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太宰治作品のコトバ

 2001 ……


 

2001年5月29日(火) [作品]津軽 [初出]小山書店刊・昭19年11月

    

   

津軽の旅行は、五、六月に限る。津軽では、梅、桃、桜、林檎、梨、すもも、一度にこの頃、花が咲くのである。

    

   

 

2001年5月24日(木) [作品]満願 [初出]『文筆』昭13年9月号

    

   

ふと顔をあげると、すぐ眼のまへの小道を、簡単服を着た清潔な姿が、さつさつと飛ぶやうにして歩いていつた。白いパラソルをくるくるつとまはした。

    

   

 

2001年5月19日(土) [作品]桜桃 [初出]『世界』昭23年5月号

    

   

もつたいぶつて、なかなか笑はぬといふのは、善い事であらうか。

    

   

 

2001年5月15日(火) [作品]父 [初出]『人間』昭22年4月号

    

   

父はどこかで、義のために遊んでゐる。

    

   

 

2001年5月10日(木) [作品]お伽草紙/カチカチ山 [初出]筑摩書房刊・昭20年10月

    

   

あそこの家へ行くのは、どうも大儀だ、窮屈だ、と思ひながら渋々出かけて行く時には、案外その家で君たちの来訪をしんから喜んでゐるものである。それに反して、ああ、あの家はなんて気持のよい家だらう、ほとんどわが家同然だ、いや、わが家以上に居心地がよい、我輩の唯一の憩ひの巣だ、なんともあの家へ行くのは楽しみだ、などといい気分で出かける家に於いては、諸君は、まづたいてい迷惑がられ、きたながられ、恐怖せられ、襖の陰に帚など立てられてゐるものである。

    

   

 

2001年5月5日(土) [作品]葉 [初出]『鷭』昭9年4月号

    

   

外はみぞれ、何を笑ふやレニン像。

    

   

 

2001年5月1日(火) [作品]女生徒 [初出]『文学界』昭14年4月号

    

   

けさから五月、さう思ふと、なんだか少し浮き浮きして来た。やつぱり嬉しい。もう夏も近いと思ふ。

    

   

 

2001年4月26日(木) [作品]富嶽百景 [初出]『文体』昭14年2、3月号

    

   

娘さんを、ちらと見た。きめた。多少の困難があつても、このひとと結婚したいものだと思つた。

    

   

 

2001年4月21日(土) [作品]斜陽 [初出]『新潮』昭22年7〜10月号

    

   

とにかくね、生きてゐるのだからね、インチキをやつてゐるに違ひないのさ。

    

   

 

2001年4月17日(火) [作品]春の盗賊[初出]『文芸日本』昭15年1月号

    

   

けれども今は、どんな人にでも、一対一だ。

    

   

 

2001年4月12日(木) [作品]お伽草紙/舌切雀[初出]筑摩書房刊・昭20年10月

    

   

しかし、世捨人だつて、お金が少しでもあるから、世を捨てられるので、一文無しのその日暮しだつたら、世を捨てようと思つたつて、世の中のはうから追ひかけて来て、とても捨て切れるものでない。

    

   

 

2001年4月7日(土) [作品]右大臣実朝 [初出]錦城出版社刊・昭18年9月

    

   

アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。

    

   

 

2001年4月3日(火) [作品]新ハムレツト [初出]文芸春秋社刊・昭16年7月

    

   

なんといふ、まづい事ばかりおつしやるのでせう。あなたも、そろそろ子供の父になるのですよ。

    

   

 

2001年3月29日(木) [作品]津軽 [初出]小山書店刊・昭19年11月

    

   

兄弟の間では、どの程度に礼儀を保ち、またどれくらゐ打ち解けて無遠慮にしたらいいものか、私にはまだよくわかつてゐない。

    

   

 

2001年3月24日(土) [作品]女生徒 [初出]『文学界』昭14年4月号

    

   

美しい夕空を、ながいこと見つめたから、こんなにいい目になつたのかしら。

    

   

 

2001年3月20日(火) [作品]人間失格[初出]『展望』昭23年6〜8月号

    

   

他人の家の門は、自分にとつて、あの神曲の地獄の門以上に薄気味わるく、その門の奥には、おそろしい龍みたいな生臭(なまぐさ)い奇獣がうごめいてゐる気配を、誇張でなしに、実感せられてゐたのです。

    

   

 

2001年3月15日(木) [作品]東京八景 [初出]『文学界』昭16年1月号

    

   

多くの場合、人はいつのまにか、ちがふ野原を歩いてゐる。

    

   

 

2001年3月10日(土) [作品]新釈諸国噺/貧の意地 [初出]『文芸世紀』昭19年9月号

    

   

気の弱い男といふものは、少しでも自分の得になる事に於いては、極度に恐縮し汗を流してまごつくものだが、自分の損になる場合は、人が変つたやうに偉さうな理屈を並べ、いよいよ自分に損が来るやうに努力し、人の言は一切容れず、ただ、ひたすら屁理屈を並べてねばるものである。

    

   

 

2001年3月6日(火)[作品]道化の華[初出]『日本浪曼派』昭10年5月号

    

   

告白するのにも言葉を飾る。

    

   

 

2001年3月1日(木) [作品]富嶽百景 [初出]『文体』昭14年2、3月号

    

   

井伏氏は、濃い霧の底、岩に腰をおろし、ゆつくり煙草を吸ひながら、放屁なされた。いかにも、つまらなさうであつた。

    

   

 

2001年2月24日(土) [作品]斜陽 [初出]『新潮』昭22年7〜10月号

    

   

人間は、嘘をつく時には、必ず、まじめな顔をしてゐるものである。

    

   

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