太宰治論を読む - 磯田光一著2004年6月4日
『太宰治研究1/その文学』筑摩書房1978年6月15日所収 初出は1969年7月。奇跡の起こりえない人生は余りにも淋しすぎるとして、磯田光一は次のように書いている。 「太宰は奇跡を信じたのではない。むしろ信じたかった(原文は傍点)といったほうがよい。『満願』や『走れメロス』のなかに、読者は人生の奇跡が最も美しく定着されているのを見いだすであろう。」 奇跡を信じたいのは読者の方で、太宰はそんな読者のために、奇跡を書いたのではないだろうか。私たちは太宰の作品に、奇跡を求めているのではないか、と思う。
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