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 埋草コラム

2001.6.20
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夢の始末/岩田幸吉
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朝方見た夢のこと。
私を含めて2,3人の人物がいて、
ある物語が語られる。
それが終わりかけたあたりで、
リーダー格の1人が切り出す。

ところで、
この話は鎌倉幕府成立の
歴史的事件の流れを思い出させるけど、
それじゃあこの物語に登場してきた
A,B,C,D,E等の人物は
それぞれ誰に対応するのか
分かりますかね。

リーダーはそう言って
私達の顔をしたり顔に眺めまわした。
そのとき一瞬、
私は教室の生徒になっていた。
さり気なく答えようとするのだが、
ダメだった。
もどかしさと焦りが同時にきた。
他の2、3人からも答えがないのが救いだった。
そんなことも分からないのか、
というリーダーの追及はなくて、
当然分かっているんだよね、
という格好で
その場面は落ち着いたように思う。

やれやれ助かったというより、
彼が途中で追及を取りやめたことが分かっていて、
いつまでも動揺が残った。
それから先どうなったのかは覚えていないが、
間もなく目がさめたのだと思う。

夢の話は妻によくするのだが、
これはしなかった。
曖昧で小さな誤魔化しは、
夢ばかりではなく
実生活でも毎度のことなので
いまさら恥じ入ることも
隠し立てすることもないのだが、
定年をまじかにして
こんな若気の至りのような夢の体験を
妻に話すのは気が引けた。

だが、
昼間職場に出て仕事についてからも
夢の印象は消え去らず
気持ちが落ち着かない。
誰かに話して、
聞いてもらったほうが
精神衛生上良いかと思い直した。

ついでに後日談も記す。
自分の職場の隣室が
図書室になっているので、
その日の午後、
私は小学館発行の
日本の歴史NO9を取り出してしまい、
ついつい職場の退け時まで
読み耽ってしまったことを告白する。 

 

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ハッピー・バースデー・ツー・ユー/北田信
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だいぶ昔の話だけれど、
家内の誕生日だかに、
普段あまり行かないような、
ちょっと高めのレストランに行ったことがある。
家内の妹さんがプレゼントしてくれたものだ。
夜景を眺めながら、
フランス料理にワインなんか飲んで、
すこしばかりリッチな気分に浸っていた。

そのうち遠くから、
ハッピー・バースデー・ツー・ユーの
歌声が聞こえてきた。
やっぱり、
誕生パーティなんかをやるのでなければ、
来れないところなんだと
ぼんやり考えていた。
ところがその歌声、
すこしづつ近付いてくるような気がした。
その日は誕生日の人が、
ずいぶんたくさんいるみたいなのだ。

でもすぐに分かった。
店員さんが数人、
歌いながらテーブルをめぐっているのだ。
いやな予感がしたが、
「きっと、たのんだ人のところにだけ来るんだよ」、
などと家内と話していた。

もちろんそんなことは、
気休めにすぎなかった。
コーラス隊はじりじりと、
だが確実に
こちらに向かって進んでいた。
こういう状況って、
正直言って、
心臓にはあまりよくないものですね。

やがて年長のおばさんが、
若いコーラス隊員を引き連れて
やってきた。
若い隊員はどちらかというと、
「職務として歌っています」という感じの、
抑制された歌い方だった。
隊長のおばさんはというと、
声量といい、歌い方といい、
もうほんとうに誕生日を、
精いっぱい祝福するという感じだった。

少しばかり居心地の悪い思いをしましたが、
それはそれで、
すごく心に残るバースデーになりました。
おばさんにはいつまでも、
元気に歌っていてほしいと思っています。

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