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 埋草コラム

2003.8.22
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守ってあげたい
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『少年時代』は篠田正浩監督の映画も、
井上陽水の主題歌も好きだ。
少年時代の夏なんて、
ずいぶん昔のことですけれど、
案外よく憶えているのですね。
臨海学校のことです。

南房総の海沿いにある小さな町に、
身体の弱い(?)小学生が
各地から集まってきていた。
身体が弱いというのが、
参加の条件だったと思う。
私も前年に腸閉塞で入院などしていたから、
身体の弱い小学生という条件はクリアしていた。
それでもみんな、
けっこう元気そうに見えた。
私もそうだったけれど、
たいていは適当な理由をつけて、
遊びにきていただけかもしれない。

そんな中で一人だけ、
白皙の美少年といった感じの、
いかにも病弱そうな少年がいた。
たぶん私より、
一つか二つ年下だったと思う。
その少年のことがなぜか、
気になって仕方がなかった。
異性に対するのとは違う、
何ともいえない不思議な気持ちを
同性に感じたのは、
このときが最初でそして最後だった。

その後はずうっと、
女一筋できているのですけれど、
少年時代の心はこんな風に、
推し量るのがなかなか難しいものです。
困ったことに、
自分のことでも、です。
それでも、
記憶の隅っこに留まっているこの気持ち、
一体何だったのだろうと思うことがあります。

「親に守られているということ」から、
「誰かを守ってあげたいということ」へ脱皮すること、
つまり男としての性に目覚めることの
表れではなかったのかと、
いまでは考えています。
男としての、
親としての、
大人としての、
気持ちの原型を訪ねようとすると、
この夏の体験に行き着くような気がします。

小学生最後の夏はこうして、
同性の少年に心をときめかして終わったのでした。
♪私の心は夏模様。


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藤田哲也 藤子不二雄A 篠田正浩
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