まちづくり 

[ 2002年以降の資料 ]

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[日本居住福祉学会 第2回研究集会のご案内(2001.06.01)]

[ウトロまちづくりの集い「ウトロのまち きのう きょう あした!」ビラ(2000.08.12)]

[ウトロ・ワークショップ1(1999.05.09)]
_ウトロ・ワークショップ2(1999.10.24)
[ウトロ・ワークショップ3(2000.05.14)]
[ウトロ・ワークショップ4(2000.07.02)]
[『「強制立ち退き」との闘い』住宅会議49号]!!

[「京都府知事宛書簡」まちづくり研究会(99.10.18)]
[地区概要(1999.11.21)]
[調査概要(1999.11.21)]


 
_ウトロ・ワークショップ2(1999.10.24)


第2回 住民ワーク・ショップの記録
「ウトロ住民はどうしたら追い出されないか」
1999・10・24
城南勤労者福祉会館
ウトロ町内会・地上げ反対!ウトロを守る会

ワークショップ

はじめに

去る10月24日の午後、地上げ反対!ウトロを守る会が主催して、ウトロ住民を対象とした2回目の住民ワークショップが行われました。今年(1999年)5月9日、第1回住民ワークショップ「ウトロ。これからどうする、どうなる」を行ってから半年、この間の最大の出来事はウトロ訴訟(被告69人)のうち先頭のグループ(13人)の上告が最高裁判所で棄却されたことです。(その後、判決確定者は29人に増えました)「被告住民は建物は撤去して、土地を明け渡せ」、この判決文が確定しました。もし住民がこの判決に従わないとすれば、次は判決が実際に執行される段階に移ります。つまり原告の意思に基づいて、裁判所が強制執行を行うことが何時でも可能となったのです。残りのグループの訴訟の一部は大阪高裁の判決待ちですが、いずれ同じことになるでしょう。すべての判決が確定するまで、あと1〜2年ぐらいの予想です。こうした事態を受けて、住民自身が今後どうすべきか・・・、その方向性を探る取組みとして今回のワークショップは行われました。

集会の第1部ではまず、「いま、私たちが立っている地点を確認し、これからどうするかを共に考えよう」との趣旨が説明されました。次に、町内会より2つの行政交渉の報告がありました。

1つ目、宇治市に対する陳情には町内会役員と判決確定者12人が参加しました。宇治市の回答は「強制執行が行われた後は、災害救助なみの扱いをする(それ以外はしない)」というものでした。会場の交渉参加者から、「何も伝わってくるものはなかった」との感想が述べられました。

2つ目、京都府に対する陳情には守る会のメンバーも同席しました。町内会の要求と共に、守る会の中にある「ウトロまちづくり研究会」が府知事宛て「要望書」を提出しました。その内容は、「ウトロ地区で密集住宅市街地整備促進事業(以下「密 集事業」という。・・・建設省住宅局所管の事業です)が実施可能か否か、その事前の判断資料としてウトロ現地で建物老朽度調査を自主的に実施したので、この結果を踏まえて京都府としての救済方法を具体的に検討してほしい」というものでした。京都府はこの提案について、関係部局で検討して返事をするという回答でした。

続いて、「ウトロまちづくり研究会」のメンバーより「密集事業」と、そのために行なった「ウトロ地区建物老朽度調査」についての詳しい説明がありました。会場の机の上にはウトロ地区の大きな平面図が置かれ、参加者はそれを見ながら聞きました。「密集事業」を行わせる目的についての説明は、次の通りです。

「裁判所の立ち退き判決ではウトロ問題の根本的な解決にはならない。今後も原告と被告住民、この当事者間だけでは解決のメドは立たないだろう。そこで、住民が将来もウトロに住み続けられることを保障するために住民、守る会と行政が協力して、ウトロを含む地域整備計画を作成して、行政施策として利用可能な『密集事業』をウトロ地区で実施できないかと考え、検討した。地方自治体がこの事業を実施することになれば、現在の劣悪な住環境を改善し、住民の居住の権利を保障して(併せて原告側の利益も無視せずに)、現実的な解決の道を進むことができる。もし、この機会を失えば原告と住民は永遠の泥沼戦争となり、万一『強制立ち退き』が行われれば、住民にとって取り返しのつかない事態になるだろう。ただし、事業を実施するにあたっては、当事者間に争いがあっては実現できないから、裁判の結果である『土地の所有権は原告にある』という現実の結果を住民も受け入れて、ここから出発する以外にはない。その上で住民は居住の権利を確保するのである。こうしたプランは全世帯の判決確定後に検討したらよいという意見もあろう が、それでは遅すぎる。公共事業の実施は住民側から見れば強制執行を阻止する手段でもあるからで、先に強制執行されてしまったのでは元も子もない。いま最も大切なことは住民自身が立ち上がって、自分たちのまちづくりプランを作り、全員の力を引き出して行政と対話して、新しいウトロの創造に向かうことだ。また、行政側の動きを作ることで周辺住民の理解を促し、あわせて原告に強制執行という最悪の手段を採らせない条件を、住民側から作るという狙いもある。現状を考えた提案である。」

多くの住民にとっては初めて聞く提案でした。住民にどの程度、理解されたのか、不安は残ります。

以上の第1部を受けて第2部のワークショップが始まりました。コーディネータは前回同様、守る会の田川明子。住民の参加者は男女同数で、支援者は学生が中心でした。コーディネータが発する質問の答を(一組の)支援者が住民から聞き取って、用紙に記入していきます。さて第1問、「あなたが地上げ屋だったら、ウトロをどうしますか?」

会場からは意外な質問にとまどいの声が聞こえました。それでも、2人ずつ34組で聞き取りがスタートします。コーディネータは頃合いを見て、テーブルごと住民4人の討論に移るように指示します。ファシリテータ(進行役)は討論をまとめてテーブルごとに発表していきます。前の黒板に報告内容のキーワードが白いチョークで書かれました。続いて、同じ第1問を今度は支援者が答えます。同様に発表して、今度は黄色のチョークで重ねて書かれます。重なる項目はアンダーラインが引かれました。

次に第2問、「どうしたら、ウトロから追い出されないで住めるか?」 今度は支援者も住民と一緒に8人で討論します。同様に各テーブルからの報告が黒板に書かれました。


第1問、「あなたが地上げ屋だったら、ウトロをどうするか?」


(住民の答)


  1. 住民側と直接、土地の分割などの「痛み分け案」を時間をかけて話し合う。まとまらなければ話し合いを打ち切って、住民側の不安をあおる。
  2. 難しい。住民の立ち退き先は保障しなければならない。強制執行はできないと思う。裁判に勝っても難しい問題だ。
  3. ウトロ6400坪を3分の1に区切って、人間が住めるようにして、3分の1の中にウトロの人を住わす。ウトロの人に3分の1でも住む所を用意することで、自分の良心も咎めないから。地上げ屋の自分は裁判に勝っても全部立ち退かせることはできない。住める所を用意すればウトロの人も納得するだろうから。
  4. 強制手段はできそうにない。ウトロ地域を地上げ屋3分の2と住民3分の1に分割する。
  5. 地上げ屋はあくどい。45年も住んでいるので居住権がある。簡単には出来ない。追い出しても出ていきません。住むところやお金などそれなりの保障をつけて、追い出す。ウトロは簡単なところではない。西日本殖産はババ掴んだ。腹が立って考えられない。行き着く所はお金。住民に金を払って「建物を買い取りたい」。
  6. 100万や200万では出ていかない。多くても困る。損したくない。金額は明言できない。ギリギリのライン。日産は関係ない。行政がかまないと。西日本殖産のマンションには住めないとよめる。
  7. バラバラになったら崩しやすい。個別に話をする。一等地なので少しぐらいのお金をだしても、住民に出ていってもらう。
  8. 火をつける。出ていかない場合や金を出したくない場合に。最低の金額で買い取る。(私が地上げ屋だったら)一円の金も出さない。最高裁でも勝ったので1,2年待てば強制執行できる。
  9. 行政が買い取ることにより、西日本殖産にしても金が容易に入る。
    1. 一戸ごとに話し合い、ある程度お金をだして出て行かせる。場所を提供してそこを出ていってもらう。
    2. 行政が動いたら、それを買い取る形で金を手に入れる。
    3. 住民一人一人と交渉して落とし切り崩す。こだわりがなさそうな人から
    4. 強制執行
  10. 先にいい条件を提示し、先に交渉した方が得ですよと切り崩し、そして数が減ったら、厳しく対応し、強制執行する。
  11. 立ち退き判決の内容に準じた扱いをしていく。強制執行も当然含む。
  12. 追いだしは不可能。空家になった所や平山の家などを部分的に強制執行して拠点を作り、脅しをかける。
  13. 質問に答えたくない。一軒一軒おさえて数を減らす。その後バタバタといく。空家の取り崩し。電話で嫌がらせ。部分的に強制執行をかけ揺さぶる。強制執行をする。
  14. 強制執行。買取りは条件が問題。
  15. とりあえず強制執行をやってみて住民の反応をみる。動揺を誘う。
  16. 所有している空地から手をつけていく。空家を買う。空地や一人の所に範囲を拡大していく。住居がそれしかない人を追い出すのは難しい。
  17. 個々人に対して「引っ越し料をはらうから、期日までに出ていってくれ。応じない場合は強制執行する」と言う。切り崩しの電話をする。実際に会って話をする。
  18. 住民の立場を考えた金銭交渉。適当な状況の提示。アパートなどの用意。不釣合な条件では納得して立ち退きできない。
  19. 金で解決する。
  20. 全裁判所の終りを待って強制立ち退き。電気、水道、ガス、電話などライフラインを止める。出入口を塞ぐ。条件交渉。
  21. ウトロに住んでいる人たち自身がこの地域で本当の意味のまちづくりを考えていなかったとしたら。ウトロ地区だけの社会性の感覚と地元伊勢田のあるいは宇治市を含む一般地域の社会性とのギャップがあまりにも大きすぎた場合、外から見ると、とても迷惑な住民になった場合。
  22. 住民に半分土地をあげて、もう半分にマンションを建てる。もう一度住民と同じテーブルで話をする。値段を話し合う。安い土地単価でダメならば、強制執行をちらつかせる。それでもダメなら強制執行をする。空家から解体し、その間に金銭問題にかかる。
  23. 出ていきそうな所からお金をやる。お金を積んで出ていかせる。嫌がらせなどして要求を押し付ける。年数をかけて。
  24. 人の住んでいる土地だから追い出せない。ブルドーザで強引に、住民は警察に引っ張っていってもらう。裁判の判決を根拠に一気にすべて。(分けてやるのは煩わしい)
  25. 少しずつ切り崩していく。後になれば不利な条件で出ていかなければならないという情報を流す。ウトロ周辺の地域に悪い情報を流し、地域からウトロを孤立させる。
  26. ウトロを出ていった後の保障。集合住宅の用意。ウトロ・コミュニティーを潰さず に今のまま。
  27. お金を払って出ていってもらう。その調整。
  28. 高い値段で買ってもらうのが一番いい。立ち退き料。
  29. 自然消滅を待つ。土地裁判が始まってから人口が減り始めた。土地分割案は受け入れられない。まちづくりプランに依存。(地上げ屋から見たら)立ち退き料を出す。
  30. 考えられない。余所に住む場所を考えてあげるから出ていって下さい。



(支援者の答)


  1. 住民に段々と悪い条件を出しながら、最終的に立ち退きを迫っていく。
  2. 生活が苦しそうな人から、立ち退き料を払って立ち退かせる。
  3. 穏便に一人暮らしの家などを回って切り崩す。その上で強制執行する。
  4. すべての裁判の判決が確定したあたりで、動き出す。
  5. 空家を潰したりして嫌がらせをしながら、金は出さずに追いだしにかかる。
  6. 強制執行はしたくないが、反対派が多ければする。
  7. 特にウトロに住み続けることにこだわりのない人から説得する。そうして団結を崩す。
  8. 個別に交渉を行い、一人暮らしのお年寄りなどの弱い人たちに金を握らせて追い出す。
  9. 最後に残った人たちに対して強制執行を行う。
  10. 強制執行はカードとして使う。立ち退き料か強制執行かの2者選択にもっていく。
  11. ウトロの実状を知らない不動産会社に転売して、自分たちは手をひく。
  12. 強制執行の権利を行使する。
  13. 判決が確定した住民と個別の立ち退き交渉をする。次に空家を潰す。
  14. 空地にフェンスを張って看板を立てる。
  15. 判決確定した世帯から強制執行をかけて、住民の反応をみる。
  16. 行政に開発計画を提出して、住民の反応をみる。
  17. 全面的に警察官などを配置してブルドーザで強制的に撤去する。
  18. まず、どの様な人がどれだけ住んでいるのかを調査する。
  19. 代表的な人物を追い出して、内部を切り崩していく。
  20. 空家を先に潰す。住民の不安をあおり精神的に追い詰める。
  21. 世論や住民の体力がなくなるまで待つ。
  22. 強制執行をして住民をホームレスのような生活に追い込むという脅しをかける。
  23. 一軒ずつ金を払って追い出す。半分が空家になったら強制執行でパーフェクト。




<第1問のコメント>


第1問は現在、自分たちが置かれている立場を、相手の立場から考えてみるとどうなるかという意図の質問です。住民が答えにくいのは予測済みでした。質問の趣旨から答の主語は「地上げ屋、或いは地上げ屋の私」になるはずですが、住民が正しく答えたのは半分の17人でした。10人の答は「主語」が地上げ屋だったり住民(自分)だったり、多くは途中で入れ替わっていました。5人の「主語」は自分のまま、2人は無回答。以上のうち、回答(の一部)が質問に噛み合っているのは3分の2でした。住民の答で一番多かったのは、「強制執行をする」でした。34人中10人(男性8人、女性2人)。「住民に立ち退き料を払い、出ていってもらう」と答えたのは8人(男性3人、女性5人)でした。しかし、注目されるのは、回答にならないものの多さです。「人の住んでいる所だから、追い出せない」「裁判に勝っても強制執行はできない」「強制執行はないだろう」「住民の立場を考えた金銭交渉」「余所に住む場所を考えてあげる」「そういうことは考えたくない」「ウトロはそんな簡単なところではない」など。一方、支援者はほぼ正しく答えています。内容は強制執行と立ち退きがほとんどバラツキはありませんでした。





第2問、「どうしたら、ウトロから追い出されないで住めるか?」


(テーブル1)の答
行政を引き込みバックアップしてくれるようする。みんなが団結して活動し、宣伝していく。時間と共に活動の力が弱まってきているので初心に返る。難しいが行政が出ないとだめ。行政が出る条件を探す。区画整理をして土地の資産価値をもたせていく。行政にまちづくり事業をやらせる。住み続ける環境を作る。裁判はもうだめ、初心に返ってやっていく。ウトロ農楽隊がいろいろなところに出がけていく。いい加減な行政に対して、行政を変える力をつける。問題を多くの人に知らせる。闘いの対象を司法ではなく、行政及び行政を引きこむ力にする。年の上の人は差別観が残っているので、特に若い人が取り組んでいくように宣伝する。守る会を大きくする。国際世論をつくる。


(テーブル2)の答
まず集会の時にみんなが意見を出し合う。住民の決意をそれぞれに肝に命じる。具体的には相手がどうでてくるかによる。伊勢田町連合町内会や伊勢田祭りに行ってアピールする。農楽隊や守る会を大きくしていく。国内的世論を高める。日本国政府や韓国政 府に責任をとらせる。行政にも協力してもらって(子どもにも金を出してもらって)最後は買い取りたい。土地を買い取る条件交渉をする。家族を守るために相手と殺り合う。ウトロ内部で意見が本当にまとまるのか。お金を貰ったら出ていく人もいるはず。何があっても崩されない体制で団結を作る。相手は裁判所の判決の権威を盾にとるので、行政をからめる。


(テーブル3)の答
行政をウトロ住民と相手の間に立たせる。第3者の行政を巻き込む。密集住宅市街地整備促進事業をどうかませるか。行政を動かすためにどうすればよいか。行政も納得いくようにする。密集住宅市街地促進事業を利用する。どうすれ ば京都府、宇治市にこの要求を承諾させることができるか。宇治市、京都府など行政に支援を求める。3分の1の土地を住民に、3分の2を相手にわたす。


(テーブル4)の答
日本政府に戦争責任の一環として補償するように要求する。宇治市に買って貰う。行政に一旦買い取ってもらい、それを買う。安ければ買いたい。バラバラにならないように住民は繰り返し話し合いの場をもつ必要がある。国や自治体 が土地を買取り、住民たちの住宅を作る。もしくは戦後補償の一環として政府命令で、日産車体にその工場跡地に住民たちの住宅を作らせてはどうか。


(テーブル5)の答え
この先何年かふんばって住民がまとまって土地を安く買い取る。行政を介入させる。切り崩しを許さない。ウトロ再生プランを作る。そのためには住民全員参加の会合を定期的に行っていく。行政へは継続的に交渉していく。世論に対してアピールを常にやる。これを続けながら、相手の妥協を引き出していく。ウトロ町内での情報の共有化を徹底する。特に一人暮らしの人が孤立しないようにする。ウトロの外に住む人々とのつながりを強める。敗訴の時点では今までよりも行動を激しくしていかねばならない。個々人の力を出し合うこと、町内会に結集することが不足している。宇治市京都府へは具体的に要請をすべきだ。相手からいろいろ話があっても、その話はまともではないと自分に言い聞かせる。これからは自分自身との闘いである強制執行が来たら座り込む。町内会としてのまとまりを強める。まとまる材料として具体的プランを作成する。具体的な要請を出来るだけ出して、国・府・市を巻き込んでいく。


(テーブル6)の答え
月1回の集まりは少ない。週1回は集会を開き、住民の団結をはかる。市民や市民グループと手をつなぐ。社会運動のレベルまで上げて、ほかの同様な団体や福祉団体などに働きかけて、支援してもらう。何か行動があるときは、人の援助をしてもらう。ウトロだけで考えず、地上げの実態を調べて社会問題として発展させる。街頭演説、アンケート調査などを行う。相手の誘いに乗らない。空き地や空き家に手を付けさせない。行政に対策を迫る。日本政府の顔の立つ計画にして実利を取る。韓国政府にアピールする。まちづくり事業をする。居住権を主張して住み続ける。うまい話には乗らない。和解して買い取る。


(テーブル7)の答え
住民の意識を高める。他人任せではなく自分の問題としてとらえる。周りの人に関心を持ってもらい味方をたくさん作る。祭りなど住民がまとまれる場を作り連帯感を高める。ウトロの外にウトロ文化の良さを訴える。相手からTELがあったら、その内容をみんなに公表して話し合う。秘密の交渉をさせない。行政に強く訴えて、手を借りるしかない。強制執行された時はたくさんの人を呼んでみんなで阻止する。この問題は戦後補償や民族差別などが根底にあるから、行政に出てきてもらわないとどうしようもない。


(テーブル8)の答え
住民が最終的に安い値段で土地を買い取る。日本政府、韓国政府、国連に訴えていく。一般の世論に訴える。新たにウトロに建てられるマンションに、住民が入居できるように宇治市に協力を求める。


(テーブル9)の答え
行政の介入。一人暮らしや生活保護を受けている人の人権をどう対処したらいいのか。行政に交渉にいっても相手にされなかった。もっと世論を喚起する必要がある。相手との交渉は全体としては無理だろう。若い世代がウトロには住んでない。3分の1に分割する案は町内にまとめ役がいないだろう。住民はもっと話し合って本当に買い取れるか否か、その意識を高める必要がある。まちづくりプランは評価する。区画整理すると生活レベルの低い人はどうなるのか。住民は結束して相手につけこまれるすきを与えないようにする。意見交換を活発にして、もっと緊迫感を持つこと。守る会の活動はいいきっかけだ。相手との妥協もある。例えば住民はもっと地域の学校などに通って、ほかの保護者に呼びかけたりしないのか。



<第2問のコメント>

第2問はタイトルそのものの質問でした。住民と支援者はテーブルごとに討論しました。しかし、その答えを見るとやはり主語のない文章が目立ちます。行為の主体が明らかでなくとも何となく意味が通じてしまう…。それを日本語(的思考)の特徴だと言ってしまえばそれまでですが、質問の意味からは、「だれが」、「何をする」を頭の中で思い浮かべて、「わたしはこう考える」「住民はこうしていく」というように、主体的に考えないと意味がありません。「何となくこうなったらいいなあ……」では困るのです。 答えの中で一番多かったのは行政に救済を求めるものでした。「行政を引き込みバックアップしてくれるようにする」「難しいが行政が出ないとだめ。行政が出る条件を探す」「まちづくり事業をやらせる。住み続けられる環境を作る」「行政に交渉にいっても相手にされなかった。もっと世論を喚起する必要がある」などなど。


行政に(だれが)何を要求するのか、その内容もまだ不確かですが、ともかく行政の参加がないと根本的な解決にはならないという認識は共通していたようです。


しかし、こうした答えだけではなく、住民自身に引き付けた答えも生まれました。「ますは集会に参加してみんなが意見を出し合う」「住民は繰り返し、話し合いの場を持つ」「ウトロ再生プランを作る」「住民全員参加の会合を定期的に行う」「町内で情報の共有化をする」「一人暮らしの人が孤立しないようにする」「ウトロの外に住む同胞とのつながりを強める」「いまは個々人の力を出し合うことが不足している」「町内会としてまとまりを強める」「まとまる材料として具体的プランを作る」「意見交換を活発にしてもっと緊迫感を持つ」などの意見です。どうにかしてこの事態を打開したいという気持ちが伝わってきます。





<あとがき>


今回のワークショップは住民にとって、前回ほど楽しいものではなかったはずです。それは第1問で地上げ屋になって自分の家をつぶす。自分の家が潰されていく……そう、住民にとって考えたくもない最悪の出来事を頭の中で想定し、一定時間これを継続しなければならなかったからです。精神的拷問と映ったかもしれません。その結果、地上げ屋になれた人、どうしてもなれなかった人、その間を行きつ戻りつした人と住民の反応は分かれました。住民が想定した地上げ屋像もまた金のためなら何でもする殺伐とした地上げ屋から、何とも心優しい地上げ屋までいろいろでした。現実と願望の落差でしょうか。

第2問の住民の答えは一つの平面の上にあると思えます。自己存在の正当性を確信して闘うという内に向けた強い姿勢と、一方、このままでは負けてしまうかもしれないという外に向けての認識、この2つの価値観が統一されずにその間を揺れ動いているかのようです。

2回のワークショップを終えていま考えることは、住民がこの事態を正面から見据えて、「どうしたらウトロから追い出されずに住めるか」「これから、どうやってウトロで住んでいくのか」を全員でとことん考え、そして一つの結論を絞り出していく。その作業を始めることだと思います。闘いはここからです。(S)


ワークショップ

<ウトロ・データ>


人口229人。(女性129人、男性100人)
世帯数67。(9割以上が韓国・朝鮮籍)
世帯あたり3・41人(宇治市平均2・75人)
うち外国人登録3203人(1・67%)

発行 1999・12・1
地上げ反対!ウトロを守る会
宇治市伊勢田町ウトロ51 厳本明夫方
カンパ300円


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