18. 宇宙の奏でる音楽

私たちの周りにはさまざまな音が溢れています。地球は音のする星です。
街では、好むと好まざるとに拘らず人工的な音から逃れられない状況ですし、
自然の中でも、耳を澄ませば、静かなようでもいろいろな音が
聞こえてくることに気付くでしょう。
・・・ことし6月、環境庁が「日本の音風景100選」を発表したというニュースが
ありましたが、目に映る風景に対し、耳でとらえる風景というのも興味深いものです。

いっぽう“宇宙”空間は真空なので、まったく音のない世界である、
と教えられます。たしかに、空気がないため“音波”の状態の音は
存在しませんけれども、“電磁波”や“光”のウェーブという形で観測される
ものはあって、私たちの耳にも聴こえるよう変換してみると、
これが鳥の鳴き声のようであったり蒸気の噴出音のようだったり様々です。
これを宇宙から届く“音”と考えていいかもしれません。
これらの音を効果音としてクラシック音楽に取り入れ、
シンセサイザーで演奏したCD(『DAWN CHORUS』/冨田 勲)もあります。
興味のある方は聴いてみて下さい。



これとは反対に、地球の音を宇宙にむかって発信するという試みも行われています。
1972年に打ち上げた木星探査機パイオニア10、11号には、
もしも遠い将来、漂流するこの探査機が“異星人”によって拾われた時のために、
地球の場所や人間の容姿・大きさなどを記した「宇宙への手紙」を託しました。

1977年に打ち上げたボイジャー1、2号には、さまざまな音を収録した
レコード 「THE SOUND OF THE EARTH」 が搭載されており、
日本からは山口五郎氏の尺八の演奏「鶴の巣籠り」が宇宙人に紹介されます。

このレコードが再生される日は、今日かもしれないし、何億年後
かもしれない。永遠に日の目を見ることなく漂流を続けるだけかも知れませんが、
地球という星の音を初めて聞いた異星人がいかに驚き、どんな風景を
想像するのか・・・ とても興味があります。



夜空の星座を形づくっている星たちを“音符”に見立て、
星の並びをそのままの形で5線にのせて演奏した音楽を聴いたことがあります。
それで音楽になるのかと思いがちですが、
信じられないくらい美しいメロディーになっていて心を落ち着かせてくれます。
これも私たちの気付かない“宇宙の奏でる音楽”ですが、
自然の中には素晴らしい調和があるものだと感心させられます。




上高地ビジターセンター発行「マガモ新聞」No.139 (1996年9月20日発行)より

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