発音レッスン実況中継(1)

マドンナの歌「ライク・ア・ヴァージン」で英語のリズムをマスター

「英文をつっかえずに読めるようになる」トレーニング(STEP 1・2)は、順調ですか? 今日はSTEP 4〜5の内容を先取りして、リスニング力アップに即効性があるレッスンを行います。

題材は1980年代の大ヒットソング「ライク・ア・ヴァージン」。

まず、このリンクを別ウィンドウで開いてください。「YouTube」というビデオ配信のサイトに飛びます。(このレッスンで使用するビデオは、版元の Warner Bros. Records がプロモーションのために投稿したものです。)

「YouTube」のページが開けましたか? ビデオの操作は大丈夫ですね? 画面の左下にあるのが「再生/一時停止」ボタンです。

では、課題を出します。

1. イントロ直後の歌詞を書き取ってください。

   タイム                     歌  詞
00:22〜00:26  (                      ) through the wilderness
00:26〜00:30  (                      ) made it through

(カッコ内の単語は1つとは限りません。)

何度聞いてもOKです。

※ 書き取ってから、下のほうにお進みください。

どうでしたか? ちょっと難しいですね?

2. 答え合わせをして、もう一度聞いてみましょう。

00:22〜00:26  ( I made it ) through the wilderness
00:26〜00:30  ( Somehow I ) made it through

上に書いてあるように聞こえました? 答(赤い字)の部分は、非常に早口ですね。部分ごとに時間を計ったところ、

00:22〜00:26  ( I made it ) through the wilderness
         0.6秒     3.0秒
00:26〜00:30  ( Somehow I ) made it through
         0.6秒     2.8秒

黒字の部分と比べると、赤字の部分の時間がやけに短いですね。

音節数で比較すると、

00:22〜00:26  ( I made it ) through the wilderness
         3音節     5音節
00:26〜00:30  ( Somehow I ) made it through
         3音節     3音節

このように、音節数では「赤字部分:黒字部分」は大差ないのに、時間は約5分の1の時間ですばやく歌っています(!) 聞き取れないはずです。

★ 聞き取れない部分は、速い。

文中の場所によってこんなに時間のかけ方に差があるのは、「歌だから」という わけではありませんよ。この歌は(まれな例ですが)、会話の普通の話し方と そっくりのリズムで、「話すように」歌っています。

「速い」だけでなく「弱い」(音が小さい)から、聞き取れない!

さらに、音量が計測できるソフトで、ボーカル部分の音量を比較すると、

00:22〜00:26  ( I made it ) through the wilderness
         音量1     音量2.5

00:26〜00:30  ( Somehow I ) made it through
         音量1     音量3〜4

なんと、音量にも2〜4倍のメリハリがついています!

これも、「歌だから」じゃないですよ。じっさい、会話のなかでは、1つの文中 の「弱い所」と「強い所」のあいだに、ほぼ常に3?4倍程度の音量差がつきま す。この音量が小さい、つまり音が「弱い」部分がリスニングをしていて、「聞 き取れない」部分なのです。

★聞き取れない部分は、弱い(音量が小さい)

それにしても、センテンスの一部分だけを、他の部分と3?5倍の差をつけて 「速く」言ったり、「弱く」言ったりする--―なんていうのは、日本語の話し方の 習慣にはないことです。だから、音が耳に入ったときに「面食らって聞き取れな い」のです。

さて――

もう、どうすればいいか、見当がつかれたのでは?(^-^)

そうです! こちらも、センテンスの一部分だけを「速く」&「弱く」言う習慣をつければいいのです。これは、英語のリスニングの最大の急所です。これを押さえるだけで、今まで聞き取れなかった英語の半分〜8割が聞き取れるようになります。(ただし、STEP 1・2の「英文をつっかえずに読む」訓練が出来ていることが前提です。)

今日は、そのやり方を説明しますので、一緒にやってみましょう。

3. 音の小ささを、自分の耳で確かめる(お手本を区切って再生する)

さて、ビデオの画面に戻ります。

00:26〜00:30  Somehow I / made it through

ビデオの一時停止ボタンを使って、スラッシュ「 / 」の所でストップしてくだ さい。つまり、Somehow I だけ聞く。

音がやや小さい感じがしますね?

次に、スラッシュ以降の部分(made it through)を聞いてください。前の部分とくらべて、やけに音が大きくありませんか。

何度でも、区切って再生して比較してください。

※「通して」再生すると「違い」が認識しにくいですよ。頭が音量を勝手に“補 正”しますので、ベタに聞こえます。

このトレーニングは、音量が「3倍以上はあるかな」と思えたら、ストップして いいです。繰り返しますが、このような音量差は、この歌特有のものではなく、 「会話でも常に現れる」現象です。(ただし、会話では全体の音量が小さいの で、弱い部分がさらに聞き取りにくくなります。)

4. 区切ってまねする - まず、「弱い所」を

「音の小ささ」を確認できましたので、これから、自分でもその「小ささ」を再 現できるようトレーニングします。

再び、ビデオです。

00:26〜00:30  Somehow I / made it through

まず、Somehow I だけを聞いてまねします。

「サムハゥ・アイ」の「サ」は、母音がとても弱いですね。s と m がくっつい て、[smハワイ] のように聞こえるはずです。それを押さえた上で・・・

音が「小さい」ということを気を付けて、まねします。

いや、「音の小ささを再現してるんだ」という意識でやってください。それが、 このトレーニングのメインです。発音はよくなくてかまいません。お手本から、 「音の小ささ」だけしっかり記憶して、その「音量を」自分の口で「コピー」し て。

5. 次に、made it through を同じようにまねします。

この部分は、「音が大きい」ということをメインに記憶するんですよ。

大きいほうは、まねるのが簡単ですね。いつもの通りの“自然な”言い方でいい のですから。

6. 両方続けて言います。ただし、間に1拍おいて。

  Somehow I(弱く)
      ↓
    1拍おく
      ↓
    made it through(3倍の音量で)

これで、常に3倍の音量差がつけられるようになるまで練習します。間に1拍お くのは、いきなり続けて1文のなかで3倍の音量差をつけるのは、難しいからで す。

「3倍になったかどうか」の判断基準は、適当でいいです。しかし、今までの日 本語の習慣(あなたの英語の話し方も、日本語の強弱のリズムに支配されている かも!ですよ)では「ありえない」ぐらいの大きな音量差です。もし分からなく なったら、「3.お手本を区切って再生する」に戻って、音量差を記憶しなおし てください。

間に1拍おいて、3倍の強弱をらくにつけられるようになったら、最後に----

7. 間に1拍おかずに、続けて言います。

    Somehow I made it through
    (弱く)    (強く)

ここが一番難しいと思います。「口が抵抗する」、あるいは、 羞恥心か、「あなたの言語感覚が抵抗」して、どうしてもスムーズに言えないか もしれません。何しろ、日本語で何十年つちかってきた感覚が抵抗しているので す。

がんばって! これをやり遂げないと、英文の半分は永遠に聞き取れませんよ! ここが正念場です。

さらに、ちゃんと言えても、かなりの違和感が残ると思います。でも、「違和感 を感じる」ようだったら、逆に、「うまくいっている」可能性が高いですよ。そ の調子で!(^-^)その違和感が消えてなくなるまで、何度でも言い続けてく ださい。

ときどき、お手本を再生すると、「あ、こんな変な話し方をしている人が他にも いる」ということが分かって安心して、練習を続けることができますよ。

【まとめ】「弱←→強」のリズムを再現できれば、英文の5〜8割が聞き取れる。

トレーニングはどうでしたか? 文の前半と後半で「3倍の音量差」をつけて、 スムーズに言えるようになりましたか? (出来てなくても、聞き取れるように はなったかもしれませんね(^?^)。それで安心せず、音量差がそっくりにな るまで続けてください!)

今回は歌のメロディに助けられて、会話よりも練習がしやすくなっています。ぜ ひ、これをきっかけに、英語の「弱←→強」のリズムをつかみ、たくさん・たく さんの英文を、あなたも聞き取れるようになってください!

では、きょうの重要ポイントを、補足と一緒にまとめておきます。

  • 英文のなかの「弱く・速く」言う部分の「弱さ・速さ」をしっかり再現できるようになると、あらゆる英文の5?8割が聞き取れるようになる。
  • 練習は、「速く」よりも「弱く」に意識を集中しておこなうといい。
  • 次々と新しい英文に取り組んでもだめ。(絶対に上達しません!!)  1つの英文で「弱←→強」が完全に再現できるまで徹底してやりましょう。  今日の題材なら、「カラオケのレパートリー」と言えるぐらいまで練習!

今回は歌のメロディに助けられて、会話よりも練習がしやすくなっています。ぜ ひ、これをきっかけに、英語の「弱←→強」のリズムをつかみ、たくさん・たく さんの英文を、あなたも聞き取れるようになってください!

今回は歌のメロディに助けられて、会話よりも練習がしやすくなっています。ぜ ひ、これをきっかけに、英語の「弱←→強」のリズムをつかみ、たくさん・たく さんの英文を、あなたも聞き取れるようになってください!

【おまけ】 歌詞の解釈

  • I made it through the wilderness
  • (荒れ野を通り抜けることができた)
  • Somehow I made it through
  • (どうやって抜けられたんだろう)
  • Didn't know how lost I was
  • (どんなに深く道に迷っていたか分からない)
  • Until I found you
  • (あなたに出会うまで)

wilderness は、西部の荒野や、中東の荒涼とした土地のイメージ。ここは、もちろん比喩ですね。「私の人生のなかの荒れ野の時期」というような意味。

made it through は、ここでは、たんに地理的に「抜け出た」だけでなく、「生 きて抜け出ることができた」という意味合いが入ってきています。

  • I was beat, incomplete
  • (それまでひどい目に遭ってきた)
  • I'd been had, I was sad and blue
  • (だまされたるばかりで悲しかった私)
  • But you made me feel
  • (でも、あなたがこういう気持ちにしてくれた)
  • Yeah, you made me feel
  • (そう、あなたがしてくれた)
  • Shiny and new
  • (ぴかぴかの、新品の気分に!)
  • Like a virgin
  • (処女のように)
  • Touched for the very first time
  • (初めて体に触れられる…)
  • Like a virgin
  • (処女のような気分に)
  • When your heart beats
  • (あなたの鼓動が…)
  • Next to mine
  • (私のそばにあれば)

こうやって見ると、「♪ライク・ア・ヴァージン」ってすごく純粋な感じのラブ ソングですよね(^-^)。