24. 星降る夜をあなたに…


今回は文字どおり 星が降ってくる夜もある、というお話です。
「悲しいほどお天気」というユーミンのアルバムの一曲目に
「ジャコビニ彗星の日」という
曲があるというので聴かせてもらいました。
1972年10月9日、マスコミは「13年ぶりにジャコビニ流星群が現れるかもしれない」
と大騒ぎしていたけれど、見えなかったよ―
という実話をもとにした歌のようです。
彗星と流れ星はいわば母と子の関係で、その年の8月に母天体・
ジャコビニ-ツィンナー彗星が回帰したというので、その軌道上を地球が横切る
10月9日の夜に“大流星雨”が見られるかも、と世界中で騒がれましたが、
結局 空振りでした。
その13年前、1959年のときも実は何も見えなかったらしいのです。

ハレー彗星のときもそうだったように、宙そらのことはマスコミが騒ぐほど
現実はたいしたことない― という悲しいジンクスがあるようで、
それほど予測が難しいとも言えるわけですが、
毎年11月半ばに活動を見せる“しし座流星群”にも
『1998年か1999年に大流星雨が現れる!』という予測があります。

11月17日ころをピークに、通常は1時間あたり10個〜20個ていどの流星群
ですが、過去に33年周期で爆発的な活動を見せてきたことで知られ、
1833年と1866年には一晩のうちに20数万個の流星が降りそそいで、
北アメリカ東部では寝ている人も窓の外が明るくなり、目を覚ましたとか、
「世界が火事だ!」と泣き叫ぶ人もいたというエピソードも伝えられています。

最近では1966年にアメリカ西部で 1分間に2000個以上、
1時間あたり15万個以上の“大流星雨”が観測されています。
有名な夏のペルセウス座流星群や 12月のふたご座流星群でさえ、
せいぜい1時間50個ほどですから、まさに流星のシャワーを浴びるような
この光景は、感動を通り越して恐怖すら感じるかもしれません。
でも体験してみたい!
その“しし座流星雨”の観測チャンスが、数年後に迫っているわけです。

もう今年あたりから活発化してくるとも言われ、注目しておいて損はありません。
月の条件も良いので、ピークと予想される17日の明け方と17日夜中から
翌朝にかけて、多くの流星が期待できます。
上高地はそのころすでに閉山となっていて観測地にできないのが残念ですが、
身近な場所で、夜空を見上げていただきたいと思います。



上高地限定の星の話題というのは少なく、今シーズン24回連載させてもらった中でも
〜上高地の自然の新聞〜 の情報としてふさわしいものがどれほどあったかと
考えてしまいますが、取り上げた内容はいずれも私が
上高地の自然や星空からインスピレーションを得て、興味を持った事柄ですから、
どこか別の場所にいたら「星空への招待」は続けられなかったと思います。

8月には「星降る夜をあなたに」と題する星空観察会に多勢お集まりいただき、
このような一般参加の観望会を催すことは、私が“星”を見始めた頃からの
夢でしたので、有意義な体験ができたと感謝しています。
彗星のような微小天体と同じで、ちょっとしたことに影響を受け、
軌道をねじ曲げられてしまう私は、来季もぶじ上高地に回帰できるか
分かりませんが、この美しい星空は永遠に続いてほしいと願っています。
つたない文にお付き合いくださり、有難うございました。


上高地ビジターセンターだより 『マガモ新聞』 No.144 (1996年11月2日発行)より

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