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 きのう読んだ本

201‐210-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
 

2008.6.23
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210 齋藤孝『あなたの隣の〈モンスター〉』

を、6月22日23時10分、自宅で読了しました(2008年5月10日NHK生活人新書・693円)。

社会全体がモンスター化(キレる大人)していることについて、著者はそれを大人が幼児化(規範意識の縮小)しているためだという。この本にはいつものような切れ味のよさはないが、たとえば学校に、ホテルマンOBや校長OBによる「モンスター処理班」を設け、親の相談はそうした「老賢者」に任せて、先生は本来の仕事に集中するべきだといった提案には興味を覚えた。

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2008.6.15
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209 山本有三『路傍の石』

を、6月14日11時30分、山手線の車中で読了しました(1980年5月25日新潮文庫・940円)。

昭和15年の作品。没落した武士の子で、家は貧しい主人公の吾一少年が、刻苦勉励して明治の世を渡っていく姿が描かれている。読む者が共感できるとすれば、いいことをすれば報われるという宗教的な感性と、どこまでも上昇できるという明治期の感性に、感応できるかどうかによるような気がする。こうした感性はまだ、現在も生きているのだろうか。

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2008.6.2
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208 ロルフ・デーゲン『フロイト先生のウソ』

を、6月1日21時30分、自宅で読了しました(赤根洋子訳、2003年1月10日文春文庫・740円)。

心理学によって流布されている、人間心理に関する説のほとんどが、根拠のない「ウソ」だと指摘した本。たとえば、「人格の形成には教育が決定的な影響を及ぼす」「親の態度が子供の性格を決定する」「ストレスを受けると免疫力が低下する」といった説をとりあげ、根拠のない「ウソ」だと否定している。面白く読んだが、実感的には納得できない思いが残った。「ウソ」だとする根拠を、著者は実証的データによって否定されていることに求めているが、実証的データだけで説得できると考えるのも、一つの「ウソ」ではないか。納得するためには、実証的データと同時に、そのことを説明するための論理が必要ではないかと思う。

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2008.5.16
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207 川上弘美『おめでとう』

を、5月15日22時20分、自宅で読了しました(2007年12月10日文春文庫・420円)。

12の短編を集めたもの。「冷たいのがすき」という作品で、不倫関係にある男女を「公式でない恋愛」と呼んでいるように、どの作品にも人と人とが、公式の「夫婦」とか、公式の「恋人」とか、公式の「友人」とか呼べない関係として、つながりあっている姿が描かれている。そのことはしかし、「夫婦」とは何か、「恋人」とは何か、「友人」とは何かという、メッセージを発しているわけではない。静かな関係として、静かに描かれているだけだ。そんな作品を、静かに味わいながら読んだ。

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2008.5.6
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206 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』

を、5月4日23時40分、自宅で読了しました(高橋義孝訳、1951年1月28日新潮文庫・420円)。

人妻のロッテを恋するウェルテルの、自殺するまでの話を書簡体で書いた作品。ウェルテルはひとたび、ロッテから離れて仕事につくが、そこで不満や退屈を感じて再びロッテの近くに戻ってきてしまう。そうしたウェルテルの行動パターン(「放浪者」「巡礼者」と自分で言っているが)が、ウェルテルを自殺にまで追い詰めているような気がする。「現在」という場所から見ると、それほど感動的な作品とは感じられない。

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2008.4.18
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205 舟橋聖一『ある女の遠景』

を、4月16日23時30分、自宅で読了しました(『日本文学全集30 舟橋聖一』所収、1968年11月25日河出書房新社刊)。

男を求めずにはいられない女・維子と、女を求めずにはいられない男・泉中の、どこまでもぬかるみが続くような関係の物語。この作品のように、女と男の関係を、性的な面だけから拡大されると、現実感が希薄になって、お伽噺のような気がしてくるから不思議だ。

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2008.4.8
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204 山口真美『視覚世界の謎に迫る』

を、4月7日22時50分、自宅で読了しました(2005年11月20日ブルーバックス・861円)。

「見え」の世界を、赤ちゃんの出生から時系列に解明しようとした本。著者は「見る」ことについて、「意識することのない見え」と「見えたことがはっきりと意識できる見え」の二つの機能があって、「意識しない見え」→「意識できる見え」という順で生成されると述べている。面白く読んだが、「意識しない見え」について「意識しない」とはどういうことか、「意識できる見え」について「意識できる」とはどういうことか、といったことの説明がないため、隔靴掻痒の感が否定できなかった。

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2008.3.28
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203 山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』

を、3月26日22時30分、自宅で読了しました(2004年11月30日河出書房新社刊・1050円)。

美術の専門学校の学生と、その学校の講師で、二十歳年上の人妻との恋の物語。相手の女性の、贅肉のついた下腹やカサカサした唇、化粧気のない顔、ぼさぼさの髪など、皮膚感覚による印象ばかりが強く、二人の出会いと別れの必然性が、少しも感じられなかった。感じられないことが、「現在」なのだろうか。

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2008.3.17
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202 吉本隆明『日本語のゆくえ』

を、3月15日15時40分、常磐線の車中で読了しました(2008年1月30日光文社刊・1575円)。

『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』の「現在」と、若い詩人たちの詩について語った本。若い詩人たちについて、著者は、「過去」も「未来」もなく、また「現在」も塗りつぶされたような「無」としてしかない、と述べている。そして、「自然」に対する感受性がなくなってしまっていて、どこにも脱出口がない、とも。著者が語るように、そのことは「新しい時代」なのか、「何かの兆候」なのか、若い詩人たちだけの問題ではないような気がする。

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2008.3.2
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201 司馬遼太郎『北のまほろば(ワイド版)』

を、3月1日22時30分、自宅で読了しました(2005年6月30日朝日新聞社刊・1365円)。

「街道をゆく」シリーズの一冊。津軽と下北を旅しながら、土地の歴史や文化について語った本。話題が拡散しているためか、土地の魅力が感じられず、語られている場所にぜひ行ってみたいという気分にはなれなかった。

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