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 きのう読んだ本

271‐280-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
 

2010.5.5
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280 太田治子『明るい方へ-父・太宰治と母・太田静子』

を、5月4日19時20分、自宅で読了しました(2009年9月30日朝日新聞出版刊・1575円)。

父(太宰治)と母(太田静子)に対する、アンビバレンスな愛憎の感情から描き出された太宰像だが、著者の揺れ動く感情だけは分かるような気がする。

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2010.4.27
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279 レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』

を、4月26日23時20分、自宅で読了しました(村上春樹訳、2007年3月10日早川書房刊・2000円)。

込み入った問題や悪意を抱えた人物が登場し、アルコールと暴力に満ちた世界が描かれているが、作品からはなぜか、騒音や銃声や叫び声が聞こえてこない。どこまでも静かな作品である。主人公の私立探偵マーロウは、「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ。」(512ページ)と考える。人や世界に「さよなら」を言って、「少しだけ死ぬ」と、世界は少しだけ遠ざかるのかもしれない。音が しないのはそのためだろうか。

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2010.4.21
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278 内田樹『日本辺境論』

を、4月20日21時40分、自宅で読了しました(2009年11月20日新潮新書・777円)。

著者はこの本で、日本人が外部にある絶対的価値との距離意識に基づいて、思考と行動を決定している人間であることを指して、「辺境人」と呼んでいる。そして、日本の辺境性を形作っているのは、代名詞の選択によって書き手と読み手の関係が設定されるような、日本語という言語そのものだと述べている。そのような心性は日本列島の住民が、古代から形成してきたもので、こんな国は歴史上も類例がないから、とことん辺境で行こうではないかと提案している。また、シェークスピアやチェーホフの作品は、人間や世界を主題として考究したもので、イギリスやロシアに固有の国民性格を解明するために書いたものではない。しかし、司馬遼太郎や吉本隆明など、日本人が考究の対象にするのはいつも日本人のことで、よその国の人にとっては「ひとごと」でしかないと語っている。実感として、納得のいく指摘のような気がする。

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2010.4.7
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277 池谷裕二『進化しすぎた脳』

を、4月6日22時20分、自宅で読了しました(2007年1月20日ブルーバックス・1050円)。

8人の中高生を相手に行った、脳科学に関する講義の記録。この本によると、意識とか心は言葉によって生まれた抽象物で、その意識とか心は共通のルールを見つけだすこと(汎化)の手助けをしている。そして、共通のルールを知れば、新しい環境になっても応用が利くので、適応力が高くなるという(195〜7ページ)。こう語られているが、言葉と心と脳の関係は明らかにされず、全体に神経細胞の細部の解説が続いていて、脳や心のことが分かったという気分には到底なれなかった。

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2010.3.24
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276 レイモンド・チャンドラー『プレイバック』

を、3月23日15時50分、つくばエクスプレスの車中で読了しました(清水俊二訳、1977年8月15日ハヤカワ・ミステリ文庫・714円)。

主人公の私立探偵マーロウは女性について、自分のすべてを惜し気もなくさらけ出す女と、いつも自分を意識していて、わずかでも自分を隠そうとする女がいると考える。「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」というマーロウの名台詞は、自分を意識していて自分を隠そうとする人の言葉のように思える。自分の強さを隠すために、やさしくなければならないのだ、と。

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2010.3.23
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275 有島武郎『或る女』

を、3月22日01時30分、自宅で読了しました(1995年5月15日新潮文庫・700円)。

「満足しても満足しても満足し切らない自分の心の不足」を感じている、主人公の葉子はその「渇欲」を、野性的な男である船の事務長倉地との肉体的な関係によって満たそうとする。しかし、葉子は倉地が、自分を遠ざけようとしているのではないかという猜疑心に捉えられ、嫉妬と憎悪を抱くようになって自滅していく。主人公の葉子が、この作品の中で流す涙は大量だが、「自分の心の不足」を満たしたいということから出た涙であるためか、葉子という存在に魅力を感じることはできなかった。1919年(大正8年)の作品。

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2010.3.20
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274 細野真宏『数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』

を、3月19日14時20分、喫茶店Kで読了しました(2008年9月6日小学館刊・1260円)。

「数学的思考力」というのは、数学だけではなく、経済、国語、社会問題など、あらゆることを考えるのに必要なものだと、著者は述べている。「数学的思考力」とは、「AならばB」、「BならばC」、「CならばD」、よって「AならばD」という論理を、一つ一つ整理して考えることができることで、その考えを人に分かりやすく説明できることが必要だという。「数学的思考力」に対する、著者の説明が分かりやすいことが、この本を説得力のあるものにしている。

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2010.3.7
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273 茂木俊彦『障害児教育を考える』

を、3月6日23時40分、自宅で読了しました(2007年12月20日岩波新書・735円)。

LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症・アスペルガー障害の子どもは、小中学校の通常学級に約6.3%、68万人在籍すると推定されている(2003年)という。そして、その子どもたちには、「自己肯定感の育ちそびれ」の傾向が見られるという。著者は「発達」という視点から、子どもを見ることの重要性を指摘した上で、「発達」のピークは誰にでもあるが、既得の諸能力を経験などによって、豊富化、確実化することに限界はないと述べている。完全な「発達」というものがありえない以上、「発達」に限りがないという考えは、誰にでも共通する課題になりうると感じた。

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2010.3.2
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272 村瀬学『「あなた」の哲学』

を、2月28日16時00分、自宅で読了しました(2010年1月20日講談社現代新書・777円)。

日本語の「あなた」が英語の「you」なら、「あなた」は「二人称」ということになるが、著者は「あなた」という言葉を、「話しかける相手を指す」(二人称)ということだけではない、不思議な性質をもつものだという。目の前にいない人を身近に感じて、「あなた」と呼びかけるように、「あなた」という言葉は「個」を超えた、「世代人称」ではないかと述べている。英語の「二人称」は「you」ひとつで、隣人から上司、大統領までその一語で済んでしまうが、日本語の「二人称」と呼ばれる言葉は13もあるという。日本語の人称が、人称がもっている「『話し手』『話しかける相手』『それ以外の人や物』を指す」ということ以外の、不思議さをもっていることは確かだ。著者はこの本で、「あなた」という言葉が「人称」を超えた、広がりを持つ言葉であることを明らかにしている。面白く読んだ。

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2010.2.28
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271 新井康允『ここまでわかった! 女の脳・男の脳』

を、2月27日23時50分、自宅で読了しました(1994年2月20日ブルーバックス)。

男が空間認知能力に優れ、女が言語能力に優れているのは、遺伝的に決まっていることではなく、胎児の脳がアンドロゲン(男性ホルモン)にさらされたかどうかによって決まるということを明らかにしている。そのことがまた、男の子の遊び方と、女の子の遊び方のパターンに反映しているという。男と女の脳の、形態的な違いと能力の違いを、胎児期のホルモン環境にゆだねていることには、ヒトとしてどんな理由があるからだろうか。

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