「権兵衛」という人物

権兵衛さんは典型的な田舎者として登場する。人里離れた山奥に住んでいて一人暮しだ。自給自足の生活で
心豊かに暮らしている。純朴な人である。時たま村の若い人が通りがガって寄っていくことがある。
人だけではなく動物も寄って来たりする。
「狸さん」だ。狸というのはいいイメージを人はもっている。性格がよく。ひょうきんでまぬけなキャラだ。
きつねとは大違いだ。
夜更けに権兵衛さんのところに狸がやってきた。戸を叩く。「権兵衛さん。コツコツ。権兵衛さん。コツコツ」
てな調子だ。どうやって戸を叩いているのだろうか。前足でノックできるわけでない。一説には、後ろ足で
立って戸に背中で寄りかかる。そして後頭部でコツコツとやるというのだ。
戸を叩いては逃げる。何回かこれを繰り返した。権兵衛さんは一計を案じた。狸が寄りかかってコツコツと
やろうとした瞬間、いきなり戸を開けた。当然、たぬきは中に転がり込む。戸を閉めた権兵衛さん。狸は
捕まってしまう。
「このやろう。いいかげんにしろ。悪狸めが。」
とうとうお縄の運命に。梁から吊り下げられる狸。翌朝、村の若い者がやってきた。吊り下げられている狸を
みて、早速、狸汁にして食べようと言い出す。気が気ではないのが狸。権兵衛さんがOKすれば一命の
終わりだ。
ところが権兵衛さんはやさしい性格で狸を助けてやるのだ。
この狸、後で権兵衛さんに恩返しにくる。狸は人間と違って受けた恩はかならず返す。
返さないと狸仲間をはじかれるということだ。
では狸は何をもってきたのだろうか。そうです。
ばっちょ笠をかぶって一升徳利を下げた、ご存知の姿でやってきた。
権兵衛さん、わずかながら田畑をもっている。畑に種を蒔くときには気をつけなければならない。
“権兵衛が種蒔きゃ、烏がほじくる”ということに……………………………・・。