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 きのう読んだ本

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2010.2.19
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270 芦崎治『ネトゲ廃人』

を、2月18日23時00分、自宅で読了しました(2009年5月25日リーダーズノート刊・1365円)。

ネットゲームにのめり込んでいる(いた)ゲーマー十数人に、インタビュー取材したノンフィクション。ネットゲームと呼ばれる「もう一つの世界」に入ると、そこにはもう一人の自分がいて、もう一つの生活があるというが、そこに長時間いると、現実との葛藤能力を喪失して、現実世界に戻ることができなくなるらしい。小説や映画も「もう一つの世界」だが、そこでは自分のいる「現実の世界」と「もう一つの世界」がいつも、二重性として意識されている。しかし、ネットゲームの場合はそこに入り込んだ人を、現実の世界から切り離して、「もう一つの世界」の中にまるごと取り込んでしまう。ネットゲームの中では、現実の自分と仮想の自分(「キャラクター」というらしい)が一体化し、さらに仮想の自分と仮想の他人との距離がなくなって、生理的な手応えを感じるようになるため、現実以上にリアルな感覚を抱くようになるのではないだろうか。その感覚のまま現実に戻ってきても、適応できずに様々なトラブルを起こす。この本はそうした怖さを伝えているとともに、背後に家族の問題が潜んでいることを示唆している。

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2010.2.16
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269 大野晋『日本語の起源』

を、2月13日22時10分、自宅で読了しました(1994年6月20日岩波新書・819円)。

日本語の成立過程について、著者は次のように述べている。日本の地にはもともと、原始日本語としてポリネシア語族の言語があり、そこに縄文時代の晩期後半に南インドのタミル語が入ってきて、そのとき成立した言語がヤマトコトバを作った。その後、四、五世紀に中国の漢字を万葉仮名として応用し、九世紀に仮名文字という文字体系を作り上げた。そして、ヤマトコトバとタミル語が同系であることを、著者はさまざまな事例を挙げて説明しているが、そのことの当否とは別に、日本語の系統を明らかにすることができれば、日本人の物の見方、考え方の基本を知ることができるのではないか、と書いていることに関心をもった(たとえば、漢語の「義理」「人情」「浄土」「地獄」というような言葉は、日本人の精神の支点になっているという)。その意味でも、原始日本語とはどういうものだったのかを知りたいと思う。

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2010.2.15
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268 宮台真司『日本の難点』

を、2月12日22時20分、自宅で読了しました(2009年4月15日幻冬舎新書・840円)。

現在の日本が直面している問題(人間関係、教育、幸福、アメリカ、日本)について、論じた本。「本当にスゴイ奴に利己的な輩はいない。」(280ページ)といった言葉が、テーマの議論とコミになって、この本の論述を支えているようにみえる。ただ、「文学的な印象を与えるはず」(あとがき)という著者の意図が、そのことによって実現しているとは感じられなかった。

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2010.2.3
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267 有島武郎『カインの末裔』

を、2月2日20時20分、自宅で読了しました(1969年4月30日角川文庫)。

「自然から今切り取ったばかりのような男」(102ページ)である、主人公の広岡仁右衛門は、松川農場の小作人になるが、その環境になじむことができず、馬と赤坊を失って、再び自然に戻っていく。主人公の孤独感と悲しみは伝わってくる。大正6年の作品。

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2010.2.1
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266 岡田尊司『アスペルガー症候群』

を、1月31日00時20分、自宅で読了しました(2009年9月30日幻冬舎新書・840円)。

激増しているというアスペルガー症候群の、症状、診断、原因、接し方などについて述べた本。アスペルガー症候群では、「自分の気持ちや欲求しか見えなくなりがち」(145ページ)で、自分以外の社会や他人のことが目に入らず、社会的な適応に問題を抱えているという。アスペルガー症候群が増えているのは、「今日の社会が、アスペルガー的な人が繁栄しやすい環境になっている」(119ページ)ためだというが、そうだとすれば、現在の社会自体が病んでいるということになる。アスペルガー症候群のプラスとなる特性を強調した後に、治療について語っていることには違和感を覚えた。

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2010.1.22
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265 山川健一『太宰治の女たち』

を、1月21日23時30分、自宅で読了しました(2009年11月29日幻冬舎新書・840円)。

太宰治と五人の女(田部あつみ、小山初代、津島美知子、太田静子、山崎富栄)について、著者は、太宰の作品と現実の太宰や五人の女との間を、自在に行き来するように語っている。著者は意識的に、作品の中の人物と現実の人物(太宰や五人の女)を区別しない形で語っているが、そのことがどれだけ太宰と五人の女の実像に近づけたかは疑問だ。

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2010.1.14
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264 桜井章一『負けない技術』

を、1月13日21時50分、自宅で読了しました(2009年9月20日講談社+α新書・880円)。

20年間無敗の雀鬼の本。「勝ち」を求めるのではなく、「負けない」ことを求めるべきだと、著者は語っている。「勝ち」というのは、「勝ちたいという欲」の「満足」を求めることだが、「負けない」とは自分自身に「納得」を求める行為だと言う。確かに、「満足」は物理的な欲望としか結びつかないが、「納得」は自己の可能性を広げる知的な作業だといえる。この本にはそのほかにも、得意なことを伸ばしても不得意が改善することはないが、不得意を克服すると得意なことも伸びるとか、専門家は得意技で勝とうとするが、本当のプロフェッショナルは何が来ても負けない人のことだといった、興味深い話がちりばめられている。共感しながら、面白く読んだ。

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2010.1.3
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263 桜井章一『人を見抜く技術』

を、1月1日23時30分、自宅で読了しました(2009年1月20日講談社+α新書・880円)。

裏麻雀の世界で、20年間無敗だったという著者は、この本で、人間を洞察するための観察力を、どのように磨いていけばいいのかを語っている。たとえば、固定観念に囚われていると、心が固まってしまうので、無駄な力が身体(両手の親指など)に入ってしまう。酒に酔う人は、普段から酒以外の何かに、酔っていることが多い。一方的にしゃべる人は、周囲の人に認めてもらえない経験が重なっており、無口な人は人間の怖さ、言葉の怖さを味わってきているなど、その観察力には確かさを感じさせる。また、趣味はある種の「逃げ場」だから、「趣味がなくてよかった」とつくづく感じたと語る著者のことばに、思わずうなずいてしまった。

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2009.12.28
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262 湯浅誠『反貧困』

を、12月27日16時10分、自宅で読了しました(2008年4月22日岩波新書・777円)。

著者はこの本で、貧困に至る背景には「五重の排除」があると指摘している。「教育課程からの排除」「企業福祉からの排除」「家族福祉からの排除」「公的福祉からの排除」の四つの排除を受けた結果として、五つ目に「自分自身からの排除」があると述べている。そして、この「自分自身からの排除」が、「貧困問題を理解する上で、一番厄介で、重要なポイントである」(62ページ)と書いている。「自分自身からの排除」とは、何のために生き、何のために働くのか、そしてそこにどんな意義があるのか、といったことが見えなくなってしまう状態のことで、言い換えると、希望・願望を破棄することで、生きることが可能となる状態のことだという。貧困の問題に対して、誰にでも共通する内面の問題(「人間関係の貧困」130ページ)から、接近する通路を与えられたといえる。

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2009.12.25
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261 細野真宏『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?

を、12月23日11時40分、自宅で読了しました(2009年3月1日扶桑社新書・735円)。

「年金問題」について、これほど分かりやすい解説を読んだことはなかったような気がする。この本で著者は最初に、論理的思考(著者のいう「数学的思考力」)によって、「情報の本質を見抜く思考力」を身につける方法を示し、次にその「数学的思考力」によって、現在の「世界不況」と「年金問題」を解いていく。その結果、年金問題について、保険料の未納者が増えても、現在の制度は破綻しないし、他の人にしわ寄せがくることもないと断じている。著者の「数学的思考力」が、分かりやすさと説得力を獲得しているように思える。

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