01. 雲は上高地焼却場から生まれる?

「上高地の自然の新聞なのに、どうしてこんな記事が?」
とお感じになる読者の方もきっと
いらっしゃるでしょう。
たしかに、これから私が書こうとしていることは
上高地の自然を楽しむには必要のない記事かも知れません。

上高地を訪れるお客さんのほとんどは“日帰り散策派”で、
せっかく遠いところから足を運ばれてもずいぶん
慌ただしいことだなぁーと私には感じられます。
長くゆっくりできないのは残念なことで、きっと上高地のごく狭い範囲の、
一面しか見ないで帰ってしまわれたことでしょう。
それが週末なら、人の多さや混雑にうんざりして、
それが上高地の思い出ということにもなりかねません。

私はお客さんに対する「やさしさ」と「冷たさ」と言ったらいいのか、
良い面悪い面両方の性格をもっているのが上高地だと感じています。
山岳地ですから天候の穏やかな日もあれば荒れる日もある、
そういう自然環境の厳しさという意味もありますが、
お客さんを迎え入れる観光地として、
進んだ素晴らしい面ばかりではない不親切な面、課題も多く抱える
場所でもあるという意味です。

・・・これだけでは、具体性に欠けていて何のことだか
分かり辛いと思いますが、上高地で働きながら仕事をとおして
見えてくるもの、感じること、あなたの知らない世界の話を
私なりに書いていけたらと思っています。

〜白い雲のように〜 は上高地の私の仕事場、焼却場の
煙突から吐き出される“けむり”から連想しました。
お客さんに、自然の情報と同じくらい知っておいて欲しい
もうひとつの“現実”が上高地にはあります。


上高地ビジターセンター発行 「マガモ新聞」No.170 (1998年5月25日発行)より。文責:あさお

なお、このタイトルは、当時ユーラシア大陸をヒッチハイクで横断して話題となったあさおと
同郷の芸人・猿岩石の歌手デビュー曲に由来することは意外に知られていません。