「落語ネタの不思議なお話……・・坊主の遊び」

今は無くなってしまった郭のお話です。
落語の中で郭噺というジャンルがありまして、寄席だけではない噺家さんの仕事場に
「お座敷」がありまして、お酒の席ですからお客と芸者さんなどを相手に人情噺などを
やってもせん無いことですので、どうしても艶っぽい噺になります。「バレ噺」などという
寄席ではやれない噺ではなくとも、郭噺などは寄席でもおおいに受けたことと想像して
おります。
「土佐の高知のはりまや橋で坊さん簪買うを見た」などというフレーズにあるように
出家された坊さんにも女人は恋しいようで。
自分一人で郭に行く勇気も無いので、酒癖の悪い職人を連れて出かける。
職人は悪酔いをして酒席の雰囲気は悪くなってくる。すっかりしらけムードになって
仕方が無いので「お引け」ということに。
ところが、待てど暮らせど部屋には花魁がいっこうに来ない。
「五人回し」などという噺にあるように、必ずしも部屋に花魁が来るとは限らない。
料金を払っているのに、それはないだろうと思うのだけれど、そういうことも。
「真夫は引け過ぎ」などということでしてね、花魁が本当に惚れている男の出番は
深夜なのだろうか。
かの坊さん、床でぼやいているとね、へべれけに酔った花魁がやってきた。
何人もも客の相手をしてきたのだろうか、かなり疲れている様子でね、坊さんの要求
などは聞いてくれない。
酔いつぶれて寝てしまう。こうなると気持ちが収まらない坊さん。何とか仕返しをして
やろうと一計を案じた。
「髪をおろして坊主にしてやろう」というわけだ。
髪結いの職人から貰った剃刀を持っていたので、これを取り出してね、花魁の髪を
すっかり剃ってしまう。
ここのところが落語らしい部分ですね、いかに酔いつぶれていたとはいえ、全部の
髪を気づかれずに剃ることができるのだろうかという疑問は一般的でして…・
噺家さん達はそこに腕を見せているのだそうです。ことこまかにその仕草をする
噺家さんもいれば、さらりと落としてしまう噺家さんもあって様々ですね。
朝目覚めた花魁は隣に坊さんが寝ていないのに気がついて、思わず自分の頭を
なでると坊主頭でしょ。
「あらやだ、坊さんまだいるじゃないの……」でオチですが。
こんなオチはどうでしょうか。
花魁、朝目覚めて鏡を見ると髪の毛が無いことに気づく。
畜生、あの坊さんめがと思うが、後のまつりでね。このままじゃ恥ずかしいから
手ぬぐいで頬かむりして部屋を抜け出す。そこを若けぇ氏にみつかってね、
「坊さん。だめだよ簪忘れてっちゃ。…・」
(寝床には簪が置いてあったてなことで)