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祭の泡

2002年引っ越しへろへろ日記

03.9.20
今の部屋に引っ越して1年。すっかり散らかりまくってます。つうか、未だに荷ほどき終ってないし。
去年の、へろへろになりながら引っ越した日々を思い出しながら、当時の日記を抜粋しました。
片づけをしないでいるとどうなるか、思い知れ!

02.7.1 部屋とワイセツと私
僕は、8月に引っ越しを控えているんだけど、
自分の部屋の惨状を見るにつけ、どんよりとした気分になる。
『ガンモ』って映画があるんだけど、その主人公の家がすごい散らかってるんだよね。
秩序を保つことをあきらめちゃったみたいな…。
なんかさ、ひどく淫らなものを見たような気分になるんだよ。
でも、あそこまでじゃないけど、家もひどいもんだ。この荷物を整理するのかと思うと…。
以前、家に泊まった友人が、喘息の発作になったことがある。
なんか咳が止まらなくなっちゃって、彼が言った。
「ちょっと外の空気を吸ってくる」
ごめんなー、こんな家で。

02.7.6 家探し1日目
今日は一日、家探し。ってガサ入れじゃなくて、引っ越しに向けての不動産屋めぐりのことね。
いろんな間取りを見て夢が広がるのは楽しいんだけど、不動産屋もいろいろあるね。

ある不動産屋では、オヤジに説教された。
「ちゃんと計画立てて考えなきゃダメだよっ」
るせー、るせー、おーきなお世話サマータイムブルースだ。

おばちゃん、鎖のついた眼鏡を首からかけて、恩着せがましく言う。
「いいわよいいわよ、特別に共益費はナシにしてあげる。だから、早く決めちゃったほうがいいわよ」
ホントに特別か? そんなに簡単にできるのか?
おばちゃんが身を乗り出すたびに、眼鏡が揺れるのが気になる。
…おっと、催眠術じゃん。

不動産屋のおっさんが店を離れられないらしく、一人で部屋を見に行くことに。
おっさん、その部屋のオーナーに電話をしてる。
「今から、一人男の子が行くから」
ちょっと待ってよ。男の子? 英語で言うとKID? サッカー選手で言うとオコチャ?
確かに変に若作りしてるけど、大人だっつうの。

それにしても暑い一日だった。がんばれ俺、32歳。

02.7.7
今日も部屋探し。
案内してくれた不動産屋は、オールバックにダブルのスーツで、そこはかとなくコージー富田風。
タモリの真似してくれるかなって、期待しててたんだけどなあ。
ンなこたあない。

02.7.21 おひとりさま
今日も部屋探し。
いくつか紹介してもらった部屋を見て回る。
俺「コンビニ近くていいですね」
不動産屋「あ、ここ要注意ですよ。11時で閉まっちゃうから。まさにセブンイレブンっていう名前の通りの営業時間です」
いまどき、そんなコンビニがあるのか…。

この時期、新婚が多いんだってさ。
なるほどね。秋に結婚して新居に移るってパターンね。
そんな話をしたあと、不動産屋がさりげなく訊いてくる。
「おひとり…ですよね」
「…」の、その間がイヤ。
ひとりだよ。ひとりで、二間の家を探してるんだよっ。

02.7.23 不動産屋的強引さ
昼間、携帯に不動産屋から家賃交渉の件で電話。
俺、いやなんだよね、不動産屋特有の強引さ。
「今、決めろ。すぐ、決めろ。なくなっちゃっても知らないよ」的な。
小心者だから、でかいもの、金のかかるもの、長く使うものには、ついグチグチ迷っちゃう。
「ちょっと考える時間が欲しい」、って言ったら、
「条件もいいし、何か問題ありますか?」だとさ。
あるとしたら、お前の態度。

02.8.3 キッチュは目にして!
えーっと、引っ越し先、決まりました。
強引な不動産屋は結局キャンセル。もっと安くていい部屋を見つけた。
次は荷造り。実はこっちのほうが、数倍たいへん。本とCDと衣類で、段ボール箱いくつになるんだろう? あー考えたくない。
そんなことを言いながらも、相変わらず本やCDを買っちゃうわけで、困ったもんだと。

先日も、職場近くの本屋の絶版文庫コーナーで、ずっと探してた本を発見!
『タイガーバーム・ガーデン』谷川晃一・ねじめ正一(新潮文庫)。
香港とシンガポールにある、タイガーバーム・ガーデンを写真と文で紹介した本。奥付見たら昭和62年発行だって。15年前か。
タイガーバーム・ガーデンって知ってる? 孫悟空や布袋さんから、巨大エビや相撲取りまで、セメントで作られたけばけばしいジオラマだらけの庭。
俗悪・悪趣味の極みなんだけど、目が楽しいのは何故だろう? 
ああ楽しきかな、キッチュの庭。眼福、眼福。

ついでに最近買った眼福キッチュ本。
●『妄想秘宝館』伴田良輔(祥文社)
秘宝館案内のフェイク。博物学のフリをしたヘンテコなエロ写真満載。
●『ネコカッパ』逆柱いみり(河出書房新社)
アジアンテイストたっぷりの猥雑で奇怪な風景。その中を奇怪な生き物がうろつくマンガ。

今住んでる俺の部屋もまたアジアだ。湿ってて、無秩序で、猥雑。ときおり、奇怪な虫を見る。

02.8.11 イラつかないで話したいのに
引っ越し屋にイラつく。
細かなことを確認したくて、この間から3回も電話してるんだけど、最初に話をした担当者がつかまらない。
まあ、それはいいよ。別に俺の仕事ばっかしてるわけじゃないんだから。
腹立つのは、その度に、どこからどこへ越すのか、荷物はどのくらいあるのか、引っ越し日はいつか、一人暮らしか、不動産屋の紹介か なんてのを訊かれること。
あのね、ぜーんぶ、最初に話してるの。それで、見積りも取ってもらってるの。そーゆー資料って残ってないのかよ?
「担当者に確認しておいて」って前回の電話で頼んでおいたことも、ほったらかしになってるみたい。
俺がそう言ったら、「少々お待ちください」。
で、次に電話口に出てきた相手がこう言った。
「見積りにはいつお伺いしましょうか?」
ウォイ! 俺の言ってること全然伝わってないの? 見積りは終ってるんだよ!
そしたら、こうきたね。
「ちなみに、お荷物はどのくらいありますか?」
だからぁ、それを電話でせっせと説明して見積りを取ったんだよ! バカか? またイチから説明しなきゃなんねえの?
ああ、イラつく。

02.8.17 小人さん
当初予定してた引っ越し屋は、あまりにいい加減なんで、
さんざん嫌みを言ってからキャンセルしたった。
で、別の引っ越し屋に決めて、今日の昼間、家まで見積りに来てもらいました。
電話で、「これから片付ける予定なんで散らかってますよ」とか、
「モノとか増えちゃって…」なんて、予防線を張っておいたのに、
その引っ越し屋、玄関入って第一声が「うわっ!」。
乱雑に積まれた本とCDの山に、しばし無言。
何か喋ってくれよお、冗談でもいいからさ。
「ざっと見たところ段ボール70箱ですね」。
げーっ、そんなにあるの!?
1日10箱で一週間。
あー、靴屋の小人さん、助けて!
ホラ、おじいさんが寝てる間に靴作ってくれるやつ。

夕方から友人と家の近所でお茶する。
でも、家には呼べないよね。きっと、「うわっ!」って言われるし。
最近買った本の話なんかをしてて、「紀伊国屋で買ったんだ」って言ったら、
その友人、
「え? あそこにあったヤツ、もうなくなっちゃったんだ…」。
どうやら、同じ本屋で同じ本をねらってたらしい。しかも最後の1冊。
友人曰く、「あー、俺の本を…」。
残念でした。名前を書いとかないからだよ。

つうか、買う前に少し捨てろよ、俺よ。

02.8.18 終りがまったく見えません
荷造りを始める。整理しやすそうなマンガ本から。
これは楳図箱、これは岡崎京子系箱、これはガロ系箱、望月峯太郎とすぎむらしんいち、諸星大二郎と高橋葉介、萩尾望都と大島弓子、とり・みきと唐沢なをき、それぞれペアで箱詰め。なんか楽しくなってきた。
しかし、早速、壁にブチ当たる。
この詰め終った段ボール箱、どこに置いたらいいんだろ…?
なんだかんだ、行き当たりばったりで、とりあえず今日は9/70箱。
まだ先は長い。

02.8.20 アミダん
台風が去ったあとの空はスカッと晴れて、風の強い日だった。
どっどどどどうどどどうどどどう。俺の名は又三郎。イーハトーヴからの転校生。

最近、千葉の地元の駅で、
ポンチョ着て「コンドルは飛んでゆく」とかを演奏する集団を見かける。
新宿や渋谷とかの路上でもよく見かけるんだけど、知ってる?
ちなみに、お茶の水や上野でも目撃したことがある。
謎のアンデス民謡楽団、略して「アミダん」。
常々疑問だったんだけど、あちこちに出没する彼ら、同一人物なんだろうか?
それとも、あーゆー人たちが東京には何組もいるのかな?
そんな話をしてたら、友人が言った。
「私、ハワイで見たことあるよ!」
なぬ? ますます謎めいている。国際組織か?

あー、ハワイでもアンデスもいいから、どっか遠いところに行きたいなあ。引っ越しなんて、チマチマしたことを放り出して。もちろん身ひとつで。
ふらりと町に現れて、丘に座ってハーモニカを吹いている。そして、いつの間にかまた旅に出る。そう、俺の名はスナフキン。
おさびし山に秋の月がのぼる。

本日の箱詰め6箱
累計19/70箱

02.8.21
本日の箱詰め4箱
累計23/70箱

02.8.22 3つ数えろ
引っ越し準備の大変さを、同僚にくどくど訴えていたら、
「普段から片づけてないからだよ」と言われました。
ぐうの音も出ない。
っつうか、それ親にも言われた。
俺に味方はいないのか?
わかったよ。孤独に荷造りするよ。誰にもこの苦しみは分けてやんない。

それにしても、ラクして一気に終わらせることはできないもんかね。
荷物にでっかい布かぶせて「ワン・ツー・スリー!」、
3つ数えたらあっという間に引っ越し先に移動…とかね。
あーあ、手品師がうらやましい。プリンセス・テンコーとか。
もちろん、部屋の鍵なんかなくたって出入り自由自在。

本日の箱詰め7箱
累計30/70箱
まだ半分いかないの? そもそも、70箱に収まるのか?

02.8.23 箱詰め地獄
「瓶詰め地獄」は夢野久作。

いらない本をブックオフに売ることにする。
宅本便ってのがあって、売りたい本をペリカン便が引き取りに来てくれるらしい。
無料でできるっていうんで、申し込んだ。
でも、ペリカンを呼ぶ前にしなきゃなんないことがある。
そ、売る本の箱詰め。またしても、箱詰めだ。
例の70箱とは別に…。
っつうことで、今日は、本の仕分け&売る本の箱詰め。
永遠に終らない気がしてくる。
賽の河原で小石を積んでる気分。
ようやく積み終えたと思ったら、鬼が崩しに来るんだよ。

いい加減、引っ越しの話は聞き飽きたでしょ。
でも、俺の方が、もっともっと飽きてるんだよっ。
ひとり逆ギレ。

本日の箱詰め5箱(ブックオフ用はカウントせず)
累計35箱

02.8.24 NIGHTSWIMMING
部屋を片付けてると、懐かしいものがいろいろ出てくる。

RCの『COVERS』に影響されたのか、オタマジャクシに乗る訳詞ってのに凝ってた時期があった。洋楽を、歌えるように訳すわけ。訳すっつうか、歌詞を乗せるってほうが正しい。だって、英語わかんないから。
で、そんなことをしてたときのノートが出てきて、しばらく読みふけってしまいました。懐かしいなあ。これ、友達と演ったりしたっけ…。
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「ロリポップ」「ケ・セラ・セラ」なんかのいわゆるスタンダード系のものから、トム・ウェイツやXTC 、トーキングヘッズ(「サイコキラー」!)まで。
で、その頃チャレンジしたんだけど完成しなかった曲があってさ、その中のひとつがR.E.M.の「Nightswimming」。
この曲、好きだったんだよなー。で、片付け中だってのに、CDを引っ張り出して聴いたりして。
こんなシーンを思い浮かべながら、訳詞(じゃないんだけどさ)しようとしてたっけ。

家族が眠りにつくころ、ベッドを抜け出して窓から外へ。自転車に乗って坂道を下って、林の入り口に自転車を停め、薮をかきわけて川へ出る。岸辺にシャツやGパンを脱いで、石で重しをする。で、川で泳ぐんだ。何かの儀式みたいにひっそりと。夏の終わりの夜風は涼しくって、虫や鳥の声がする。林の向こうに月が見える。
もうすぐ9月だ。

本日の箱詰め10箱
累計45箱
腰が微妙に痛い。

02.8.25
ビール飲んでます。ほろっと酔ってる。今日は久々に暑かったスね。
駅を通ったら、「最後の夏を思いっきり遊ぶぞ!」的な、若者やらファミリーやらがいーっぱい。あーあ、遊ぶがいいよ。夏を謳歌しろよ。俺は今日も荷造りだ。
もう引っ越しが来週に迫ってるから、気ぃ抜けないのよ。でもって、今日なんて汗だく。段ボールにぽたぽたたらして。途中喫茶店に避難したりして。夜は夜で、ビールだよ、ビール。ガキの使いを見ながら。気ぃ抜いてるじゃん、って言わないで。ビールくらい飲ませろよ。

本日の箱詰め15箱
もう累計は数えない。

02.8.26 さらば数ガロンのコーヒーよ!
今の部屋に住んで12年。そりゃあその分の垢というか、いろんなものがたまっていく。

タワレコのフリーペーパー「bounce」をまとめてゴミに出す。
それにしても「bounce」、あの情報量で無料ってのはすごいよな。企画やレイアウトも、かなり凝ってるし。
「bounce」が並の音楽誌より面白いのは、音楽と音楽の「つながり」を見せてくれること。「耳で聴いたピープル・トゥリー」とかってコーナーなんかまさにそう。連想ゲームのように、いくつもの音楽がつながり、連鎖していく。音楽だけじゃなくって、映画もマンガも社会現象もみんなつながっていく。
雑誌って本来そーゆーもんだと思うんだけど、なかなかそーゆー雑誌ってない。フリーペーパーのほうが「雑」誌だったりする。

我が家にあった一番古い「bounce」は、94年のものだった。プライマルのボビーが表紙。新宿のルミネにタワレコがあった頃だと思う。もう8年前か。
実は、その号からほぼ全部取ってあったんだ。読み返しゃしないんだけど。8年分って、ちょっとした量だよ。
これまでに紹介されたCDのジャケ写真、インタビューで使われたテープ、プリントアウトされたコラム原稿なんかの膨大な量を想像する。メールや電話やバイク便が飛び交い、音資料が積み上げられ、請求書が何枚も切られる。もちろん、その後ろには、消えていった没企画に没デザイン・没原稿の山がある。ホッチキスが何回綴じられ、電卓が何回叩かれ、カッターの歯が何回折られ、修正ペンが何回振られたろう? 打ち合わせで飲んだコーヒーはトータルで何ガロンだろう?
膨大な情報が、今まさに、ゴミとして捨てられる。もったいないような、すがすがしいような。
さらば! さらば! さらば!

本日の箱詰め3箱
ゴミ出しメインだったんで、ちょっとペースダウン

02.8.27
本日の箱詰め11箱
ちなみに引っ越しは30日です。あと3日。

02.8.29 うわー、まだ荷造り終んないよ
いよいよ引っ越しが明日に迫りました。
ここ2週間ばかり、引っ越し準備に追われっぱなし。全然遊んでない。もー欲求不満。
「9月になったら遊ぼう」、ってみんなに言ってる。
「そば食おうぜ、そば」とかね。
逆によく言われるのは、「散らかる前に遊びに行くよ」。

段ボール箱は結局90箱程度に落ち着きそうです。ってさらっと言ってるけど、すんげえ量。エスキモーの家が作れそう。男の独り暮らしでこんなに荷物が多いのは、やっぱクレイジーだよ。バカみたい。
今回の引っ越しで、つくづく自分のだらしなさっていうか、ダメ人間っぷりを思い知らされた。ホント、片付け、めんどいのよ。しかも期日があるから、それがプレッシャーになってる。明日の2時にトラックが来るから、それまでに終らせなきゃ。
で、今日は一日荷造り。せっかくとった夏休みだけど、休んでなんかいられない。

12年間培ったカオスから、いろんなものが出てくる。もう着ないような服、映画のチラシ、お土産にもらった入浴剤、友達と描いたマンガ、大学時代のレポート…。ひどいのになると、旅行に行ったときに乗ったロープウェイの半券、年賀状の書き損じ、町で配ってるようなうちわ、試験前にとった友達のノートのコピーなどなど。試験って、何年前よ?
夢の島みたい。ゴミの山に囲まれて、ノスタルジックな夢を見る。

今、午後10時。これからまだまだ作業。
あ、明日から更新はしばらくストップするかも。しないかも。

02.8.31 夏と共に去りぬ(船橋を)
あー疲れた。とりあえず、引っ越し終りました。ネットもつながりました。引っ越し祝い受け付け中。
さらば船橋市。ちわっス市川市。上から読んでも下から読んでも「市川市」。って横書きだけど。

29日はほとんど寝ないで、30日の引っ越しに臨む。引っ越し屋が働いてる間も、箱詰めしてたもんね。で、暑かったでしょ。グロッキー。「あちい」「ねみー」「だりー」ってボヤッキー。
結局、7時くらいに移動終了。まず、クーラーをつけてみる。ひゃー涼しい。

今日は、これまで住んでた部屋のおそうじ。ゴミ出しで、坂を上り下り。20往復くらいしたんじゃないかな? これまた、えらく疲れた。ちょっともう、休ませて。
っつうことで、荷ほどきはゆっくりやるよ。どうせ、ほとんどはすぐ使わないものなんだし。もう、しばらく段ボールは動かしたくない。

02.9.1 よくわからないものたち
引っ越し前にモノを増やしちゃいかんと思って、ずーっとガマンしてたんだけど、今日はタガがはずれたように本を買っちゃった。
早速その中の一冊、宮沢章夫『よくわからないねじ』(新潮文庫)を、喫茶店で読む。
…ン? 読んだことある気がするぞ。
よく見たら、「『百年目の青空』改題」って書いてあった。失敗。『百年目の青空』は、持ってるのに…。ただ、どの段ボール箱に入ってるかわからない。

タイトルにもなっている「よくわからないねじ」は、こんなエッセイ。
ふと、引き出しを片付けようと思い立って見てみたら、机の中からいろんなものが出てきた。
「よくわからないねじ」
「なんのものかわからないふた」
「まったく意味のない鎖」
「何に付属していたのか忘れてしまった金具」
「わからない鍵」
「椅子やテーブルの足にはめるのだろうゴム製の黒いもの」
そして、宮沢章夫はこう言う。
「長いあいだいらなかったものは、やっぱりいらない」

まったく他人事とは思えない。今回、12年ぶりの引っ越しで味わったのが、この「よくわからないもの」たちの多さ。
鍵、なんて困るよね。何の鍵かわからないけど、いざ必要なときに鍵が開かないことを想像すると、恐ろしくって捨てられない。非常口の鍵だったらどうするよ? 金庫とかの鍵だったらどうするよ? いや、金庫、ないけど。
棚の後ろとかに、綿ぼこりにまみれて転がってるねじや鍵たち。よくわからないものたち。
「誰かの電話番号メモ」
「何かの紐」
「どんな状況でやりとりされたのか忘れてしまった手紙」
「仕切り板らしきもの」
「何かの虫の羽根」
このカオスから、新しい生命とかが誕生したら面白いのに。ベックの『メロウ・ゴールド』のジャケみたいなやつが。

02.9.3 男の意地を見せるでやんす(でやんすって今どき…)
なんかね、引っ越しが終って、ちょっとフヌケ状態。まあ、普段からフヌケ気味ではあるんだが。
漢字で書くと「腑抜け」ですね。解剖っぽい。杉田玄白か?

「根性」「気合い」「覇気」…、そういったものをできるだけ避けて生きてきました。
だから、たまにがんばんなきゃいけないときがくると、もうへろへろになるわけです。
♪根性根性ド根性〜ってんで、一人で引っ越しの箱詰めして、その反動でぼんやりしちゃってるわけ。
挙げ句の果てに、職場で机まわりを「片付けなよー」って言われて逆ギレ。
「俺はもう、しばらく片付けはしないって決めたんだよっ!」
フヌケのクセに、そんなにムキにならなくても…。気合い入れるべき場所を明らかに間違えている。


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