落語ネタの不思議なお話「焙じ茶」

不思議な焙じ茶(ほうじちゃ)を幇間の一八が持っていましたようで。
若旦那がいわれを聞いてみるとね
「見たいものや会いたい人を念じながら、このお茶を焙じると、出てくる湯気の中に現れる」
というのですね。
アラジンの魔法のランプみたいな話です。
「反魂香」という落語にも似ております。線香の煙で亡くなった恋女房に会えるという噺ですよ。
一八は五両で売るというのだが若旦那には金が無い。
嘘か真か、ためしに一八にやらせてみると本当に出てきたのです。
若旦那は自分でやってみたくなります。
一八が所用で出て行った隙を見て、一八がやったようにやってみるのですね。
若旦那が会いたい、見たいといえば・・・・・・・・・・・・女性しかありませんよね。
そうでなくては若旦那らしくありませんもの。
明烏のような若旦那はめったにいない。
となると・・・・・・・・・吉原か柳橋というようなことになりますよ。
でね、若旦那、柳橋の芸者を呼び出すことにしました。
いつ、一八が戻ってくるか解らないので、気が気でない。あせりながらもやってみたところ
湯気の中から出てきたのは芸者ではなく、死んだ親父だったのです。
「この馬鹿息子めが、四十九日にも一周忌にも何もせんで、いい加減にしろ!親不孝者がぁ」
と怒鳴られた。
やがて一八が戻ってきたので、ことの次第を話します。
「じゃ若旦那のやったようにしてみてくださいな。」
若旦那はやり始めました。
「ははぁ。若旦那。わかりましたよ。あわてていたんで、焙じ(法事)が足りなかったんだ。」