可愛いベイビー
名曲アルバム2010



そこそこいい曲はあるけど、ずきゅんと打ち抜かれるような曲があまりない。そんな一年でした。 そんな中、七尾旅人と忌野清志郎の「愛を手渡す歌」にグッときたので、それを中心に選んだ1ダースの名曲たちです。
ちなみに<●曲名/アーティスト名『収録アルバム』>です。

べいびー/マーガレットズロース『darling』
前にもライブ音源を一度選んだことがあるけど、名曲なので再度セレクト。 何で、恋人のことを「ベイビー」って言うんだろう、っていう歌。 赤ちゃんのように可愛い恋人を包み込む、素っ裸の歌声が素晴らしい。
メリーゴーランド/小島麻由美『BLUE RONDO』
ジャズのスタンダードナンバーのような、堂々たるロマンティックなラブソング。 サビへとぐんぐん盛り上がっていき、小島麻由美が「♪メリーゴーランド」と歌い上げるとき、電飾がいっせいに瞬き出す。
セーラー服と機関銃/UA『KABA』
カラオケビデオの中にいるような、薄っぺらい東京の暮らし。 どこかぼんやりとした寄る辺なさに、ぶっとい楔を打ち込むUAの歌声にシビれる。 地を這うベースがセーラー服を漆黒に染める、薬師丸ひろ子のカバー。
my disco/SuiseiNoboAz『SuiseiNoboAz』
飲んで踊って、よくわからない場所で目が覚める。楽しいけど虚しい、空っぽな東京の日々。わやになったのはいつだ?  あの夜はどこへ行っちゃったんだ? 満たされない気分がぐじぐじと滲み出すディスコソング。
ロックンロールは鳴り止まないっ/神聖かまってちゃん『友だちを殺してまで。』
キャラクター的には微妙なラインなんだけど、抒情的なピアノが耳に残る今年の名曲の一つだと思う。 「TSUTAYAさん」で借りるロックンロール。何でも手に入るけど、何にも自分のものにならない、そんな2010年。
バケツの中でも(ハンバーグハンバーグver.)/踊ってばかりの国「悪魔の子/ばあちゃん」
アルバムバージョンもいいけど、シングルに収められたこの21分のロングバージョンにはびっくりした。 死んだロックシンガーへぐにゃんぐにゃんのボーカルで毒づく、長い長い挽歌。そしてロックンロールは鳴り止まない。
トリミング/イルリメ『360°SOUND』
それは不意打ちでくる。ふと、「ああ、この景色をあの人にも見せてあげたいなあ」って思って、その人の顔を思い浮かべてしまう。 イルリメのラップが、ダメ男のセンチメンタルのツボをぐりぐりと押しまくる。
くせのうた/星野源『ばかのうた』
「知りたいと思うには/全部違うと知ることだ」、真夜中の哲学。 君の癖が知りたい、僕と出会う前のことを知りたい、ひとりのときにどんな顔をしてるか知りたい。 ああ、僕らはばらばらだから、もっともっと知りたくなるのだ。
きよしちゃん/矢野顕子『音楽堂』
これは、挽歌じゃあない。ひとりのミュージシャンへの敬意あふれるラブソングだ。 80年代のあの頃から、アッコちゃんときよしちゃんは、たぶん同志みたいなものだったんだろうな。 最後の、「どうしたんだHey Hey Baby」というエールが胸を突く。
南行き列車/仲井戸“CHABO”麗市『I STAND ALONE』
これは、挽歌じゃあない。若い日を共に過ごした大切な友達への、今は亡き友達へのラブソングだ。 バンドを始めた日、可能性がどこまでも広がっていたあの日から、こんなに遠いところまで来ちまったぜ。 チャボの雄叫びは、「おーい、覚えてるか」って言ってるようで。
Baby#1/忌野清志郎『Baby#1』
20年前の清志郎の新曲だ! こんなに可愛らしい曲が眠ってたなんて。おはよう、ベイビーおはよう。 スウィングするリズムに、ベイビーと共にいられるという幸福感が満ち満ちている。 30代後半、ずいぶんと長かった青春時代を終える間際の、清志郎の声のみずみずしさ!
私の赤ちゃん/七尾旅人『billion voices』
そして、30代になった七尾旅人が、ベイビーについて歌う。私の赤ちゃんやって来た。そう、ベイビーはこの世界からの贈り物だ。 贈り物をもらった人は、また誰かへ贈り物をプレゼントするんだ。それは歌の形をしているのかもしれない。

オマケの1ダース
●恋人たち/サニーデイサービス『本日は晴天なり』
●暮らしのアイデア/HARCO『Lamp & Stool』
●ネコとネズミ/曽我部恵一『けいちゃん』
●小学館/相対性理論『シンクロニシティーン』
●おじさまとチーク/サエキけんぞう&Boogie the マッハモーターズ『21世紀さん sings ハメルンズ』
●てるてる坊主は吊るしたが/壊れかけのテープレコーダーズ『箱船』
●サマータイマー/昆虫キッズ『text』
●朝顔/キセル『凪』
●好きになるはずの場所/TOMOVSKY『秒針』
●moment to moment/EGO-WRAPPIN'『ないものねだりのデッドヒート』
●Love Me Tender/Phew『FIVE FINGER DISCOUNT』
●ルーシーの子どもたち/ソウル・フラワー・ユニオン『キャンプ・パンゲア』



2010.12

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