に流されている。

5/ 事務局から
「ウトロを守る会」は八九年の結成以来、会員のみなさまの会費とカンパで運営してきました。本当にありがとうございます。ニュースレターの発行でウトロからの情報を全国のみなさんに発信することを継続しなければならないのですが、ここ数年は年に一〜二回しか発行できていません。要因は、郵送費の問題やスタッフ不足を挙げることができますが、ウトロのことをご心配くださっている方々に的確な情報を提供できなかったことをこの場を借りてお詫び申し上げます。

十六年間ウトロの人々と接してきて、そのいい面と(悪い面)を両方見ることができました。生き抜く強さ(あつかましさ)・おせっかいなほど世話好きな一面(自分は自分という側面)・たたかう姿勢(言葉だけ)などなど当たり前だが、相反する思いの交錯。そんなウトロの人々がここまでこの土地に住み続けられてきたのは、ウトロへの思いからではないでしょうか?それを「わがまま」という人もいます。百歩譲ったとしても、日本が犯した過去の「わがまま」と比べたら桁の違う「わがまま」です。植民地支配の中で「我」を奪われた在日の歴史。「我の地=ウトロ」を守ることは「我を取り戻す」ことでもあるのです。おりしも韓国内で始まったウトロの募金は「甦らせる」と表現しています。戦後六〇年を逆戻りさせることはできませんが、新しい未来にむけて出発することは可能です。

最後は決まり文句で申しわけありませんが、全国のみなさんとともにウトロ土地問題解決の日まで運動を継続させていくため、同封の振込用紙にて、会費納入とカンパをお願いします。なお、ウトロの最新情報を伝えるため、時々にメールを発信します。ご希望の方は、 hqj06026@nifty.ne.jp 事務局吉田まで登録をお願いします。






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転載 by 青ひょん <aohyon@ka2.so-net.ne.jp>