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 埋草コラム

2001.11.9
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礼文島の風呂
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北海道の礼文島に、
一度だけ行ったことがある。
学生のころだから、
だいぶ前のことだ。
夏だった。
海がしけていたので、
島へ渡る船は大揺れだった。
台風が近づいていたのだと思う。
乗客はみんな横になって、
船酔いに耐えていた。
島に着いたときは、
もうふらふらの状態だ。

計画もなにもない、
男3人の旅だったから、
島の民宿に飛び込みで泊まった。
夕飯の前に、
風呂に入ろうとして驚いた。
湯が白っぽく濁っていて、
どろどろした感じなのだ。
変な臭いもする。

一月ばかり雨が降らないので、
というのが宿の人の説明だった。
水道がないので
(いまはあるのかもしれませんが)、
風呂の湯を一月もとりかえていないらしい。

こんな風呂に入るのははじめてだった。
少しはためらったけれど、
汗をかいていたので、
思い切って入ることにした。
それでも、
入ってみるとそれなりにさっぱりするから、
不思議なものである。

翌日は海がおおしけで、
船は欠航した。
それで、
その湯にもう一度入ることになった。
もう平気だった。
何ともなかった。
このとき以来しばらくは、
湯の汚れなんか、
あまり気にならなくなった。

慣れるって恐ろしいものだと思う。
でも、
その湯に慣れなかったら、
もっと恐ろしいことになるのだとも思う。

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