05. ゴミ箱にゴミを捨てないで!?

上高地を散策していて、ゴミを捨てたいと思っても
ゴミ箱が見当たらなくて困った、という経験はありませんか?
途中でお弁当を食べたはいいけれど、捨てる場所がなくて
邪魔だなーと思いながらも ずっと手に持って帰ってきた、というような。

で、バスターミナルに戻ってみると
「なんだ、ここにゴミ箱あるじゃない」と気が付きました。
「弁当箱は持ち帰り」 なんて書いてあるけど、なんで?
関係ないわ。と捨ててきました。
・・・そんな光景が目に浮かぶようです。

ゴミ処理を担当している我々(自然公園財団としても、すっきりした解決策が
見出せないまま中途半端な対応を続けているような気がしています。

まずはっきりしていることは、
お客さんが上高地の外から持ち込んだゴミは すべて持ち帰っていただく、
ということです。

このルールを徹底すれば、上高地のゴミは半分以下に減らせます。
“ごみ持ち帰り運動実施中”なんて知らない、という人も多いようですが、
バス・タクシーで入山する時点で、この約束は必ず守っていただくよう
お客さんに念を押す必要があります。

一方、上高地内で販売されたものから出るゴミについては、
販売元に処理をする責任があります。
バスターミナルに設置してあるゴミ箱もそのためのものです。
ですから厳密に言えば、そのほかのゴミは一切 受け付けません。

ところが、現実はその線引きがけっこう あいまいです。
来訪者に対するサービスという視点で考えたときに、ダメなものはダメ!と
断りきれない場面もあるのは確かです。
例えばこれから縦走登山に出発するが、腹ごしらえにコンビニ弁当などを食べ、
そのゴミを捨てようとする人に対して、ルールですから、と
下山までずっと持ち歩くようにと注意できるでしょうか。
そのくらいは引き受けていいと個人的には思います。

完全に「ゴミ持ち帰り」をお願いするなら公共のゴミ箱も撤去していい
という議論も一時ありましたが、
たった一つのゴミ箱を無くすのも大変な改革で、何段階もの準備が必要なようです。
そして、たった一つのゴミ箱があるがために
“あいまい”な対応をせざるを得ない苦しい展開にもなるわけです。

来年から焼却処分を上高地で行わなくなれば、
「そのゴミが上高地の自然を汚すもとになるのですよ」という説明も
説得力がなくなります。
「下界で、ご自宅で捨ててください」 というのも、上高地の外なら
何の問題もないかのようで不適当だと思います。

現状のままでは永遠に上高地からゴミが消えることはない、これは明らかで、
まずお客さんの基本認識として 「ゴミ持ち帰り」 が定着することを願っています。
そのうえでやむを得ない事情があるなら柔軟に対応する。
私たちも“石頭”になるだけでは円滑に仕事はできません。


上高地ビジターセンター発行「マガモ新聞」No.175 (1998年6月29日発行)より 文責:あさお

当時の名称は 自然公園美化管理財団 でした。2002(平成14)年7月、名称変更。
「マガモ新聞」は、平成14年度より 「まがもだより」 にリニューアルされて発行が続いています。