第6号

速報!!  京都こどもの虐待防止研究会アンケート調査中間報告

 小児科医師、保健婦、保育園・幼稚園を対象にアンケート調査を実施しました。次のような内容をお尋ねしました。

        アンケート項目
   @ 子どもの虐待に関心がありますか?
   A 最近10年間に、虐待を発見又は疑う症例を経験されたことがありますか?
   B (ありと答えた場合) 症例のアウトライン(虐待の種類・発見時の年齢・その時の状態・家族状況・
     その後の対応、相談、他機関との連携等について)
   C 今後どのような情報が必要であると考えますか。

 回答の回収を終え、現在データの整理中です。その中から現時点で報告できることのごく一部を速報します。

小児科医師の関心度
関 心 度大いにある少しあるない未記入合計
開 業 医 44 36 2 2 84
大学病院 2 1 0 0 3
公立病院 2 0 0 0 2
私立病院 6 4 1 0 11
保 健 所 2 0 0 0 2
行政機関 0 0 0 0 0
そ の 他 6 2 0 0 8
未 記 入 0 0 0 0 0
合 計 62 43 3 2 110


保健婦の関心度
関 心 度 大いにある 少しある ない 未記入 合計
保 健 所 122 45 0 9 176
市 町 村 96 45 1 2 144
未 記 入 5 2 0 0 7
合  計 223 92 1 11 327


小児科医師・保健婦における虐待事例経験の有無
経 験 の 有 無 あ る な い 未記入 合 計
小児科医 開  業 9 75 0 84
     病 院 等 8 18 0 26
保健婦  保 健 所 100 75 1 176
     市町村等 45 105 1 151


平成11年第3回総会報告

 平成11年3月6日(土)、午後1時30分から4時まで京都府立医科大学図書館合同講義棟(京都市上京区河原町通広小路西入)で、第3回総会が開かれ、88名の関係者が集まりました。
 澤田淳京都こどもの虐待防止研究会会長(京都府立医科大学教授)のあいさつの後、安保千秋氏(京都弁護士会子どもの権利委員会委員長)と平田佳子氏(児童虐待防止協会コーディネーター)の講演を聴きました。


京都弁護士会子どもの権利委員会からのメッセージ

京都弁護士会 子どもの権利委員会  委員長  安保 千秋 氏

子どもの虐待と弁護士
 虐待の場合は、当事者からの相談はまずなく、専門機関から弁護士に声がかかる場合が多い。また、弁護士は外部から声がかかったところからしか動きようがない。
 だからこそ皆様に弁護士の活動を知っていただき、虐待防止ネットワークの一員として役立ちたい。
 京都弁護士会には、約300人の会員(=弁護士)がいる。<弁護士の社会的職責>、及び<弁護士の自治>を果たすために、京都弁護士会にはいろんな機構があり、そのうちの一つが、子どもの人権を守るために結成された<子どもの権利委員会>である。

子どもの権利委員会
    <京都弁護士会子どもの権利委員会>
  目 的 子どもの人権保障確立のための諸活動
      子どもの人権救済のための必要な諸活動 等
  委 員 20名+アシスタント2名

最近の活動
   @ 子どもの権利条約の普及(1989年制定、1994年に批准)
   A 少年法改正問題、付添人活動の拡充
   B 子どもの権利110番活動
        毎週金曜日 午後3時〜5時、電話・面接相談
        電話番号  075-231−2335
        面接相談は要予約、無料

 子どもの問題で、弁護士の元に寄せられるケースは、困難で膠着した事例が多い。そもそもの問題よりも、その結果の果てに生じた<二次的問題>(例えば家族間の問題とか…)に対する相談が多い。
 委員会では、1ヶ月に1度、持ち込まれた相談事例をチェックして、その経過をフォローするようにしている。
 子どもは日々成長している。だから子どもの問題への対応は迅速に行わなければならないと考えている。

   C 児童福祉の問題
 基本的に弁護士二人体制で取り組んできている。弁護士も<児童福祉問題>に取組み始めた。児童福祉法改正の動きを機会に、<児童福祉法改正シンポジウム>を連続開催した。
 少年事件に関わっている内に、その背後に<虐待問題>が見えてくることがあった。そして、<児童虐待問題の重要性>を認識するようになってきた。
 子どもの権利委員会の中に、<児童福祉部会>を設置することになった。

弁護士がどんな役割を果たせるのか
   @ 法的アドバイス:児童福祉の専門家たちへの法律に関するバックアップは、実務レベルでも可能である。
   A 家裁対策〜児童福祉と司法への橋渡し : 児童福祉法第28条その他の申し立てを裁判所に行う場合、
     裁判所への対応・対策は、やはり弁護士がプロである。
   B 親族等の代理人としての活動:親族が子どもにかわって裁判所に申し立てる場合、弁護士はその親族の
     法定代理人になることができる。
   C 親の代理人としての活動:虐待を行った親の代理人になることもできる。親には、親の言い分をきちっと
     言ってもらう。そうすることで、最終的には将来の親子のケアに資することができるかも知れない。

弁護士側の態勢はどうか
   @ ネットワークの形成に向けて:子どもの権利委員会は、徐々に忙しくなってきている。いじめや不登校に関する相談
     も多い。さらなる対応のために、委員を25名配備しようとしている。これは京都弁護士会会員の10%に相当する。
   A 研修、人員、費用:京都弁護士会では、子どもの福祉に関しては、基本的に<無料>で対応していきたい。
     京都府北部への対応も含めて考えている。児童福祉への造詣を少しでも深めるために、周辺機関の
     エキスパートを講師に招いて、弁護士のほうが研修している。


ホットラインから見た地域でのネットワークの必要性

児童虐待防止協会  コーディネーター 平田 佳子 氏

大阪のネットワークを支える機関や団体の活動

@ 児童相談所(大阪府は子ども家庭センター、大阪市中央児童相談所)
 児相は虐待への問題意識はもちろん高く、児童虐待対応への要である。実態として、予防の観点にまではまだ手が回らない(それ故の機関相互のネットワークが重要)。大阪府児相は、1994年に名称変更と共に、組織・機構の改革を行った。大阪弁護士会との提携が、府・市ともに充実している。早期より、ケースワーカーが虐待の事例検討を行ってきた歴史がある。

A 保健所(府の保健所、中核都市の保健所、市町村の保健センター…)
 1960年代からの、障害児の早期発見・早期療育の取り組み、そして1978年の若年妊娠の研究が、現在の虐待予防の取り組みの基礎となっている(他機関との合同研究の実施)。親子の最初の段階から子育て・家族支援を行う、中心的役割を担う(ハイリスク家族への支援)。<保健婦の機動力 = 家庭訪問 + 関係機関訪問>である。ケースマネージメント力の向上がみられる。医療と連携できる強みがある。<虐待の予防>ということに、大いに期待のもてる機関である。

B 弁護士(大阪弁護士会)
 第1期:児童虐待防止研究会の発足(1990) その概要が書物になった。第2期:弁護士が児童相談所と手を携え、法的介入を始めた。第3期:大阪弁護士会の中で、それぞれの児相を受け持つ。<児相担当弁護士>をきめて、各児相との間で定期的な勉強会を始めた(1997)。全国の弁護士たちの中では、<オピニオン・リーダー>的存在となっている。

C 大阪児童虐待研究会による多機関多職種の事例検討会
 12機関、40〜50人の専門家で構成されている。

D 児童虐待防止協会
 子どもの虐待ホットライン。Child Abuse 研究会(これまでに、延べ102回開催した)

E その他
 都市家庭在宅支援事業の虐待防止ホットライン(施設における、アドボケート事業)。24時間、地域に密着したサポート体制。大阪府母子保健総合医療センターの虐待防止の組織<CAPS>。子どもの悩み(SOS)フリーダイヤル事業。子どもからの声を直接聞くことの重要性!!

        大阪の児童虐待防止の歩み
     1988 保健・医療・福祉合同調査(第1回)
     1989 「被虐待者のケアに関する調査報告書」の発表
        「児童虐待対策検討会議」の設置
     1990 民間団体の児童虐待防止協会の設立と「子どもの虐待ホットライン」の開始
        弁護士による「児童虐待防止制度研究会」の設立
        大阪府児童相談所が「被虐待児童処遇マニュアル」を作成
        「被虐待児処遇モデル事業(3年間)」の開始
        「被虐待児童の早期発見と援助のためのマニュアル」を作成
     1993 保健・医療・福祉合同調査(第2回)と「大阪の乳幼児虐待」の発表
        「保健所における予防・早期発見・援助〜Q&A〜」を作成
        「児童虐待防止ハンドブック〜子どもからのSOS〜」を作成
        保健所における養育問題と援助の実態調査
     1994 児童相談所の改称(子ども家庭センター)と組織改編(家庭支援課など)
     1996 保健所における子どもの虐待の実態と援助の調査
     1997 「子どもSOSフリーダイヤル(24時間)」の設置
     1998 「子どもの虐待予防にむけて〜保健所における養育問題への援助実態〜」の報告書の発表

       児童虐待防止協会の設立と歩み
    @ 大阪府の虐待防止対策と連動
    A 関西テレビ放送の援助 マスコミがスポンサーに!! TVでのスポットPR
    B 全国の民間団体とのネットワーク

       子どもの虐待ホットラインの活動
    @ 活動の概況:2本の電話、常時3名の相談員体制で対応。
    A 相談事例
      ☆ 虐待者(虐待することで悩む母親たち)
      ☆ 被虐待者(心的外傷の癒しを求める人たち)
      ☆ 目撃者(親が虐待していることを心配する親族)

 20代後半〜30代の母親からの相談がほとんどである。ごく普通の子育ての悩みやストレスが引き金になって、子どもを仕打ちする母たち。自らの罪障感や、自己嫌悪感を、聴いてほしい母たち。<孤独・孤立>がキーワードである。孤独は、人間関係の問題である!! cf. 貧困問題

    B ホットラインと関係機関との連携

 直接対応が必要な場合には、関係機関に連絡している(結果の回答を求めている)。回答回収率は、70〜80%であり、回収率は高い。

    C ホットラインの機能と役割
      予防対応/早期発見/電話カウンセリング/社会啓発
      死亡という、最悪の結果だけは、なんとしても避けたい…
    D 地域のネットワークの必要性
      関係機関(照会機関)に集まってもらっての懇話会の実施

       地域における虐待防止のネットワークを進めるために
    @ 専門性の向上(知識と対応方法の習得)
    A 多領域・多職種の連携(事例検討会開催)
    B 地域の関係機関の連携(機関役割と分担)
    C 市民活動との連携(自助グループや支援団体と)
    D 情報化と広域化(インターネットの活用)
    E 社会啓発(虐待の認識と知識の普及)


日本子どもの虐待防止研究会 栃木大会

 1999.11/19〜11/20、栃木県総合文化センター(宇都宮市)で開催されます。本大会は、「子どもの虐待防止システムに関わる全国の医療・福祉・教育・法曹など各界の専門職や研究者が一堂に会し、かつ交流することによって、子どもの虐待に対する理解を深め対策を検討すること」を目的としています。

 栃木大会の重点テーマは、
   @ 虐待を受けた子どもたちへの援助
   A 性的虐待への理解と対応
   B 虐待援助における警察との連携
 の3点です。

本大会に関する詳細は、下記までお問い合わせ下さい
事務局:栃木県中央児童相談所 (Tel.028-666-1311)

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