03. ケチケチしないで。

お金は、使うべき時、使うべき場所で使われてこそ、値打ちがあると思います。

今まで“公衆トイレ”といえば“誰もが利用できる
無料のトイレ”という認識が一般的でした。
そのため、上高地バスターミナルの「チップ制公衆トイレ」には、
ちょっとした戸惑い、抵抗感を覚えるお客さんが多いのです。

「チップ制って何?」「なんでトイレにお金がいるの?」「外国に来たみたいや」
・・・最初の印象はこんなところでしょうか。
時には「タダのトイレはないんですか?」とストレートに尋ねられることも
あり、環境庁に苦情を言ってやる、と不満げな人さえいらっしゃいます。

こんな場面に出くわすと、なぜチップという形で利用者にご協力を
お願いしているのか、その趣旨がまだまだ理解されていないのだなーと
残念な気持ちになります。

「有料」という認識も、ことば上のことかも知れませんが、
違うと思います。
金額にこだわる方もいますが、大切なのは“100円程度”という額では
なく、利用なさったあなたの理解と協力する気持ちです。
その気持ちが、上高地を美しく保つ原動力となっていくのです。

なぜ利用者にご負担をお願いしているのかという理由に
ついては、トイレ内にも説明してあるとおりで、施設の維持管理や
今後の充実にそのチップは充てられるわけですから、
結局あなた自身に還元されています。

ご家庭のトイレや、今までタダだと思っていた公衆トイレだって、
じつはどこかが負担して便利さ快適さを享受させてもらっている
ことを考えれば、上高地のトイレだけ特別という違和感は
薄らぐと思うのですが・・・。

もちろん管理する側としては、清掃やペーパーの補充を怠らず、
それにふさわしい空間であるよう苦心しています。
チップ制は1カ所のみで、その他のトイレは無料ですが、
管理の力の入れようはどこも変わりません。

ただ、常駐する管理者がいるかどうかという違いは大きく、
チップ制であっても誰も見ていなければ知らん顔をして出ていく人が
非常に多いのです。

「100円得をした」という満足感が残りますか? 

心のせまい人は、上高地の自然からどんなことを感じ取るのでしょう。


上高地ビジターセンター発行「マガモ新聞」No.172 (1998年6月発行)より 文責:あさお