近年、少子化・核家族化等の急激な社会環境の変化のもと、育児ストレス、育児不安の増大に伴い、子どもの虐待が増加している。全国の児童相談所によせられた児童虐待の件数は平成8年度 4,201件で6年間に4倍に急増している。京都府での児童虐待件数は28件であり、その内13件が宇治児童相談所管内であった。
虐待は子どもの生命・身体に危害を及ぼし、心に傷を残すだけでなく、次世代に対する虐待の誘因になるとも言われており、緊急な対応とともに早期発見や早期対応が求められている。乳幼児虐待のハイリスク要因として未熟児や発達の遅れがあげられているが、保健所では未熟児訪問、低体重児健診、発達クリニックを実施しており、早期発見や育児支援の立場で大きな役割を担うことができる。
(1)事業名 児童虐待予防対策事業
(2)目 的
(ア)児童虐待防止
児童虐待問題に対する啓発、ハイリスク段階からの早期発見・早期対応
(イ)児童虐待対策
児童虐待問題を抱えた家庭の援助を円滑に行うための関係機関のネットワークの構築と、
被虐待児童の適切な保護・処遇
(3)取り組みの実際
(ア)事例検討会の開催 年間4回実施
(イ)処遇検討会の開催 年間2回
(ウ)児童虐待防止シンポジウムの開催
<目 的> 児童虐待問題に対する啓発を行うことにより、ハイリスク段階からの早期発見・早期対応を
可能とし、児童虐待の防止に資するとともに、関係機関のネットワークの構築を図り、児童
虐待問題を抱えた家庭の円滑な援助に資する。
<日 時> 平成10年3月20日(金)午後1時30分から4時30分まで
<場 所> 宇治市生涯学習センター
<参加者>125名 学校関係者(18名)、保健・医療関係者(23名)
幼稚園・保育所関係者(26名)、民生児童委員(47名)、行政関係者(11名)
<内 容> 基調講演「児童虐待の実態」 大阪府岸和田保健所長 佐藤 拓代 氏
パネルディスカッション
「児童虐待の早期発見と防止」 −ネットワークの確立をめざして−
バネラー 保育園、民生児童委員、保健所、児童相談所
(1)保健所が関わっている事例
(2)ネットワークの状況
(3)保健所の役割
(ア)早期発見
発達クリニック・電話相談・訪問活動を大切に
子どものサイン・母親のサインを見逃さないで
生活背景から見える育児不安…不安から生じる「不適切な子どもへの対応」
親の育ちからくる、親(自己)中心的な育児
(イ)所内及び関係機関との連携体制作り
虐待の疑い(クリニック・訪問・電話など)
↓
情報収集(訪問・関係機関との連携)
↓
所内チームでの事例の共有
↓
必要に応じて関係者事例検討会議の開催
↓ 情報の共有化
↓ 関係者の役割分担の明確化
↓ 処遇方針の決定
事例検討会議の定例化
各機関の対応の報告・処遇方針の決定
(ウ)在宅における育児支援
発達クリニック・訪問活動の場で
地域の既存資源の活用のなかで(子育てサークル、保育園の母子通所など)
(エ)地域ネットワークの構築
事例検討会を通して、直接援助関係者とのネットワーク
講演会など、地域関係者・住民を対象とした普及啓発事業を通して、各機関の役割を周知
虐待児へのかかわりは難しい。
相手(親)をどれだけ受容できるか。理解できるか。自分の物差しで見ないでいられるか。
子ども中心に考えることと、母親支援が両立できるのか。
多職種で役割分担して関わっていくことが必要。
その中で保健婦がとる立場は、子どもの保護か…親支援か…。
多くの事例から学び、焦らず、個々を大切に。
事例を見る「視点」を養い、評価する力を身につける。