「落語ネタの不思議なお話………・火焔太鼓」

お人好しで女房からは馬鹿にされている道具屋の主人。店の商売はうまくいかない。

変な物を仕入れては女房に叱られる毎日。

なにしろ、「頼朝の幼少の頃のシャレコウベ」などを仕入れるくらいなのだ。

そんなある日、埃だらけの古びた太鼓を二分で仕入れてくる。品物の値打ちを知って

仕入れた訳ではなく仲間から押し付けられただけのものだ。

実はこの太鼓は「火焔太鼓」といって大変な名器なのだ。

ある日の事、これが大名の目に止まった。というより音が耳に止まったということに。

さすがは大名、すぐに本物と解かって屋敷に持参せよということになった。

こんな汚い太鼓をお屋敷に持っていったら無礼打ちになるよなどと、女房に脅されながら屋敷に向かう。二分で仕入れたのだから一両程度で売れれば恩の字という…

さて屋敷に上がって三太夫さんから値段を聞かれた道具屋の主人。答えに窮する。

素直に一両と言ってしまえばいいのだが、そこは欲がわいてくる。まごまごしていると

三百両ではどうかと切り出された。

ここがどうもおかしなところなのだ。相手は気のよさそうな道具屋。たいした値段で

仕入れているはずもない。せいぜい五両とか十両などと値段を付けておけば売り渡すに

違いないのだ。それなのに、いきなり三百両ときた。

確かに名器を十両で買い取ったことが後に世に知られれば、殿様の名誉が傷つく。

かといって三百両はすこし高すぎるはずだ(道具屋にとってはだけど…・)

三太夫さん、かなりの金額をピンハネしているという見方は考えすぎだろうか。

一体、殿様にはいくらで買ったと申し上げているのだろうか。

三百両などという大金を手にした道具屋さん。その後も二匹目のどじょうを探しつづけて

とうとう元の木阿弥になったとかならなかったとか…………

−続−