落語ネタの不思議なお話「だくだく」

 

三遊亭円窓師匠の紹介文から」引用いたします。噺の骨子は以下のようなものです。

高座で聞くことが少なくなった噺のひとつです。

 

 貧乏人の八五郎、長屋へ引っ越したはいいが、家財道具が何もない。
 そこで、絵描きの先生に頼んで、壁一面に張った紙の上に家具の絵を描いてもらって、

気分だけでもあるつもりになろう、と考えた。
 床の間、箪笥、金庫、長火鉢など、長年、欲しかった物を次々と注文。金庫はちょっと開いていて札

束がちらっと見えるようにだとか、鉄瓶がチンチン煮立って湯気を出しているところとか、

猫があくびをしているところとか、

長押(なげし)に先祖伝来の槍をとか、絵の注文も変なものが飛び出す。
 出来上がって、八五郎、すっかり新所帯にいるような気分になって床につく。
 その晩、泥棒が忍び込む。その泥棒はそそっかしくて、その上、少々近眼。

盗もうとして手に触れると、すべて絵に描いたものとわかって、びっくりするやら、

感心をするやら。
 家の主がそういうつもりなら、こちらも「つもり」でいこうと、仕事を始める。
「まず箪笥の引き出しを開けたつもり」と、声を出しながら絵に描いてある箪笥の

引き出しを開ける仕草をする。
「大きな風呂敷を取り出して十分に広げたつもり」

「箪笥の中から結城紬の小袖を一枚とったつもり」などと、

つぎつぎと品物を風呂敷に入れる仕草を繰り返す。
「十分に盗んだつもり」「この風呂敷包みをしばって、こう背負ったつもり」
 と、逃げ出そうとする。
 さっきから目を覚まして泥棒の様子を見ていた八五郎、そのまま見逃すわけにはいかない、

と跳ね起きる。
「長押(なげし)に掛けた槍をおっ取って、リュウリュウとしごいたつもり」と、

泥棒の真似をして、声を出しながら仕草をし始める。
 とどめとして、「泥棒を目がけて脾腹をブツーリと突いたつもり」
 と、泥棒が脾腹を押さえながら、「うーん、だくだくっと血が出たつもり」

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実に落語らしいといえば、まさに落語でしょう。

この噺を芝居仕立てにやっても少しも可笑しくないでしょう。

客は想像力を働かせて楽しまなければいけないので、相当に知的な活動となる。

想像力のない客は悲惨な結果となる。

従って、結構難しい落語ではないでしょうか。

客の想像力が低下してきつつある現代では、高座受けしない落語なのではないかと思います。

「儲からない噺」ということなのでしょうね。だから高座で聞く機会が少ないということになるのでしょう。

「頭山」などに代表される、このような話こそ、落語として残って欲しいものだと思います。



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