(1)「川崎市の公民館(都市型大型公民館)配置計画」
    −日本公民館学会・ポスターセッション・発表要旨−(2004/11/21)

                        小林雄介(川崎市教育委員会)


1.川崎市の公民館配置計画
  川崎市では、老朽化した公民館を建て替える時に、市民社会の創造を目指す市民の学習・文化活動の拠点にふさわしい施設名称として「市民館」を採用した。市民館は、社会教育法上の公民館である。政令指定都市の川崎市は7つの行政区に1館の市民館を配置してきた。
 市民館分館の配置は、半径1.5km円をエリアに9館の配置が計画化されており、現在6館が実現しており、あと3館が残されている。市民館と分館から離なれた地域は、学校施設の転用によるコミュニティルームの配置を計画しているが、現在1館が開設している。
 なお、市内57ヶ所に開設されている市民局所管のこども文化センター(児童館)と市民館との連携による有効利用が検討されている。

2.多様な市民館施設
  大都市の公共用地の取得は困難であるため、川崎市の市民館は多様な施設形態を呈している。@単独施設、A図書館との複合、Bマンション等民間施設との同居、C区役所との複合、D商業ビルとの同居、などである。
 市民館の特徴は、市民要求に基づきそれぞれ演劇や音楽コンサートのできる大ホ―ルが備えられていることである。また、児童室(保育室)や閉館時間帯に自由に利用できる「グループ室」が人気がある。

3.市民館の課題
  行財政改革が推進されるなかで、市民館の主催事業である@社会教育事業の見直し検討、Aコスト意識による事業検討、B費用対効果による事業検討、C組織・職員の削減、D通年開館・年中無休・不規則勤務の実施、E市民自主企画事業の拡充、F区役所機構への移管、G教育の自由・自治の確保、などが問われている。

4.参考資料
   配布プリント資料(略)参照





(2)大都市の中の小さな学び社会
     −日本公民館学会(第3回)研究大会ポスターセッション、2004/11/21−

           横浜市教育委員会社会教育主事(磯子区役所地域振興課)
                                     伊東 秀明 


1 概況
 大都会・横浜市磯子区は人口16万人、世帯数7万戸、小学校17校、中学校7校、図書館1館、博物館2館である。地域学習に使える施設は地区センター4館、コミュニティハウス7館、地域ケアプラザ5館など(以下総称して地域学習拠点と呼ぶ)である。公民館は無い。

2 生涯学習の限界

(1)生涯学級の限界:16万人の区民を一括して対象とし、年間10本余の生涯学級を開設していた2000年ごろは、一講座の受講生を30人平均として年間400人ほどの人が生涯学級に参加する機会を得ていたことになる。16万区民の0.2%である。これでは学習機会が少ない。しかも会場はほとんど区役所の会議室を利用していたので区役所から離れた地域の区民はバスや電車に乗って参加をしていた。
(2)生涯学習の限界:地域学習拠点でもさまざまな教室が開設されている。しかし生涯学習の目的は個人が学ぶための機会を提供することに置かれているため、開設される教室のテーマは趣味や習い事に偏ってしまい、地域社会について学ぶテーマや現代的課題をテーマとする講座や学級は皆無という情況であった。
 生涯学習が個人の学びを支援することを目的としているため、受講生同士が仲間を作るという視点も弱かった。大都会は地域コミュニティを失ったために、孤立した密室の中の困難な子育て、犯罪の増加や孤独な高齢者の存在が社会問題として指摘されている。個人の学びを支援する生涯学習では、これらの問題に対処することができない。

3 生涯学習から地域学習へ
(1)生涯学習の限界を超えるために、2000年から試みていることは、生涯学級が終了したあとに学習グループを作ることである。5回程度の連続講座が終了すれば、受講生はそのままどこかへ消えてしまう。イベントとしての連続講座で終わらせないで、永続的な学習グループをつくろうと呼びかけた。「製本の会」が最初に学習グループをスタートさせた。
(2)パソコン講習会が終わると教えてもらったことをみんな忘れてしまう、もっと継続してパソコンを学びたいという声に答えたのが「オンライン街づくり」の試みだった。先生がいなければ学べないという既成概念を取り払った。いっしょに学び教えあい学びあうという学習スタイルの中で人間同士としての信頼関係を深めている。
(3)「おんなの夢おこし」:初年度は講師を呼んだが、2年目からは自前のメンバーが講師を引き受けるとともに、受講生が自分の夢を宣言するという受講生が主人公になる講座の形態を編み出した。
(4)地域学習拠点では「地域の歴史と街づくり」という講座を開設して地域コミュニティづくりに挑戦し始めている。






(3) 松本市における町内公民館の役割と行政の支援
    −日本公民館学会(第3回)研究大会ポスターセッション、2004/11/21−

                    松本市南部公民館 矢久保 学

                   *関連実践レポート→こちら

1 松本市の地域コミュニティづくり

 松本市は本州の中央に位置する人口約21万人、世帯数約81千世帯の地方都市である。市民の学習意欲は旺盛で自治意識が高い土地柄であると評価されている。松本市には現在28の条例公民館と385の町内公民館(自治公民館)があり、どちらも市民生活の一部として根付いている。
 松本市では70年代に公民館かコミセンかの論争が勃発し、結果として市民は公民館を身近な地区(旧村または小学校区程度の日常生活圏域)に配置することを選択した。以後、市は一貫して地区を単位としたコミュニティづくりを市政の重要な柱としている。

2 「町会福祉」で変わった町会・町内公民館
 松本市は平成7年度から「地区福祉ひろば事業」によって住民参加型の地域福祉づくりの推進を図ってきた。そして、地区に共に支えあう地域づくりの取り組みが浸透してくると、地区よりもさらに身近な町会や隣組での福祉づくりを考えよう、という流れが出てきた。松本市はこれを「町会福祉」と位置付け、福祉ひろばや社会福祉協議会等による支援を進めてきた。
 その結果、今では自己増殖的に「町会福祉」の輪が広がってきている。さらに、「町会福祉」の取り組みを通じて、これまでの町会のあり方を問い直す動きも出てきた。例えば町会住民の誰もが自由に発言できる雰囲気をはじめ、町会への女性の参加やボランティアの位置づけ等が大きく変化してきている。「町会福祉」の広がりに伴い、町内公民館は「町会福祉」を推進する拠点としての役割を新たに担うことになった。

3 新たな町内公民館の支援とネットワークの強化
 町内公民館は本来住民が気楽に集い語り合う町内の縁側であった。ところが、都市型の生活様式が一般化し地域の人間関係がかつてほど濃密でなくなると、いつしか町内公民館に人が集まらなくなり、活動は停滞気味となった。さらに、タテワリ行政の影響を受け、本来もっと豊かなはずの町内公民館の活動は学習・文化の枠組みの中に押し込められてきたように思われる。しかし、町内公民館は「町会福祉」という新たな理念を獲得したことによって再活性化されてきた。住民が集ってお茶を飲みながら語り合う場としての機能も復活してきている。「町会福祉」の取り組みが地域に新たな人間関係を構築し、ひとまず人間関係の希薄化に歯止めを掛ける効果を生んでいる。
 こうした状況の中で条例設置公民館は、これまで以上に町内公民館との連携ネットワークを強化し、地域の課題を共に考え、解決に向けて共に取り組んでいく姿勢が求められている。今後、松本市の公民館は「学習参加型の総合的な地域づくりの拠点」となるよう、職員の地域づくりの力量を向上していくことに力を入れていきたいと考えている。

 <参考:ポスター>
 松本市における町内公民館の役割と行政の支援

1 松本市の地域コミュニティづくり
 (1) 松本市の概要(H16.10現在)
    ・人口:208,447人   ・世帯数:83,217世帯   ・面積:265.9Ku 
    ・高齢化率:20.2%   ・行政地区数:29地区   ・町会数:385町会
 
 (2) コミュニティ施設の配置状況
   @ 公民館  28(町内公民館385)  C 図書館分館     9
   A 運動広場 66(内学校開放37)   D 児童センター  21
   B 体育館  61(内学校開放37)    E 地区福祉ひろば 29

  (3) 地域コミュニティづくりに対する公民館の役割
    ア 住民主体の理念を踏まえた、町会・町内公民館との連携
    イ 公民館が地域づくりの拠点となり、住民と職員が協同で地域課題に取り組む

2 「町会福祉」で活性化した町内公民館
 (1) 町会福祉とは、町会や近隣程度の身近な地域における住民主体の福祉活動
 (2) 町会福祉の推進による効果
   ア 共に支えあう地域づくりの意識が浸透(セーフティネットの構築)
   イ 町会のあり方に関する議論が進展(女性が元気になる)
   ウ 町内公民館が福祉の拠点として活性化
 (3) 松本市における「町会福祉」の事例

 地区・町会名

人 口

世帯数

町会福祉の主な内容

白板地区
蟻ヶ崎西町会

1,706

    771

・町内給食サービス:町内公民館で調理したお弁当を毎週月曜日に宅配
・あ・うんの会:利用者と提供者の対等な関係を大切にした1回300円の有償サービス

庄内地区
神田町会

1,612

    637

・ほたるの会:町会内の支えあいボランティア活動利用者は地域通貨で気軽に利用が可能
・町会内に9つのボランティア団体

島立地区
大庭町会

   609

    222

・かぶらの会:町会内の高齢者が気軽に町内公民館に集うことをサポート


3 「学習参加型福祉コミュニティ」の創造に向けて

 (1) 町内公民館の実態把握(現場の声の聴取、実態調査、事例研究)
 (2) 町内公民館との連携・ネットワーク化(NPO、コミュニティビジネス等を含む連携)
 (3) 地域課題解決に向けた地域に根ざした学習と実践への支援(集落こそ暮らし
   の原点)

 (4) 公民館は社会教育の機関であると同時に、日常生活圏域における「総合的な
   地域づくりの拠点」として位置づけ




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  地域活動・公民館・関連レポート(2)
 
  −2004年日本公民館学会研究大会、ほか研究報告資料−
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                             *沖縄の字公民館関連   
                             *東京・杉並公民館研究
                             *2004・05自治公民館等分科会(全国集会)
                             *ろばた懇談会関係資料
                             *02・03分科会・地域活動関連レポート(1)


<目次>

(1)川崎市の公民館(都市型大型公民館)配置計画(2004年11月、小林雄介)
(2)横浜市・大都市のなかの小さな学び社会(同、伊東秀明)
(3)松本市における町内公民館の役割と行政の支援(同、矢久保学)
(4)