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 きのう読んだ本

211‐220-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
 

2008.10.3
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220 安岡章太郎『ガラスの靴・悪い仲間』

を、10月2日23時20分、自宅で読了しました(1989年8月10日講談社文芸文庫・1155円)。

「ガラスの靴」「悪い仲間」「陰気な愉しみ」など、昭和20年代の初期作品13編を収録。脊椎カリエスで寝たきりのとき、書かれたものだという。戦争と占領が影を落としている現実に対して、主人公は違和感をいだき、壊れやすい内面を抱え込んでいる。主人公のぎごちない振舞いがユーモラスなのは、そんな病的な世界を、著者が突き放して描いているからではないかと感じさせる。

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2008.9.20
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219 藤原智美『暴走老人!』

を、9月19日21時30分、自宅で読了しました(2007年8月30日文芸春秋刊・1050円)。

刑法犯で検挙される高齢者が急増しているという。暴力や周囲とトラブルを起こす老人について、著者は、「時間」(待つこと)、「空間」(個室化)、「感情」(丁寧化)の急激な変化に適応できない結果として、そうした暴走が生じていると述べている。普遍的な「老人問題」にまで、手が届いているような気がする。

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2008.9.15
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218 江副浩正『不動産は値下がりする!』

を、9月13日20時00分、山手線の車中で読了しました(2007年8月10日中公新書ラクレ・777円)。

土地の埋め立てや建物の高層化によって、土地の価格が下がる地域もあれば、都心や都市の中心部への人口流入によって、土地の価格が上がる地域もあるというようなことが記述されている。著者の視点が、不動産業者なのか生活者なのか政治的支配者なのか、どこに置かれているのかがまったく不明であるため、輪郭のぼやけたイメージしか受けとることができない。著者自身が求めている、小ぎれいな街の貧寒なイメージが、語られているだけではないかと思えてくる。

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2008.9.10
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217 辻井喬・上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』

を、9月9日23時20分、自宅で読了しました(2008年5月20日文春新書・945円)。

セゾングループの創設から崩壊までを、詩人・作家としての辻井喬(現在の自分)が、グループの代表だった堤清二(過去の自分)を遠くから見ているという位置から語っている。現在の自分(辻井喬)が、過去の自分(堤清二)を遠くに見ているためか、余裕は感じられるが、リアリティ感が希薄になっているような気がする。

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2008.8.30
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216 大江健三郎『取り替え子(チェンジリング)』

を、8月29日20時30分、自宅で読了しました(2000年12月5日講談社刊・1995円)。

義兄の映画監督(伊丹十三がモデル)の自殺について、主人公の作家(作者がモデル)が、映画監督と出会った松山での高校時代の出来事まで遡行して、その死の謎を解こうとする物語。死と再生の図式と、作者の自己肯定が強く感じられ、窮屈な思いだけが残った。

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2008.8.10
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215 ロルフ・デーゲン『オルガスムスのウソ』

を、8月9日10時50分、つくばエクスプレスの車中で読了しました(赤根洋子訳、2006年6月10日文春文庫・720円)。

著者はこの本で、「女性はなぜオルガスムスに達しにくいのか?」「男の方が早くイクのはなぜか?」「そもそも、なぜ女性にオルガスムスが存在するのか?」といった問いを発し、過去数十年の研究結果から、さまざまな説を紹介している。答えは必ずしも明らかになっていないが、興味津々たるものがあった。女性の三分の一が性的無関心を訴えているのに対し、男の多くが性的関心を示すと書いてあるような理由から、かもしれない。

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2008.7.24
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214 糸井重里編集『吉本隆明の声と言葉。』

を、7月23日23時10分、自宅で読了しました(2008年7月20日東京糸井重里事務所刊・1500円)。

吉本隆明の講演の録音から、糸井重里が抜き出して構成したCD(74分)と本。本には吉本家の居間で語りあった、吉本氏と糸井氏の話が収録されている。その中で吉本氏は、「人間らしさ」というのは、文章がうまかったり、話が巧みで要領を得ているというようなことではなく、自分が自分に語りかける「沈黙」(言葉の幹)で決まる、と。また、末期ガンの姪に、この事態はどういうことで、どう考えたらいいのかと聞かれたが、何も答えられなかったことを、自分の考えはダメでウソだと感じ、今でも答えるべき課題として引っかかっている、と話している。心に響いた。

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2008.7.20
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213 佐々木高明『照葉樹林文化とは何か』

を、7月19日20時50分、自宅で読了しました(2007年11月25日中公新書・1029円)。

ネパール・ブータンから西南日本にまで分布している照葉樹林帯に、共通する衣食住や文化があることを論じた本。その文化的特色については、「焼畑を機軸とする山や森の民の生活」に収斂する構造を示しているという。植生が同じことが、文化の共通性を支えているのか、支えているとすればどのようにか、といった疑問は最後まで残った。

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2008.7.13
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212 加藤仁『定年後の8万時間に挑む』

を、7月12日19時40分、山手線の車中で読了しました(2008年1月20日文春新書・840円)。

団塊世代約四十人の、定年退職(早期退職)後の生活について、取材した本。掲げられている成功例の全部ではないが、多くが一流企業などで活躍した人で、「退職前」の生き方が「退職後」の生き方をも、左右しているのではないかと思えてくる。そこのところを書いてほしかった。

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2008.6.27
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211 朝日新聞取材班『分裂にっぽん・中流層はどこへ』

を、6月26日22時50分、自宅で読了しました(2007年9月30日朝日新聞社刊・1470円)。

階層や地域による格差の現状を取材したものだが、取材が個別の事例に限定されていて、格差社会の全体像が見えてこない。それでも、かつて、高度経済成長期の「一億総中流」によって、階級分化(資本家と労働者)にもとづいた社会観の修正を迫られたように、いままた、中流層の崩壊による階層分化によって、社会観の修正を迫られていると感じさせてくれる。アメリカで急増しているという、自分たちしか入れない、警備員がいて壁で囲まれた街(ゲーテッドコミュニティー)というのを知って、不気味な感じがして仕方なかった。

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