太宰治作品のコトバ2006 …… 夏 |
| 2006年8月31日(木) [作品]斜陽 [初出]『新潮』昭22年7〜10月号
革命は、いつたい、どこで行はれてゐるのでせう。すくなくとも、私たちの身のまはりに於いては、古い道徳はやつぱりそのまま、みぢんも変らず、私たちの行く手をさへぎつてゐます。海の表面の波は何やら騒いでゐても、その底の海水は、革命どころか、みじろぎもせず、狸寝入りで寝そべつてゐるんですもの。
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| 2006年8月24日(木) [作品]東京八景 [初出]『文学界』昭16年1月号
人は、いつも、かう考へたり、さう思つたりして行路を選んでゐるものでは無いからでもあらう。
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| 2006年8月17日(木) [作品]HUMAN LOST [初出]『新潮』昭12年4月号
妻は、職業でない。妻は、事務でない。ただ、すがれよ、頼れよ。
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| 2006年8月10日(木) [作品]火の鳥
[初出]竹村書房刊・昭14年5月
逢つたばかりの、あかの他人の男女が、一切の警戒と含羞とポオズを飛び越え、ぼんやり話を交してゐる不思議な瞬間が、この世に、ある。
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| 2006年8月3日(木) [作品]東京八景 [初出]『文学界』昭16年1月号
僕は、こんな男だから出世も出来ないし、お金持にもならない。けれども、この家一つは何とかして守つて行くつもりだ。
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| 2006年7月27日(木) [作品]清貧譚 [初出]『新潮』昭16年1月号
人は、むやみに金を欲しがつてもいけないが、けれども、やたらに貧乏を誇るのも、いやみな事です。
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| 2006年7月20日(木) [作品]十五年間 [初出]『文化展望』昭21年4月号
つまり私は、津軽には文化なんてものは無く、したがつて、津軽人の私も少しも文化人では無かつたといふ事を発見してせいせいしたのである。
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| 2006年7月13日(木) [作品]正義と微笑 [初出]錦城出版社刊・昭17年6月
かれは、人を喜ばせるのが、何よりも好きであつた!
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| 2006年7月6日(木) [作品]新ハムレツト[初出]文芸春秋社刊・昭16年7月
自分が不義をはたらいてゐる時は、ひとの不義にも敏感だ。
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| 2006年6月29日(木) [作品]富嶽百景 [初出]『文体』昭14年2、3月号
三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みぢんもゆるがず、なんと言ふのか、金剛力草とでも言ひたいくらゐ、けなげにすつくと立つてゐたあの月見草は、よかつた。
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| 2006年6月22日(木) [作品]碧眼托鉢
[初出]『日本浪曼派』昭11年1月号〜3月号
いやになつてしまつた活動写真を、おしまひまで、見てゐる勇気。
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| 2006年6月15日(木) [作品]父
[初出]『人間』昭22年4月号
その義とは、義とは、ああやりきれない男性の、哀しい弱点に似てゐる。
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| 2006年6月8日(木) [作品]斜陽
[初出]『新潮』昭22年7〜10月号
憩へる帆は、例外なく汚い。
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| 2006年6月1日(木) [作品]津軽
[初出]小山書店刊・昭19年11月
元気で行かう。絶望するな。では、失敬。
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