第3章

「ハイドロ車のブレーキ」



ハイドロのブレーキってどこが違う?

まず、簡単に。ハイドロのブレーキにはエンジン負圧を利用したブースターがありません。(?) こいつはメインアキュームの圧力を、ブレーキに開放することでブレーキをかける、極めて単純明解な(信じられない!)構造です。

ブレーキペダルの踏力は、ブレーキをかけるための信号圧を発生するものと考えるとわかりやすいです。

油圧要素の呼び名としては圧力制御弁の一種、減圧弁(レデューシングバルブ)といいます。なんかかっこいいですね。

構造は?

マニュアルによると「3スライド・バルブ式コントロール・バルブ」となっています 。「フロントブレーキ用バルブ+リアブレーキ用バルブ+リアブレーキ力調整用バルブ」の3点セットが一本の筒の中に入っていると思えば間違えありません。

実は、1本の中に入っていることが、安全性確保のための重要な理由があるのですが、これは後程詳しく書きます。

ブレーキの原理

フロントの場合:

真ん中の赤い部分が左右に動けるバルブ(スプールバルブ)です。

バルブの右側に加わる力(スプリング+ペダル踏力)と、左側の油圧の力(=ブレーキにかかる圧力)がいつも釣り合うよう、バルブは左右に揺動します。

アキュームの圧に関わらず、ペダルの力に比例した圧力が、ブレーキにかかるのが減圧弁のミソです。

バルブは少しぶるぶる震えながら、(アキュームの圧をほんの少しずつ消費しながら)ブレーキを一定圧に保ちます。

簡単な説明でわかります?

リアの場合:

基本はフロントとまったく同じです。ただし、ペダルが無く、かわりにフロントのブレーキ圧が右側に入ります。左側はリアブレーキ圧です。

左図を見てわかるとおり、バルブの左右の断面積は同じです。これは、フロントとリアの圧力が同じになるよう調圧するよ!ということです。(!)

フロントの配管をそのまま分岐させればシンプルなのに..

理由は、油圧源を2つにすることで万が一のときの安全性を上げたいためです。この凝った構造のおかげでメインアキュームが死んでも、車高が残っている限りはリアブレーキが効くわけです。

もう一つおまけ。実際ブレーキパッドを押す力は、キャリパーの面積で変わります。(F:Φ54、R:Φ33) かかる油圧は同じでも、押す力は7:3くらいになってしまいます。それに、パッドの面積や材質も違うので実際の効きは、もう少しフロントが強く効きます。(でないと、リアがロックしてしまう!)

全部合計すると、

上図のようになります。なかなかすごいですね。(いやー本当に面白い!)一番左側の変なバルブが「リアサスの荷重によってリアブレーキの効きを加減するためのバルブ」です。(こんなところにあったんですね。)

リアサスの圧力が上がると、このバルブはスプリングを押しのけて、それなりの位置まで左に動きます。リアブレーキの圧力バランス点は左により、リアブレーキの効きが上がります。 リアの荷重とは、積載状況と言い換えたり、ブレーキ時のピッチングモーションとも言い換えられます。

もう一つ、リア荷重が下がったときに、(油圧源の圧力が下がってしまうために)リアブレーキの効きが制限されるので、ロックを回避できると聞いたことがあるのですが、実際どうなんでしょうか? (スタティックなリアの油圧源圧は試算で87.9kgf/cm^2でした。)どのくらい下がるかで、上記バルブの動作との優先度が決まりそうです。この点は、もうすこし考えてみないといけないと思っています。

もっと詳しく知りたいぜ!という奇特な方はこちらへ。

もしも圧力が抜けた場合には..長くなるので別のページで詳しく書きます。


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