星空への招待

4. 闇夜のカラス

標高1,500mの上高地。
えっ、こんな所にも?!という存在が、カラスではないでしょうか。

都会ではゴミ・ステーションの周辺で群れていたりして気味悪いくらいの存在感を
誇示していますが、ここ上高地でもハシブトガラスを目にする機会は結構多いものです。
まっ黒で騒々しいカラスたちの姿は、この風景とはやっぱりどこかミスマッチとの感は
否めません。近年では上高地から徒歩6時間、標高2,300mの涸沢キャンプ地にも
飛来するようになったそうですが、彼らが、昔からこんな山岳地帯に住んでいたとも
思えません。やはり、そこに食物があるから、
人間の残飯がそれだけ沢山そこにあるということの証左なのでしょう。

もう一つ、こんな所にも?!といえば、夜空にもカラスがいることをご存じですか。
星空のほうも次第に春から夏へと移り変わっていますが、南の空に
比較的見つけやすい春の星座、カラス座があります。
小さな四辺形は一度覚えたらもう忘れないはず。

夜空の星座はおよそ5000年前、メソポタミア地方の羊飼いたちがその原形を考え出した
と伝えられていますが、そんなにも昔から、人間とカラスの関わりは始まっていた
ということなのでしょうか。
近年は人工衛星の破片など、宇宙にも人間の営みによるゴミが増えつつあり
問題化しています。そんな未来を予見して、当時の人々は
カラスを星座にして夜空に放したのかもしれません。
いずれにせよ、漆黒の夜空にカラスを描いてみせたセンスには脱帽させられます。



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5. 高い太陽、低い月 

6月21日は夏至。
いまの時期は、一年でいちばん昼間の時間が長いころです。
上高地は梓川の流れにそって開けた谷間にあたるため、太陽が顔をのぞかせる
時刻そのものは早くはなく、バスターミナルの辺りで日の出を待っていると、
ちょうど通称ゴリラ岩(六百山の岩肌が露出した斜面;ゴリラの横顔のように見える)
の、鼻の頭から昇ってくる感じです。夜が白みはじめるのは午前4時前ですが、
上高地の日の出は6時10分ころです。

早朝の空気は澄み、朝日の差し込んだ新緑はより一層美しく輝き、爽やかです。
カメラマンにとっては一番のシャッターチャンスと言える時間帯ですね。
これがだんだん昼に近づくにつれ、太陽光線が真上から照らす格好になって
穂高連峰の谷、沢筋にもまんべんなく光があたり、凹凸は目立たなくなってきます。
特に夏至のころの太陽はもっとも北寄りの、ほぼ頭の真上にやってきて
輝きます。一日のうちでも時間帯によって、自然の見せる表情は
刻々と変化していくわけです。

夜――。次の新月は16日、満月は7月1日ですが、
夏の満月は昼間の高い太陽とは反対に、夜空の低いところに見えます。
逆に秋や冬になると、満月は宙高く 太陽は低いという配置です。
三日月など細い月は春が一番高く、秋は低いという具合に、
月や太陽の見える位置によって季節感を味わうこともあるでしょう。
もちろん、その太陽高度の変化が気温にも反映され、
私たちに豊かな四季をもたらしてくれているのです。



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