星空への招待

1.宵の明星

あなたは今日、お泊まりですか? 日帰りですか?
上高地を訪れるお客さんの大半は日帰りで、昼間のにぎわいとは対照的な“夜の上高地”を
ご存じの方は案外少ないと思います。都心の交差点なみに混雑していた河童橋周辺も
夕暮れ時には渡る人もまばらになり、やがて夜の静寂に包まれていきます。

午後7時、西の空にはまだ薄明が残っていますが、ひときわ明るく輝く星に目が留まる
ことでしょう。これが、冬ころから人目を惹いている宵の明星・金星です。
−4.5等という明るさは、1等星100個分に相当する輝きで、
昼間でも青空の中に見つけることができるほどです。
今の時期、望遠鏡でのぞくと三日月状に欠けている様子も観測できます。

今月20日過ぎには、まだ雪を被った焼岳の右上あたりに、細い月と金星が
並んで輝く光景が、夕焼け空の中に見られます。
河童橋のたもとで、あるいは大正池で・・・それぞれに印象的な光景となることでしょう。
6月に入ると金星は太陽に近くなり、やがて見えなくなってしまいます。
夏以降、今度は“明けの明星”として
夜明け前の東空にその姿を見ることができます。
入梅までの季節、晴れた夜には星空散歩も
楽しみの一つに加えていただければ、と思います。


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2.おおぐま座とアナグマ


 上高地では毎年のようにクマの目撃騒ぎ(?)があるそうです。
梓川の左岸側で、去年は6月頃、中の瀬辺りで目撃したとの情報を耳にしましたが、
今年はまだ。野生のツキノワグマにぜひ一度お会いしたいものです。

一方、日が暮れたあとの夜空では今夜も2頭のクマが姿を見せています。
おおぐま座こぐま座です。
“ひしゃく”の形でお馴染みの北斗七星は、じつは おおぐま座の背中からしっぽに
かけての星の配列で、そこから足、頭・・・と辿っていくと、夜空に巨大な
クマの姿が浮かび上がり驚かされます。
“こぐま”の見つけ方は、まず北斗七星を頼りに北極星を見つけます。
その北極星を柄の先端にもつ小さなひしゃく“小北斗”が こぐま座で、
上高地からは年中、穂高連峰の上空にめぐる姿が見られます。

ふたたび地上に目を移しますと、美化管理財団(注)の焼却場には今年、
夜ごと“アナグマ”が出没し、生ゴミなどを食い散らかしていくので対策に苦慮
しています。こちらは、名前はクマでもイタチの仲間、姿はタヌキに似ています。

野生動物が多くいること、自然が豊かであることは、
時には人間にとって快適でないと感じられる場面があるものですが、
何とか共存の方途を探していきたいと思います。



注: 当時の「自然公園美化管理財団」の略。2002(平成14)年7月から「自然公園財団」に名称変更
されています。また、平成11年度以降、上高地内でのゴミ焼却は行なわれていません。



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